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頼みごとが「下手すぎる人」に、“決定的”に欠けていること

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コミュニケーション総合研究所代表理事の松橋良紀さん。そんな松橋さんに「コミュニケーションの極意」についてお話しいただくこのコーナー。第24回目は「”依頼”が上手な人と下手な人の決定的な差」についてです。

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ビジネスでもプライベートでも、人に何かを頼むのが「上手な人」と「下手な人」がいます。下手な人は、本人としてはただお願いをしているだけなのに、なぜか相手をイラつかせてしまう…ということも少なくありません。

お願い「上手な人」と「下手な人」は何が違うのでしょうか

例えば、次の会話のやりとりをみてみましょう。

「ねえあなた、明日ゴミの日だから、ゴミを出してきて」

「いや、ちょっと待ってくれよ、今、野球の試合がちょうどいいところなんだよ!」

「そうやって、いつもゴミ出しをやってくれないのね!もういいわ!」

「野球見てないで、さっさとゴミ出ししてよ!こっちは家事で忙しいんだから」という、沸々とわきあがる怒りの感情は理解できるのですが、こういった伝え方をしてもなかなか動いてもらえないものです。逆に言い争いになってしまうこともしばしば。

なぜかといえば、それは言われた側に“抵抗”が生まれているからです。

抵抗を生み出すような言い方をしてしまうと「なんでやらなきゃいけないの?」「なんでそんなことを言われなくちゃいけないの!?」と感じさせてしまうのです。

そうならないためには、どのように伝えるといいのでしょうか?

相手が自主的に動くように働きかける言い方とは?

人は、「あれやって」「これもやって」などの直接的な行動指示や、「○○ができていないじゃないか」などの「否定」をすると、「抵抗」を感じやすくなります。

お願い上手な人はこの“抵抗”をなるべく生まないように工夫しているのです。

「心理学」の話になりますが、“催眠言語”という言葉をご存じでしょうか。

催眠言語とは、抵抗を感じさせない言い方…つまり、相手に気づかれないように相手の無意識(潜在意識)に直接メッセージを伝える方法を言います。

このテクニックを使い、「依頼」をすると、相手が「自主的」に動いている感覚になるため、「やらされている」感覚が薄れます。結果として、抵抗なく頼みを聞いてもらいやすくなるのです。

では、実践しやすい、2つの方法について具体的に説明します。

催眠言語(1) 引用

「何度も言わせるな。重要なことはメールだけじゃなくて口頭で報告しろ!」

上司と部下、先輩と後輩の関係であれば、このような表現がでてくるシチュエーションもあるでしょう。しかし、毎回頭ごなしに言われては「会議ばかりで席にいないからしょうがないだろ」と相手はイラっとしてしまいます。

そこで有効な方法なのが、「引用」です。

引用とは、第三者や自分の経験を使って、伝えたいメッセージを相手に伝える方法です。

先ほどの例を「引用」で言い換えてみましょう。

「何度も言わせるな。重要なことはメールだけじゃなくて口頭で報告しろ!」

「僕が君と同じ位の年齢のときに、上司にメールのみで報告していて、メールが案の定、埋もれてしまい、クライアントからクレームがきたことがあったんだ。あの時はつらかったな。同じ失敗をしないように、大事なことは口頭で報告しようと肝に銘じたよ」

このように、自分の体験談や第三者を使って伝えることで、相手は直接的に忠告を受けているわけではないし、批判されているわけではないので、素直に耳を傾けやすくなります。催眠言語の引用を使ったメッセージは、相手の無意識(潜在意識)に働きかけるので、「自分もそうならないように気をつけよう」など行動に影響を及ぼしやすくなるのです。

この場合での第三者は、職場の人だと角が立ってしまうような事例もあるかと思いますので、相手が尊敬している人(本などで感銘を受けた人)、カリスマ経営者、歴史上の人物など、相手にとって影響があると思われる事例を引き合いにだすと効果的です。

