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【デュアルワーカーの肖像】東京のアートディレクターが、佐賀有田でカフェをオープン。通信を駆使して目指す“デュアルな働き方”とは?

通信やデジタルデバイスを最大限に活用することで、都市と地方を自由に行き来しながら仕事をするクリエイターやビジネスマンが増えている。そんな人たちを「デュアルワーカー」と定義し、その仕事内容やワーク&ライフスタイルへのこだわりに迫ってみよう。

今回ご登場いただくのは原大輔さん、46歳。アートディレクターで、デザイン事務所「SLOW」の経営者である。雑誌、書籍などのエディトリアルデザインを中心に、広告やロゴデザインなど、幅広く手掛けている。

東京では、下北沢にオフィスを構えるアートディレクター

オフィスは下北沢。駅前の商店街のど真ん中にある。
大学卒業後、インテリアデザイナーを経てグラフィックデザイナーに。27歳でフリーランスとして仕事を始め、11年前にこの会社を始めた。

基本、手ぶらが理想。
スマホ1台あれば、だいたいなんとかなりますからね。どこでもスマホはつながりますし、仕事上のデータもすべてチェックできます

近所に出かける時は、スマホと文庫本1冊をポケットにねじ込んでフラリと。打ち合わせの時は小ぶりのリュックにノートとペンを入れて。そこに、着替えのTシャツと下着を加えれば、彼の“もうひとつの拠点”への移動準備も完了してしまう。

そこは、佐賀県有田町。有田焼で有名な有田町に、昨年9月23日、原さんはカフェ「Fountain Mountain」を開いた。

もうひとつの拠点は焼き物の町・佐賀県有田町


古民家を改装したカフェ「Fountain Mountain」。有田の街並みに溶け込む

東京から福岡空港を経由、クルマに乗って約4時間。町のメインストリートに並ぶ多くのお店は、有田焼の製造や販売を手がけている。「Fountain Mountain」も、もともとは築80年の有田焼製造販売のお店を改装したものだ。のどかで風情のある景色のなかでまずはスマホをチェックしてみれば、おお、バッチリつながっているのである。

auのスマホを使っているんですけど、どこでもつながるのは大きいですね。東京にいる時と変わらず仕事ができる。そうじゃなければ、新たな拠点なんて考えられません」

で、カフェの裏を指差して原さんは言う。
「あそこが昔、ひいばあさんの住んでた家なんです。あそこに見える屋根が、うちのじいさんの家」

店から出ると、目の前には英山(はなぶさやま)が視界を占拠する。原さん自身は長崎県の佐世保にほど近い川棚という土地の生まれで、小学生の途中までそこで育った。有田は原さんのお父さんの生まれ故郷。幼少期の夏休みをよくこの町で過ごしたという。
その後、原家は名古屋を経て千葉に引っ越し、人生の大半は千葉県民だったが、なんとなく有田のことは気にかけ続けてきた。

「何年か前から、有田がこのままではダメになるっていう声を結構耳にするようになったんです。有田焼は日本の磁器のルーツとして有名ですけど、その焼き物が町の魅力としてあまり機能していないというんですね」

なにか自分できることはないか、と考え始めたのが4年ほど前。といっても、“町おこし”みたいなことではない。東京でのデザインの仕事はうまく回っている。ただ、請負仕事が中心になり「自分たちからなにかを発信することが少なくなっていたんです。その仕事のあり方と、有田の現状が僕のなかでつながって、“このままではいけないな”って思うようになったんです」

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