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時間と空間を超える驚異の概念「テレイグジスタンス」に5Gの未来を見た

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突然ですが「テレイグジスタンス」をご存じだろうか?
「TELE=遠隔」と「EXISTENCE=存在」を組み合わせた概念。ある対象と遠く離れていながら、あたかもそこにいるかのような感覚が得られるという新しい技術である。

提唱者である東大名誉教授の舘暲(たち すすむ)先生によると、テレイグジスタンスとは「ロボットとVRと通信があってこそ成り立つ技術」だという。

「テレオペレーション=遠隔操作」ということならば、たとえばドローンがある。でもこれは現状では「テレイグジスタンス」ではない。なぜなら、ドローンが飛ぶ姿を地上から見ながら操るから。実際にドローンに乗っているような感覚で操れるとすれば、それが「テレイグジスタンス」。

右が舘先生。で、握手しているつぶらな瞳の色白のコが「TELESAR V(テレサ ファイブ)」。テレイグジスタンスを実践するロボットである。そして奥にいるのが先生の研究室の方だ。写真をよく見ていただきたい。奥の研究室の方と手前の「TELESAR V」は同じポーズ。顔の向きまで一緒だ。これつまり、研究室の方の動きをそのまま「TELESAR V」がなぞっているということ。しかも完全にリアルタイムに動きがリンク

その場で動けばロボットも同じように動く

で、実は現在、「テレオペレーション」は「テレイグジスタンス」に進化しつつある。実社会で活用されている好例としては医療ロボットの「ダヴィンチ」。アメリカのインテュイティヴ・サージカル社が開発した、内視鏡を使って手術を行うロボットで、医師は患者から離れたコンソール(制御卓)を操って施術する。内視鏡カメラが捉えた術野を3D画像で立体的に見ることができるので、血管の縫合など細かい作業が行いやすくなる。

しかし、触覚がないため、医師には「ダヴィンチをコントロールする」という新たなスキルが必要になる。厳密にいうと、それは「実際にメスを手にして行う手術」とは別だ。

それをさらに進化させ、触覚をも伝えて、特別なスキルを新たに学ぶことなく、「普段メスを手にして行う手術」のスキルさえあれば、遠隔地からでも実践できるのが「テレイグジスタンス」なのだ。

実際に体験させてもらった。

ほら、完全に人の動きと同期してますよね?

じゃんけんして負けて頭を抱えるの図がご覧いただけると思う。

この時、自分のすべての感覚はロボットに憑依しているのである。たとえば動画の26秒あたり、右のオジサン(筆者だけど)が「わーっ」て叫んでいますが、自分の両手を見ているはずなのに、そこにあったのがロボットの手なのである。ちなみに、ヘッドマウントディスプレイ越しに見ている世界の様子は足もとのディスプレイに映し出されている。

で、左を見ると、自分の姿がそこにある。「ああ、自分で思っているよりも後頭部が薄いなあ」とかわかる。行動の主体は自分自身のはずなのに、自分の見ている先に自分の姿がある。これ、ちょっとした幽体離脱感覚。「あそこにオレがいる。ということはオレを見ているオレは一体誰だ?」という「粗忽長屋(そこつながや)」的な感覚がまさに体感できるのである。「粗忽長屋」については古典落語の傑作なので、ググっていただきたい。

実験ブースには、手からの位置を捕捉するセンサーが上部に4個、下部に4個設置されている。

手袋から出ている白い球状のモノが、センサーが感知するための目印。指先の四角いモノが、ロボットが指先を触れられた時に感じた「圧」などを人間の指先に伝えるデバイスだ。

左モニターに映る赤いのがロボットで、ブルーはそれをコントロールする人間。動きがシンクロした状態になると、右モニターのように完全に重なって、一体に見える。

なんと「テレイグジスタンス」の発想は37年前。

こんなとんでもない技術に、どうやって到達したのだろう。舘先生に尋ねてみると、なんと最初の発想は1980年だったという。今から37年(!)も前の話だ。

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