催眠言語(2) 推量表現

推量表現とは、「~かもしれない」という伝え方です。

自分の意見を断定して言い切るべきところと、可能性はあるが……くらいでとどめておいたほうがいいときとがあります。「押し付け」がないので、相手に受け入れてもらいやすいです。

推量表現で言い換えてみましょう。

「上司には仕事の報告をこまめにしろよ。リスクを見逃すだろ」

「上司には仕事の報告をこまめにしないと、リスクを見逃してしまうかもしれないよ」

上のように言い切ってしまうと、衝突することになるかもしれませんよね。言い切らずに余計な抵抗を生むことなく、スムーズに言いたいことを届けることができるのです。

営業で使える催眠言語

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催眠言語は、営業や販売などさまざまなシーンで使えます。

お客様に、「これは絶対買い替えたほうがいいですよ!」と直接伝えてしまうと、お客様は押し売りされたように感じて、信頼関係を無くしてしまいますし、ともすると反論を生み出しかねません。

「これは絶対買い替えたほうがいいですよ!」

「先日、○○様と似たような状況だったお客様がいらしたんですが『新機能に加え、これだけ省エネになるなら買い替えたほうがコスパはよくなるな!』とおっしゃっていました」(引用)

「そういうことでしたら、そろそろ買い替えたほうがいいかもしれませんね」(推量表現)

このように、売れる営業担当は、相手の反発心を招かずに、うまく催眠言語(引用や推量表現)を使っています。

かくいう私もかつては、お願い「下手な人」でした。同僚にも、後輩にも、先輩にも、そしてお客様にも、「○○したほうがいい」と行動指示ばかりを使って話していました。お客様からは「そうは言ってもね、君~!高いじゃないか」と反論をされることも多かったです。また、同僚や後輩からは「松橋さんの言うことは正しいかもしれないけど、きつい」「正直、松橋さんに言われても響かないよな」。

このように影で言われていたことを後々知り、ショックを受けました。

しかし、これらの催眠言語をうまく使って話すようになってからは、いろいろな人に自分の意見を受け入れてもらえるようになりました。

相手の欠点が目についてしまう人は、「相手のために教えてあげなければ」という思いから、よかれと思って、相手にアドバイスすることがあるでしょう。そのときに、「行動指示」や「否定」で伝えてしまうと、喜んでくれるどころか、抵抗されて、嫌われることにもなりかねません。

大事なことは、相手の立場にたって、「強い命令口調」や「直接的な表現」は使わないということです。自分が言われて嫌だなと思う言い方を避け、相手を思いやって伝えていくと、“イラつかれる”どころか、「大事な報告はちゃんとしよう」「あの人の頼みはきいてあげよう」「書類を早くまわしてあげよう」など、相手が自発的に動いてくれるものです。

松橋良紀(まつはし・よしのり)

コミュニケーション総合研究所代表理事/一般社団法人日本聴き方協会代表理事/対人関係が激変するコミュニケーション改善の専門家/コミュニケーション本を約20冊の執筆家

1964年生青森市出身、青森東高校卒。ギタリストを目指して高校卒業後に上京して営業職に就くが、3年以上も売れずに借金まみれになりクビ寸前になる。30才で心理学を学ぶと、たった1ヶ月で全国430人中1位の成績に。営業16年間で、約1万件を超える対面営業と多くの社員研修を経験する。2007年にコミュニケーション総合研究所を設立。参加者が、すぐに成果が出るという口コミが広がり出版の機会を得る。NHKで特集されたり、雑誌の取材なども多く、マスコミでも多数紹介される。

約20冊で累計30万部を超えるベストセラー作家としても活躍。「コミュニケーションで悩む人をゼロにする!」を合言葉に奮闘中。

著書

『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(大和書房)

「あたりまえだけどなかなかできない聞き方のルール」(明日香出版社)

「相手がべらべらしゃべりだす!『聞き方会話術』」(ダイヤモンド社)

「人見知りのための沈黙営業術」(KADOKAWA)

「何を話したらいいのかわからない人のための雑談のルール」(KAODOKAWA)

「話し方で成功する人と失敗する人の習慣」(明日香出版社)

公式サイト http://nlp-oneness.com

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