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【Interview】岩手大学発、世界最速のAIプログラム「Deep Binary Tree」の世界に迫る

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学内での研究を事業移転し、創業する大学発ベンチャー。ここ数年特に、テクノロジーの分野において、めざましい成果を上げている。

今回ご紹介するのは、2016年に設立された岩手大学発のベンチャー「エイシング」。同社が開発した「Deep Binary Tree(以下DBT)」は現段階で世界最速。これまでにない高精度なAIプログラムとして、各方面から注目を集めている。

人工知能の革命とまで言われたDeep Learning誕生から数年。「DBT」の登場は、AIの世界をどのように変えていくのだろうか。CTO最高技術責任者、金 天海(きん てんかい)氏とCEO最高経営責任者、出澤 純一(いでさわ じゅんいち)氏の両名に、話を聞いた。

・Deep Learningとは真逆の人工知能

Q1:まずは、「DBT」開発の経緯からお聞かせください。

(金氏)私が学生時代、ロボット用に人工知能を応用していた頃は、なかなか満足のいく人工知能がありませんでした。当時も今もですが、人工知能を考案する研究者の大多数は、機械系の出身ではありません。機械システムにぴったりの人工知能が欲しければ、自分たちで作るしかないわけです。

(そうした背景から)今までに、3種の人工知能を試作しました。その最新作が、「DBT」です。岩手の繋温泉で湯船に浸かっているときに、12年分の知識の断片が合わさるようにして、アイディアが生まれました。

Q2:Deep Learningとの決定的な違いは、どこにあるのでしょうか。

(金氏)Deep Learning (以下DL)と「DBT」は、ひと言で言えば、真逆の性質の人工知能です。DLは画像処理のような大容量データの扱いが得意ですが、「DBT」は機械の軌道データなどの小容量データの扱いで、DLを上回る性能を発揮します。

DLは使う人や日によって学習結果が変わるので、根気よく付き合っていけば、いつかは良い結果が得られます。一方「DBT」は、使う人や日に左右されず、同じデータならば同じ手続きで淡々と学習を行います。どちらを選ぶかは、対象とするタスクの性質次第だと思います。

・専門家いらずでAIの導入が可能

Q3:「DBT」の導入によって、企業はどのようなメリットを得るのでしょうか。

(出澤氏)「DBT」をご利用いただければ、高給なAI専門家を必要とせずに、AIを導入することができます。また、学習がうまくいかない場合の原因特定を明確にし、研究開発PDCAサイクルを高速に回すことが可能になります。実際、開発コスト・期間を大幅に短縮させていただいた事例が、複数ございます。

さらに「DBT」は、動的な追加学習に対応しているため、データをつぎ込めばつぎ込むほど、精度が上がっていくというメリットがあります。

Q4:今後の展開について、教えてください。

(出澤氏)IoT×AIの分野では、AIの軽量実装が必須です。「DBT」は現時点で、IoTエッジデバイスにおけるスタンドアローン学習かつ動的な追加学習を、軽量実装で実現する唯一のAIアルゴリズムです。

その優位性を生かすために、DBT搭載AIチップ(FPGA、ASIC、SOC、バイナリーファイルなど)を開発し、高精度、高速応答性が求められる分野へ、提供していくつもりです。

事業展開を本格化させるため、総額1億9800万円の資金調達を実施した同社。「DBT」普及に向けて、新たなスタートを切ったところだ。日本発のアルゴリズムが、世界でどのように受け入れられるのか。今後の動向に注目したい。(取材・文 乾 雅美)

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