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NO MORE MUSIC Issue : NO MORE MUSIC feat. BIG LOVE RECORDS

NeoL_No More Music_1_Photography : Takuya Nagata | Styling : Masako Ogura | Hair&Make Up : Katsuyoshi Kojima | Edit : Ryoko Kuwahara | Model : Leo

OKAMOTO’Sのニューアルバム『NO MORE MUSIC』発売を祝して、NeoLでは収録曲10タイトルにインスパイアされた10記事とイメージヴィジュアルを1ヶ月にわたって随時掲載していく。第6回目は“NO MORE MUSIC”をテーマに、世界中にコアなファンを持つ原宿のレコードストアBIG LOVE RECORDSの代表・仲 真史が登場。その独自の運営スキームから、音楽ビジネスの現状と今後をうらなう。

ーBIG LOVE RECORDSではほぼCDの取り扱いがなく、ヴァイナルがメインですよね。ヴァイナルの売れ行きが伸びていると言われていますが、実際はどうですか。

仲「いまはレコード・リヴァイバルの波がきていると言われていますよね。2008年に海外でRecord Store Dayが始まり、2011年に日本でもスタ—トしたのですが、当事者の僕らとしては、その恩恵を感じることはなくて。業界の人に聞いてもそういう意見が大半です。最近はカセットもリヴァイバルしていると言われていますが、どちらも日本ではビジネスにはならないというか、リッチなビジネスにはならない」

——それは意外でした。欧米も同じ状況ですか。

仲「いえ、日本とは比較にならないくらい売れていますね。欧米の友人のレコード屋は増築して2店舗目3店舗目と拡大していて、レコードを置いておくだけで売れていくという、日本では考えられないぐらいのムーヴメントになっています。うちに来るお客さんも海外の方が3、4割くらいなんですが、自国のレコードを買って行くんですよ。なぜかというと、自分の国ではすぐに売り切れて買えないから。でも通販で買うより店で買ったほうがいいじゃんって、ネットでは得られないリアルの経験値がどうとかという大げさなことではなく、すごくカジュアルにそう思っている。欧米の人の音楽の楽しみ方は、人生の楽しみ方や宗教観に繋がるものもあるかなとちょっと思ったりもします。でもそのリヴァイバルを後押しして広げている大本は、結局のところインターネットなんですよね」

——というと?

仲「いまは世界中の人がインターネットで情報を得るわけですが、無尽蔵にある情報の中でも人気が高いメディアやライターというのは質が伴っている。質が高いということは、つまりは音楽オタクということ。そういう人たちはフィジカルを出さないと紹介しないんですよ。実はピッチフォークも2000年代からCDやネット配信だけでは紹介せず、限定50本のカセットを出したら紹介するというような傾向がありました。もちろんR&Bではデータだけでも紹介したりとジャンルでの違いはありますが、フィジカルをニュースにする割合が高い。海外では、そういうプライドやこだわりを持ったプロフェッショナルたちがちゃんと影響力を持っていて、影響力のあるメディアを動かしている。彼らがインターネットを介して紹介することで、例えカセットを50本しかリリースしていなくても世界中で知られる。
海外ではストリーミングになるのが早かったし、違法ダウンロードもガンガンやっていたじゃないですか。一度音楽が無料になったから、リスナー同士で差をつけるとなると、もはやフィジカルを持っているか持っていないかだけなんです。それは当たり前で、僕らの時代でもラジオからエアチェックできたけど、本当のファンだったらレコードを買っていた。無料になるのが早かったぶん、欧米ではリスナーの格が明確になって一番のリスナーである音楽オタクの影響で色々と物事が動く。逆に日本は無料化が遅かったし、プロフェッショナルよりマスを大事にする市場なので、僕らのようなビジネスはまだおすすめできないし、大変だと思います。モノを持たないことや、安いほうが良しとされているので、無駄なレコードを買うことに拒否反応があるんですよ。単純に『かっこいい!』という雑貨と同じ感覚で買う子もいますが、全体としては多くない」

NeoL_No More Music_2_Photography : Takuya Nagata | Styling : Masako Ogura | Hair&Make Up : Katsuyoshi Kojima | Edit : Ryoko Kuwahara | Model : Leo
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