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快進撃続く世紀のピアニスト反田恭平、完売続くコンサートから見るその凄味とは?

快進撃続く世紀のピアニスト反田恭平、完売続くコンサートから見るその凄味とは?

 若干22歳にして世界中のクラシック・ファンを魅了している世紀のピアニスト 反田恭平が、CDセールスやコンサート・ツアー等で快進撃を続けている。

反田恭平 コンサート写真(全5枚)

 チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に日本人初の最高得点という快挙を成し遂げ首席で入学し、ロシアでも次々にファンを獲得するなど世界が注目する新星 反田恭平。シーンからはすでに絶大な支持を得ている彼だが、その活躍はセールス面から覗いてみても圧巻という他ない。

 昨年発表したアルバム『ラフマニノフ』は『第9回CDショップ大賞』クラシック賞を獲得し、春からは本作に収録されたピアノ協奏曲第2番を、佐渡裕指揮のもと東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と共に演奏するツアーを全国12箇所で開催した。さらに6月に発表した新作『月の光~リサイタル・ピース第1集』は、Billboard JAPAN Top Classical Albumsにて初週2位を獲得以降、現在まで5週連続でTOP10圏内にチャート・イン。まだ22歳という若さもあって、絶大な期待を寄せられているピアニストだ。

 そんな彼が、【反田恭平ピアノ・リサイタル2017年 全国縦断ツアー】と題し、7月から全国各地で行っているコンサートがある。初日の神奈川 ミューザ川崎シンフォニーホール公演を皮切りに、静岡、愛知、新潟、富山、北海道と巡っており、9月1日の東京オペラシティ コンサートホール公演まで計13公演を行う予定だが、そのチケットは終了した公演も含めてすべて完売。そしてこの公演で披露するのが、先に紹介した『月の光~リサイタル・ピース第1集』に収録されていた楽曲の数々だ。

 反田は昨年コンサートで演奏した模様を録音し、終演後にそのままCDとして販売する“即だしCD”プロジェクトでファンや関係者を驚かせたが、今回はその後継企画として“先出しCD”プロジェクトを敢行。ツアーで演奏予定の演目を事前に録音し、『月の光~リサイタル・ピース第1集』としてリリース。コンサートと完全連動した新たなアプローチにチャレンジしていたのだ。

 いわば観衆は、正解が先に提示されている状況で観賞に臨むことになる。初日のミューザ川崎シンフォニーホール公演では、360度が観客で埋まった円形ステージに用意されたヴィンテージ・ニューヨーク・スタインウェイのピアノの前に、反田は黒の燕尾服姿で登場。最初の1曲「スクリャービン:幻想曲 op.28」は、昨年9月に行った3夜連続コンサートでも披露した、静かな立ち上がりから堰を切って迫力の展開へ突入していく難曲だ。時折、鍵盤に弾かれたように左手を天高く掲げ、全身でリズムや旋律を刻むようにしてプレイする反田の一挙手一投足に、会場の視線が集中する。

 「喜びの島」に続いて披露されたドビュッシーの楽曲、ベルガマスク組曲より第3曲「月の光」からは前半のハイライトのひとつだ。鍵盤をなでるように繊細なメロディの一音一音を丁寧に響かせていく7分弱の間、上天のスポットライトからぽっかりと切り出すように照らし出された反田の姿が、シューマンの代表曲のひとつ「謝肉祭」で突如豹変。序盤からポップに弾けていく展開から、また静、そして動とめくるめく緩急で場を圧倒していくのだ。

 超絶技巧で知られる難曲を弾きこなす技術はもちろん、より高い表現力でも絶賛される反田の凄味は、「4つのマズルカ op.24」「12の練習曲 op.10」と共にショパンの作品で構成された2部でさらなるものとなる。特徴的なキュートなリズムで心地よく楽しめる前者も然ることながら、「12の練習曲 op.10」は圧巻だ。

 エチュード(=練習曲)の中で最も有名な楽曲のひとつにして、最高難度に数えられる同曲だが、中でも超絶的なプレイがほとばしる第1曲と第2曲。誰もが一度は耳にしたことがあるであろう第3曲「別れの曲」の胸を打つ響きから、衝撃的な迫力で感動の大団円を迎える第12曲「革命」まで。曲が終わり、目を離すことができないほどの緊張感から解放された観衆は満場のスタンディングオベーションで応え、反田も笑顔を見せながら大歓声に応えたのだった。

 こうしたステージの魅力の一端は、先に紹介した『月の光~リサイタル・ピース第1集』からも感じることができるが、やはり一番は生演奏のコンサートになるだろう。世界最高峰という言葉に一切の過言を感じさせない超絶的な反田恭平のステージは、クラシック・ファンや音楽ファンならずとも必見と断言できるだけに、今後の動向にもぜひ注目してもらいたい。

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