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月に1度しか食べられない「とびきりのチーズ」がある。

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月に1度しか食べられない「とびきりのチーズ」がある。

東京から車で1時間半、千葉県大多喜町にあるチーズ工房【千】senは、瓦屋根の下でチーズを作っているお店。

オープンしてから、ずっと変わらずに”月に1回しか営業しない”と聞いて、次はいつだろう?とカレンダーを確認してみたらなんと3日後。タイムリー!

第1日曜日しかオープンしない理由は?確かに自然は綺麗で過ごしやすい場所だけれど、なぜわざわざ大多喜に?

店主の柴田 千代さんのストーリーが知りたくて、このタイミングを逃すまい、とお話を聞きにいってみました。

日本人の健康を守るために
きっと「チーズ」が愛される

月に1度しか食べられない「とびきりのチーズ」がある。

————はじめに、なぜ「チーズ」なのでしょうか?

「最初に目をつけたのは、18歳のときです。もともとはコックさんを目指していたけど、ちょうどその時にダイオキシンのニュースや、『食べてはいけない』『買ってはいけない』という本が大ブレイクして、発がん性物質や添加物など、食品に対する自分の無知さに衝撃を受けました。そして、”大地から生まれた体に良いものを、加工する人になろう”と思うきっかけになったんです。チーズは、毎日60g食べ続けても害のない発酵保存食品、第1位なんですよ」

————知らずに食べていました…!だから保存食の中でもチーズだったんですね。

「そうなんです。これが世の中に十分ストックされていたら、食糧不足になったとしても、みんなの健康を少しでも保てるかもしれないって当時の私は思ったんですよ。単純だけれど(笑)。もしそれが味噌なら味噌職人に、お酒なら杜氏になっていたでしょうね」

暖簾をくぐる
チーズ屋さん

月に1度しか食べられない「とびきりのチーズ」がある。Photo by Yuki Hoshi月に1度しか食べられない「とびきりのチーズ」がある。

————次に、”この場所”について聞かせてください。通りで「右折」という看板は見たのですが、思った以上に奥まったところだったので、秘密基地を見つけたような気分になりました(笑)。

「すごいでしょ〜、この自然。『ここは一体なに屋さんなの?』ってよく聞かれます」

————千葉のなかでも東京に近い場所ではなく、どうしてこの場所だったのでしょうか?

「22歳から修行をはじめて、34歳の時にお店を持とうと決めたとき『工房は、自分の暮らしに根付いていないと意味がない』と考えていました。もともと千葉県の北総で生まれ育ったので、住む場所としても、この辺りの森に囲まれた環境が気に入っています。

山里が深く、水が綺麗で、自然が豊かに残る町。『仕事をしている時間』と『暮らしの時間』が人生の大半を占めている思うので、暮らしながら、菌に寄り添ったチーズをつくれる環境が必須でした。醗酵には時間が掛かりますし、季節によって変化するものだから、菌に合わせたスピードで発育を補助するのが職人の仕事なんですよ。

決められたシフトのように工房に通って、時間で帰るという働き方ではなく、暮らしの一部になることで、より良いものができるんです。持っていた資金の中で実現できるか、と考えた時にも、ここがベストでした」

————ローンは組まない、と決めていたとか?

「決めていました。チーズは、自己実現、自己表現のために真心を込めてつくるものなので、『お金を返すため』という意識になるのは、絶対に嫌だったんです。築120年の古民家で2年間空き家でしたが、掃除や修繕をすればまだまだ使えると思いました。友人の大工さんに教えてもらいながら、壁を漆喰で塗り直したり、蛇口を取り付けたりと自分でできるだけ整えて。限られた資金のなかでも、知恵と手仕事で可能性が生まれるのだと実感する時間でした」月に1度しか食べられない「とびきりのチーズ」がある。

————”1ヶ月に1日しか営業をしない”というのにも驚いたのですが、本当に隅々まで「手作り」にこだわっているんですね。

「そうですね。裏にある「苅米牧場」さんの牛乳を、原料乳として100%使用して、全てのチーズをひとりで手作りしています。なので、毎月の営業日(第1日曜日)から逆算して、他の日は仕込みをしているんです。

前日までに準備を終わらせて、営業日は一切製造しません。発酵と営業、どちらも迷ってはいけないので。この1日は、お客さんと直接話したり、感謝を伝える日なんです」月に1度しか食べられない「とびきりのチーズ」がある。

————今日も、たくさんのお客さんが列をつくっていましたよね。

「本当にね、ありがたいです。午後になると人気のものは売り切れてしまうので、予約してくださったり、オープンと同時に来てくれたり」

————これからも、月1営業を変える予定はないんですか?

「本当にたくさん聞かれるんですが(笑)、今のところはないです。

まだ二足のわらじで、平日は他の仕事もしているんです。他の週末は仕込んでいるのもあるけれど、人口1万人を切ってるこの大多喜で、1日ボ〜っと待っていてもこの嗜好品、誰も買いに来ません。田舎で500円以上のものを売るのって、ものすごく難しいんです。なので営業日以外は、近くのマーケットに出来るだけ自分で売り歩きに行ってます。

お客様がここに買いに来てくれる、新しいお客様には自分で会いに行く。この呼吸っぽい流れがすごく良くて、なるべくお客様のもとへチーズを届けたい。そして、どんな想いが込められているのかを、自分の口で伝えに行くことを大事にしています」

ありったけの野望を、
手のひらで形にする。

————最後に、この先に描いているビジョンを教えてください。

「国際チーズコンクールで、優勝することです。この店名の由来には、千の出会い・千の笑顔・千の可能性を、私はチーズから生み出したいという気持ちを込めています。そして、必ず『sen』を添えるのは、世界への挑戦状なんです。

見習い時代に師匠のチーズが優勝したのを見て、日本も世界で通用するんだって確信しました。自分のブランドを持って、『私も絶対にとってやる!』って、その時に決めたんです。瓦屋根の下にある<チーズ工房 【千】sen>は、やっぱり”和風”であることが最大の強みです。海外のコピーではなく、ここだからこそ実現できるオリジナルを貫いて、挑みたいと思っています」月に1度しか食べられない「とびきりのチーズ」がある。

「おかげさまで、うちで1番人気の竹の炭をまぶした『竹炭』が、去年の国内コンクールで2位だったんです。1位じゃないと世界コンクールに行けないので、次にある2年後には必ず、と思っています。世界一が全てではないけれど、そこに至るまでの気持ちのプロセスが、何より大切だと思っています。夢に挑戦し続ける思いや姿勢、助けてくれる仲間達への感謝を忘れないこと。そして、自分のスタイルを築き”発酵で世界平和!”を目指していきたいです」

 

まだまだ男性の職人が多いチーズの世界で、果敢に挑み続ける柴田さんはとっても明るく「また遊びに来て、今度は一緒にお酒飲もうね〜」と誘ってくれるほど気さくな方でした。訪れるお客さんともまるで親戚のように仲が良くて、ここに月1回集まるのがきっと楽しみなんだろうなぁ、と。

私もこの日以来、カレンダーの第1日曜日にマークをつけるようになりました。次の営業日は、今週末の8月6日。ぜひ、柴田さんのチーズを食べに足を運んでみて下さい。

チーズ工房【千】sen
住所:千葉県夷隅郡大多喜町馬場内 大多喜町馬場内178
電話:0470-62-6345
営業日:第1日曜日のみ
営業時間:11時~17時

Licensed material used with permission by チーズ工房 【千】sen

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