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【現代医学と歴史】狂犬病がヤバイ! 日本では西暦717年から発症記録あり! もし噛まれたらリアルバイオハザードだった

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歴史好き女医の馬渕まりです。専門は代謝内科。脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病が得意分野です。

2014年3月から7月にかけ、台湾で「狂犬病」が発生し、日本でも少しだけ騒然となりました。少数派ながら、怖くて心臓がバクバクとされた方、非常に正しい反応です。

この病気、本当に恐ろしいもので、日本では人が1956年、猫が1957年を最後に国内発生は確認されておらず、もはや存在しないかのような印象すらありますが、海外では今も普通にあり、もし発症したらほぼ100%死に至るのです。

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・ギネスブックにも載るほど致死率が高い
狂犬病というと「ヨダレを垂らした凶暴な犬が襲いかかってくる」という、バイオハザードなイメージをお持ちの方。残念ながら、正解です。狂犬病とは、ウイルスが神経を侵す病気で、脳に達した犬は凶暴化し、麻痺をおこして死にます。まさに映画ばりのゾンビとなります。しかもこの病気、名称から勘違いされがちですが、対象はイヌだけにとどまりません。

猫や牛、アライグマ、そしてヒト、と全ての哺乳類に感染。ウイルス保有動物に噛まれたり、傷や粘膜を舐められると、唾液に含まれるウイルスが体内に入りこんでくるのです。そこから先がまた怖いです。体内に侵入したウイルスは、日に数ミリずつ進み、やがて脳へ……。

こうなると、もう施しようがなく数日で死に至ります。しかも発症後はほぼ100%死亡するため、致死率の高い病気としてギネスブックに載るほど。聞くだけで恐ろしいですが、発症の様子をもう少し詳しく見て参りましょう。

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・不安感や恐水症状も現れ最後は呼吸筋の麻痺で死亡
狂犬病ウイルスは、まず傷を受けてから発症まで、噛まれた部位に依存します。そこから先は脳への距離が影響し、たとえば傷口が顔など頭に近い部位ですと発症まで短く(2週間程度)、足先のように頭部から遠い場合は潜伏期が長く(数ヶ月)なります。

症状は風邪に似ており、噛まれた部位の痒みに続き、不安感や水を怖がる恐水症状が出現します。なぜそんな状態に陥るかというと、液体を飲みこむと喉の筋肉が痙攣し、ものすご~く痛いため水を極端に怖がるようになるのです。そして、その後は興奮や錯乱、麻痺などの神経症状が出現。数日で麻痺が進行し、昏睡状態となって最後は呼吸筋の麻痺で死に至ります。

19世紀のアメリカで「エイダ・クレア」という女優さんが狂犬病で亡くなった記録が残っています。彼女は1874年1月30日、代理人の事務所で飼い犬に顔を噛まれる事故に遭い、一時は傷が回復して舞台に復帰予定となったのですが、3月2日に狂犬病を発症、3月4日に亡くなってしまいました。潜伏期は約1ヶ月、発症から死亡まで2日と典型症例ですね。

これに対し、狂犬病のワクチンは1884年にパスツールが開発しました。狂犬病ワクチンは噛まれた後でも発症前であれば効果を発揮するのですが、これを見出したのもパスツール。さすが「近代細菌学の開祖」と呼ばれるだけあります。

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・其れ狂犬有らば所在殺すことを聴せ
日本史における最古の狂犬病記録は、717年に発布された『養老律令』 にあります。「其れ狂犬有らば所在殺すことを聴せ」。流行があったか否かは定かでないですが、狂犬が和名であることと、わざわざ法律にするということは、多少なりとも日本で発生していた可能性が考えられます。

ただし、984年の医学書に記載された狂犬病は、随、唐の原著を転記したと推測。次に『狂犬』の言葉が出てくるのは、皆さん歴史の授業でご存知『生類憐みの令(1692年)』でした 。平安時代から江戸時代まであまり記録が無かったということは、その間の発生はほとんどなかったのかもしれませんね。

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