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東日本大震災の被災者が“今だから”語る、避難の心得

 東日本大震災から一年が過ぎたが、まだ東北地方だけでなく全国各地で余震が続いている。
 メディアは今後、他の地域でも大地震が起こる危険性を指摘し、警戒を促している。しかし、どれだけの人が、「もし本当に大地震が起こったら、どのように対処すればよいのか?」についての“備え”ができているだろうか。
 『DVDブック「被災地から伝えたい〜テレビカメラが見た東日本大震災〜」』(扶桑社/刊)は、被災地にある仙台放送が東日本大震災発生から津波の到達、町を飲み込んでゆくまでの映像と被災者の証言をまとめ、未来に起こる可能性のある、さらなる非常事態への注意を喚起している。
 なかでも、被災者が語る体験談は、震災発生時に取るべき行動として、説得力のあるものが多い。

■地震が起きたら建物ではなく高台に逃げる
 気仙沼で被災した小山裕隆さんは、地震後の津波から避難する際は、可能であれば建物ではなく高台に逃げるべきだと語る。気仙沼では地震・津波もさることながら火災による被害が大きかったからだ。
 建物が密集する大都市では特に、地震に伴う火災も十分に考慮して避難しなければならない。津波から避難できたとしても火災に巻き込まれるという可能性は、東日本大震災よりも高いといえる。

■大事なものがあっても家に取りに戻らない
 東日本大震災と同じく、他の地域でに大地震が起こった場合も、海沿いの地域には津波の恐れがある。ほとんどの人が未経験の津波から避難するために、どのようなことを心がけるべきなのだろうか。
 小山さんと同じく気仙沼で被災した小野寺誠さんは、「海の様子を見に行かないこと」「たとえ家に大事なものがあったとしても取りに行かないこと」を挙げ、たとえ親が残されていたとしても決して家に戻らないよう、自分の子どもに言い聞かせているという。事実、避難する前に一度自宅に戻ったがために家ごと押し流され、屋根の上で一晩過ごし、翌朝救出された人もおり、「とにかくすぐに避難すること」「第一波が引いても安心して家に戻らないこと」は頭に入れておくべきだろう。

■車での避難はさける
 石巻ガスの社員である菅野明良さんは、外回り中に被災し、ガスの安全確保のために石巻市内の本社に戻る車中で津波に遭った。車ごと流されたが、横転した車内から何とか脱出し、偶然見つけた丸太にしがみついて60mほど流されたという。民家の屋根に辿り着き事なきを得たが、菅野さんは地震発生後の対処として「車を置いて避難すること」を挙げている。地震発生時は、車で避難する人で大渋滞が起こり、徒歩の方が確実かつ迅速に避難できることが多い。また、車で避難すると津波をはじめとした二次災害の状況がわかりにくく、リスク認知が遅れるということもある。

 このDVDブックを監修した東北大学大学院工学研究科の今村文彦教授は、津波から避難する際の心得として、「迅速に適切な高台に逃げること」「高台に逃げることが難しい場合は避難所となるビルの位置を普段から確認しておくこと」「最新のハザードマップを確認しておくこと」などを挙げている。
 今後、日本列島のどこかで東日本大震災に匹敵するような大きな地震がいつ起こるかはわからない。しかし、起こることを前提に、いまこの瞬間から東日本大震災で得た教訓を活かすことができれば、万が一そのような事態になっても生き延びる確率は高くなるはずだ。
(新刊JP編集部)



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