オーナーは陽気なフランス人! 福岡の屋台文化に新しい風を吹き込む「レミさんち」の魅力を探る【福岡・天神】

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福岡と言えば屋台。屋台と言えば福岡

昼間は多くの会社員や買い物客が行きかう福岡市中心部を南北に貫く大通りの「渡辺通り」。道の両側にはデパートやショッピングビルが軒を連ね、通りの下には地下街が広がるという、どの都市にでもあるようなちょっとしゃれた大通りですが、夕方6時を過ぎると様相が一変します。

通り沿いのビルの前に屋台がずら~っと並び、まるで東南アジアの市場のような雰囲気に様変わり。おいしそうな匂いがそこら中に漂い、街の人々が次々と屋台の中に吸い込まれていきます。昼と夜とでこれほどまでに表情が変わる街の光景は福岡の魅力のひとつにも挙げられますね。屋台を出すスペースを確保するために都市計画ではあえて歩道を広く設計しているという噂もある程、福岡の街には屋台が溶け込んでいます。

そんな福岡の屋台に、今年新たな顔が加わりました。もともと天ぷら専門店やショットバーなどバラエティに富んでいる福岡の屋台ですが、なんと「庶民派フレンチ」をメインにした屋台が誕生したのです。

この噂は瞬く間に福岡中を駆け巡り、今や”並ばないと入れない”屋台として連日多くのお客さんでにぎわっているとか。

今回はそんな大人気の屋台「レミさんち」にお邪魔してきました。

場所は天神ロフト前

「レミさんち」がお店を出すのは、渡辺通り沿いの天神ロフト前。天神地下街の西12c出口を出たらすぐそこです。

夕方17時半くらいになると、

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こんな感じで18時オープン目指して準備に入ります。

この時点で既に開店待ちの行列ができていることもあります。取材したのは金曜日の夜だったのですが、この日も一仕事終えて開店を今か今かと待っている女性の方がいました。

待っているのはお客さんだけではなかった!

そしてこの日、何と東京のテレビ局も取材に来ており、開店前の準備風景から密着して撮影していました。

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東京の番組で福岡の名物屋台を取り上げるそうです。

この後、テレビのカメラマンさんとお互いベストな撮影ポジションの熱い奪い合い(というか譲り合い)戦争が勃発します。テレビ vs ウェブメディア、どちらがこの屋台の魅力を引き出せるか!?

ファイッ!!!

何このイケメン集団!?

この話題の屋台「レミさんち」ですが、店長のレミさんをはじめ、スタッフさんは全員フランス人。しかもイケメンぞろい。

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▲店長のレミさん。福岡では初の外国人の屋台オーナーです

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▲2人のスタッフさんもレミさんの指示でテキパキと動いています

もちろん、レミさんは日本語(というか博多弁)ペラペラ。他の2人のスタッフさんもある程度日本語でのコミュニケーションが可能です。英語とフランス語に関してはみなさんペラペラなので、遠方からの女性客や外国人観光客の方も多いとか。わかる気がします。

また、屋台の作りにもこだわりがあります。

屋台も一から手作りで製作したとのことなので、

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このようにつっかえ棒がないと屋根が落ちてきたり(笑)、

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テーブルの下には荷物かけ用のフックがついていたり、簡易的な空調により暑い夏でも涼しく食事ができたりするなど、お客さんの利便性を考えた既存の屋台にはない面白い特徴があります。

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また、厨房スペースも衛生的。冷蔵庫や冷凍庫を完備し、皿洗い用のシンクや湯沸かし器、オープン、各種調理器まですべてそろっています。

※ご存じない方のために補足ですが、福岡の屋台はすべて電気水道完備です。

生モノが出せないという制約がありますが、ここまで整備されていると街中の店舗とほぼ変わりないですよね。

レミさんの福岡愛と屋台への思い

では、早速おススメフレンチをいただくとしましょう。

一番人気はやはりエスカルゴ! そしてエスカルゴにはワインが合うということでハウスワインのグラスをオーダー。

料理が出来上がるまでの間、レミさんにこの屋台を始めたきっかけについて聞いてみました。

レミさんが初めて日本に来たのは2001年。

旅行で訪れた福岡で、ガイド本に載っていた屋台に恐る恐る入ってみたところ、お客さん同士がものすごく盛り上がっていたそうです。その理由は「福岡ダイエーホークス(当時)が勝った日だったから」。

あ~なるほどね。福岡民として納得。

で、レミさんもその祝勝会の輪に巻き込まれ、言葉もわからない状態で大騒ぎしたらしく、見知らぬ人へのあまりのフレンドリーさに衝撃を受けたとか。そしてその盛り上がり方が、フランスにおける1998年のワールドカップ優勝時の熱狂的な盛り上がりに似た”風土”を感じ取り、日本に住むなら福岡だと直感したそうです。

