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残念な人は「一流になれない」ところに力を割く――マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

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残念な人は「一流になれない」ところに力を割く――マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』の第5回目です。

『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、読むリラックスタイムですら学びの時間に変えることができます。私が強くお勧めする選りすぐりのマンガの名シーンの1コマを解説することで、より多くの方に名作の良さを知っていただけたら幸いです。

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©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「的外れなところで頑張ることに価値なんてない!」

(『インベスターZ』第1巻credit.2より)

大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。

「頑張ることが美徳」は本当か?

投資部の秘密を先輩からすべて聞かされ、戸惑う財前。しかも、財前はすでに「野球部に入部しよう」と決めていました。ところが、財前の希望は投資部キャプテン・神代(かみしろ)によって「プロ野球に進むつもりがないならやめておけ」と一笑に付されてしまいます。

「たとえ一流になれなくても、一生懸命頑張ることには価値がある」と財前は反論しますが、神代に「そんなのは時間の無駄だ」とあっさり却下されてしまいます。それが上の場面です。

財前の言葉には、誰もが共感するところだと思います。しかし、神代も必ずしも努力を否定しているワケではありません。ただ「一流になれないところで無駄な力を使うな」と言っているのです。

「自分が特化すべきなのはどこなのか?」

私たちは、時間も、持っている力にも限界があります。自分が影響を与えられる範囲は自ずと限られており、だからこそ、自分の力をどこに投入するのがもっとも効果的なのかを考えなくてはなりません。

「選ぶ大切さ」について、事例を挙げてみましょう。400メートルハードルの日本記録保持者である為末大(ためすえだい)元選手は、8歳から陸上競技を始め、全日本中学校選手権の100メートル、200メートル、400メートル、走り幅跳びなど複数の種目で中学ランキングの1位に輝いた方でした。

ところが高校生になると、能力は早くも限界に達します。為末元選手はもともと早熟だったため、中学生の時は圧倒的な強さを誇りました。けれど高校生になって他の選手がぐんぐん身体もタイムも伸びていく中で、体の成長が止まってしまった為末元選手のタイムはほとんど伸びませんでした。

陸上選手の間では、100メートル走というのは花形の種目で、誰もが憧れる競技なのだそうです。ですからそれだけ目指す人も多く、競争も激しくなります。為末元選手も、もとは100メートル選手になることを夢見ていましたが、頻繁に肉離れを起こし、身体的に向いていないことは明らかでした。

元選手は陸上コーチの勧めに従い、400メートルハードルに転向し、優勝を果たします。自分でも「400メートルハードルは自分に合っている」とわかったそうですが、それでも長い間、「100メートルで優勝する夢を諦めた」「自ら楽な道を選んだ」ことに苦しんだと、著書『諦める力〜勝てないのは努力が足りないからじゃない』の中で語っています。

過去ではなく、未来に目を向ける

大事なことは、「本当に自分が得たいものは何なのか?」と自分に問いかけることです。為末元選手が本当に欲しかったのは「勝利」でした。「100メートルか」「400メートルハードルか」というのは、結局のところ手段に過ぎません。

私たちは、一人ひとり顔かたちが違うように、持って生まれた才能も違います。もし、本当に「頑張れば夢はかなう」というのであれば、もっと世の中は成功者であふれていなければおかしいのではないでしょうか?

前々回、「「失敗」を引きずることほど、ムダなことはない――マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス」の中でサンクコストの話をしました。人はつい、過去にかけた労力や費用を惜しんで挽回したいと考えます。

しかし大切なのは、「過去の損失」を取り返すことではなく、「未来の利益」を増やすことです。未来の利益がどうなるのかは、今、この時の判断に委ねられています。為末元選手が中学ランキング1位だった過去を捨て、頑張っても一流になれない100メートル競技をやめたように、成果が出ないとわかっていることは、勇気を持ってやめなければいけません。

自分の力を最大限に活用することが、社会のためになる

確かに、人が「できなかった」ことを克服する成功体験は、意義あることには違いありません。しかしそこには大変な困難が伴います。

努力というのは「変えられないことを変える」ことに使うのではなく、「できることをもっと伸ばす」ために使うべきです。でなければ、上記の神代のセリフのように、「君が野球をやってもただの労力の浪費、社会における利益の損失」になってしまうことでしょう。

もし、これをお読みのあなたが、まだ「自分の才能がどこにあるのかわからない」とお思いなのであれば、まずは「自分が一流になれるのはどの分野においてなのか?」を探すことに力を使ってみてください。

人の力には限界がありますが、人の可能性に限界はないのですから。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』が11刷となっている。著作累計は34万部超。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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