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企業の発展、最も大事なものは“人、人、人そして人”

 バブルの崩壊以降、長く不況の時代が続き、さらに世界経済の情勢も見通しが立たなくなっている。そんな中で、日本の少子高齢化は“人口減”という問題を生み出し、企業は国内市場が縮小していくことを前提に戦略を立てなければいけなくなった。
 では、日本の中小企業はどのような経営を目指すべきなのか?

 30年近く数多くの企業や経営者と関わってきた藤井正隆さんは、著書『ぴょんぴょんウサギとのろのろカメの経営法則』(経済界/刊)の中で、時代を超えて普遍性が高い経営として、「カメ型の経営」を推奨する。カメ型の経営とは、持続がおぼつかない一時的で急激な成長戦略ではなく、ゆっくりと確実な成長戦略を描く経営を指す。

 では、その「カメ型の経営」の実際とは一体どのようなものなのだろうか? 著者である藤井正隆さんへのインタビュー、今回は後編をお伝えする。
(聞き手/金井元貴)

■“年間120社の視察”から見えた“早く倒産する企業の兆候”

―藤井さんは年間120社を視察されているそうですね。

「そうですね。年間120社はノルマにしています」

―先日とある本を読んでいまして、その中に、その年の1月1日に100社、会社が誕生したら10年後には6社しか残っていないという計算になるという話がありました。そのくらい経営は厳しい世界だと思いますが、視察をされている中で「これは早いうちに倒産するだろうな」と思う企業はありますか?

「ありますね。30年近く企業を見てきて、一見派手な企業はかえって危ないんですよ。ちょっと調子が良くなると経営者がやたら講演をやったり、何冊も本を出したり。周りもチヤホヤするから、自分の能力と勘違いしちゃうんですよ。たまたま起業した当時に上がりのエスカレーターだった業界に乗っていただけで、自分は経営能力があると思い込んじゃう。そういう意味では、むしろそこで用心できる経営者はすごいですね。もう20年ほど前に亡くなられましたが、将棋の大名人で大山康晴さんという方がいました。大山名人は、、有利なときほど時間をとって考えたんですね。世の中こんなに上手くいくわけない、どこかに上手くいかなくなる落とし穴があるのではないか、と。逆に悪いときは、打つ手が限られているので時間が掛からない。
流行を追う経営者も危ないと思います。「他社が導入したから、自分のところでも・・」といった意志決定は、後追いで主体性がないと思います。経営者が自分で考えたものでないと、どうしても検討が甘くなる。
経営者の評価は、財務諸表です。本当に実績を出している経営者ほど、謙虚で派手でない方が多いように感じます。そして、必ず人まねではない“持論”を持っています。その一つ一つが違っていて、貴重だと思うんですよ。かたや、本に書かれている理屈(セオリー)は、表現は違っても内容はほぼ一緒ですからね」

―現代は人々の流行、トレンドの移り変わりが激しく、消費行動の変化も速いと思います。その中でトレンドに左右されずに経営を持続できる企業はどのような点を重視しているのでしょうか。

「人ですね。社員、パートナー(取引会社)の人、とにかく人だと思います。新しいお客様がびっくりするような、喜ぶような新商品を開発するのも人ですし、実際にそうしたサービスを提供するのも人です」

―経営者と社員の距離と取り方についてはどうお考えですか? 近すぎても、遠すぎてもいけないと私は思うのですが…。

「私は、これが正解というのはなくて、その経営者のキャラクターと組織の状況によって決まるのかな、と。すごく距離を置くことが好みな経営者と、たえず、現場の方と一緒にいることが好みの経営者、どちらが良い悪いではなくて、どちらでも良いと思うんですよ。経営の世界は基本的には社会科学の世界ですから、正解と不正解ではなく、状況に合う合わないかですね。但し、経営者のキャラクターに合わないとスベってしまうかもしれません。また、組織の規模も関係します。起業した当初は、当然、距離が近く、ある程度の大きさになれば、少人数のような運営は難しくなるので距離は遠くなります。大切なのは、経営者が社員との関わり方とその影響について、意識していることではないでしょうか?最近、サークル活動のような関わり方が人気ですが、意思決定が仕事である経営者は、距離を置いた方がいい場合もあると思いますね。」

―それは人材を採用する際の鍵みたいなところですよね。会社にあった人を採用しないといけなくなりますし。

「そうですね。できるだけ価値観が合う人を採用すべきでしょうね。ただ、会社の価値観を共有する際、金太郎飴のように全部が同じにするのではなく、コアな部分の価値観だけはちゃんと共有し、それ以外は自由にする。それが最もバランスの良い形だと思います」

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