日経平均の株価は「二重構造」? 日本経済の今後を正しく読み取るには

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日経平均の株価は「二重構造」? 日本経済の今後を正しく読み取るには

「アベノミクス景気」に沸く日本経済。

2012年の年末から始まった好景気はすでに4年半が経過した。

6月後半には日経平均株価が2万円を超え、雇用の状態を示す有効求人倍率はバブル期を超える高水準を維持しており、好景気の影響はさまざまなところに出ている。しかし、景気回復の実感は乏しい部分があるのも否めない。

では、この“実感乏しい”好景気は一体いつまで続くのか? 2017年後半の日本経済はどうなるのか?

『未来からの警告 2 トランプの破壊経済がはじまる』(集英社刊)の著者で、独自の「Tモデル」「T2モデル」を用いて経済を予測する経済アナリストの塚澤健二氏は、この連載第1回目でアメリカ経済の好景気は「バブル」だと指摘した上で「2017年後半に第2のリーマンショックが起こる」と指摘した。その影響は日本にどう波及するのか?

4回にわたってお送りする塚澤氏に聞く「2017年後半の経済トレンド」。第2回の舞台は日本だ。

 ◇    ◇    ◇

第1回で、今のアメリカの株価上昇はビットコインを介したチャイナマネーの流入によるバブルであることを指摘しました。ただ、この景気については、私は長く続かないように思っています。2017年に「第2のリーマンショック」が起こる可能性があるからです。

もちろんそうなれば、日本への影響は避けられないでしょう。

6月21日の日本経済新聞電子版に「昨年度株主分布、外国人投資家 3割に再上昇」という記事が出ていましたが、つまり日本の投資家の3割は外国人だということです。これが先物取引になると投資家の7割が外国人になります。また、日本人の個人投資家の比率はかなり落ちてきているのも気になります。当然アメリカのマーケットの動きの影響が強まりますからね。

私の見立てによれば、日本経済の現状は「膠着状態」というアメリカに似た状態です。6月後半に株価が上がりましたが、これは安倍政権の支持率急落と関係がありそうです。

実は2015年に同じ事が起きています。9月に安全保障関連法案が成立し、その後、安倍内閣の支持率が一旦落ちましたが、10月には株価が急上昇し、支持率の低下も止まりました。

この背景にあったのが、11月の日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の同時上場です。政府は高く株を売り出したいということで、海外の証券会社を使って株価を上げる戦略を取りました。この戦法が結果的に支持率の急落を止めるという副産物を生みだしたのです。

そして今年は「共謀罪」法案ですよね。だから、安倍政権は株価を上げて、支持率の低下を抑えようと考えているのではないかと思います。それに重なるのが日本郵政株式の2次放出です。

では、2017年後半の日本の株式市場はどうなるのでしょうか。

まず理解していただきたいことがあります。それは、日本の株式市場は「二重構造」で動いているということです。日本の株式市場の株式価格は、まず最初に外国人投機筋の先物取引を中心とした投資が決めているベースの価格があり、その上に日本銀行やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のお金が投入されて上昇した分を上乗せされた価格になっています。

そのため、予測をするときは二重構造であるという前提で、それぞれを分析しないと正確に計算することはできません。

その上で、注目すべきは、ゆうちょ銀行とかんぽ生命です。これは、二重構造の上乗せ部分の株式の買い取りにおいて、GPIFや日銀がすでに買い得る限度額近くまで買っており、これ以上の日本株を上げるインパクトを持てず、今後はゆうちょ銀行やかんぽ生命に上乗せ分を託すことが、十分に予測できるからです。

もう一つ、今後の日本経済を予測する上で注目すべきなのが大相撲です。

稀勢の里が横綱に昇進し、4横綱時代になりました。

実は4横綱が揃ったタイミングを調べると、「時代の転換点」と重なります。千代の富士が圧倒的な強さを誇っていた頃は、ちょうどバブル景気でしたし、直前の4横綱時代は若貴兄弟に曙、武蔵丸が揃った1999年から2000年にかけてですが、このときに起きていたのが日米合作相場でした。

そこから朝青龍や白鵬が出てきて今に至るまでモンゴル人力士が横綱にいます。それと同時に中国の経済成長が著しく伸びたのは偶然ではないでしょう。神事である大相撲と相場の相関は見逃せないと私は思っています。

今回の4横綱ですが、その鍵は最初に誰が抜けるかでしょう。もし、白鵬が抜けるならば、中国株にはかなり気を付けるべきです。ただ、いずれにしても「時代の転換」がこれから起きようとしていることは間違いありません。

来年2018年は明治維新から150年、そして平成30年となります。つまり、節目の年です。これも一つの時代の転換点を暗示していると思いますね。そして世界ではドナルド・トランプ米大統領の「破壊経済」が影響を及ぼす。いよいよ「何が起こるか分からない」時代に入ってきたように思います。

(新刊JP編集部/取材日:6月21日)

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