その後、縁あって福岡に移住し、市内にフランス料理店とパン屋さんを開業。オーナーシェフとして腕を振るっていたところ、福岡市の屋台公募制度の話を聞きつけ、これまでの熱意をぶつけながら市の担当者にプレゼン。見事当選を果たし初の外国人オーナーとして屋台営業の許可を取得するに至りました。

もちろん、ここまで至るには日本語の習得や日本式接客のマスターなど、並々ならぬ努力や苦労があったことは想像に難くありませんね。

さて、エスカルゴができ上がりました。

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▲エスカルゴ(750円)、ハウスワイングラス(400円)

ガーリックの香ばしい匂いが食欲をそそります。皿の上ではソースがぐつぐつ音を立てています。これは絶対うまいに違いないと思わせる見た目と匂いです。

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テーブルのつまようじを使って、いただきま~す!!

コリコリした歯応えと、濃厚なニンニクとバターの風味がマッチして、めっちゃワインが進みます!

レミさんいわく、「屋台で出すのは家庭的なフレンチ。ビールやワイン片手にワイワイできるような庶民的な料理を食べていただくよう心がけています」と言う通り、上品ぶらない味は好感が持てます。

ただし、出来上がりすぐは少し熱いので、ちょっとだけ熱を冷まして食べたほうがいいでしょう。舌をやけどします(経験談)。

ワインも渋みがなく飲みやすいあっさりとした飲み口。グビグビいけるので飲み過ぎに注意です。そう気が付いた時には既に2杯飲んでましたが……。

気になる隣のお客さんの注文

屋台と言えば、お客さん同士の交流。レミさんも「観光客と地元の人たちとの交流を見るのが楽しみ」と、積極的に客同士をつなげる役割を担っています。

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この取材の日も、お隣に座った東京からの旅行客とお話させていただきました。

こちらの方がオーダーしていたのは生ビールとキッシュ。

屋台でナイフとフォークを使って食べるというのも新鮮ですよね(笑)。

もちろんキッシュもこのお店オリジナルの手作りです。

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切り分ける時のサクサクっとした音がいいですよね~。色も鮮やかですし。

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そりゃ写真も撮りたくなりますよね。

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▲なお、屋台でビールというとほとんどが瓶ビールですが、レミさんちはビールサーバー完備です

屋台の面白さや福岡の楽しさを隣の方と話していたら、喉が渇きました。

飲みましょう。飲まずにはいられません。飲むしかないでしょう。

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▲スパークリングワイン(600円)

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▲やわらか牛肉ステーキ(600円)

見てくださいこの見事な焼き色!

さわやかなレモン風味のステーキは、かむほどに味が口の中で広がり「あ~、いい肉食ってるな俺」って実感できます。また、スパークリングワインが口の中に残った肉の後味を見事に消してくれるので、食べるたびに新鮮なおいしさを実感できます。この組み合わせもGOOD。それぞれの料理の量もちょうどいい感じ。2人で来れば5~6品オーダーして2ドリンク飲んで4,000円程度で済むことでしょう。

フランスの街角のテラスにいるようなお店

開店から30分ほどたった19時過ぎには既に空席待ちの行列ができました。そろそろ取材を終了するとしましょう。

一般的な屋台のイメージとはかけ離れた外観を持つ「レミさんち」。通りから見てもかなり目立っており、道行く人の多くが目をとめて見入っています。

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▲ロッジを模したおしゃれな外観は目立ちますね

今回いただいたメニュー以外にも、ワインや料理がものすごく充実しています。

ありきたりの屋台に飽きた方、観光で福岡を訪れた方はぜひ「レミさんち」に立ち寄ってみてください。

陽気なレミさんと、そして一緒になったお客さんと、ワイワイ盛り上がれること間違いなしですよ!!

お店情報

レミさんち

住所:福岡県福岡市中央区渡辺通4-9 ロフト前

電話番号:092-986-2117

営業時間:18:30〜0:00

定休日:日曜日・月曜日 ※悪天候時は営業中止

Facebook:https://www.facebook.com/yataichezremy/

※この記事は2017年7月の情報です。

※金額はすべて税込です。

書いた人:桂浩一

桂浩一

1968年生まれ。福岡出身。東京で就職するも福岡の味が忘れられず、何のあてもあなく退職してUターン。 現在フリーライターとして活動中。メシと酒とホークスをこよなく愛する自由人。 一応、人事組織コンサルタントみたいなこともやっているが本業は食べ歩きと思っている。

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