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【徹底検証】噂の新食材「ホンビノス貝」は本当にうまいのか

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「ホンビノス貝」という貝をご存じだろうか?

北アメリカの大西洋岸が原産の二枚貝だ。日本では、1998年に千葉市で初めて発見された。

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左がハマグリで右が「ホンビノス貝」なのだが、見た目の印象から「白ハマグリ」「大アサリ」という名前で売られているのを見たことがある読者もいるかもしれない。

この「ホンビノス貝」が、漁獲量の減少したハマグリやアサリに変わる新しい水産資源として期待されているという話を聞いた。

そのうえ、味もいいのだという。

そこで『メシ通』では、「ホンビノス貝」の食材としてのポテンシャルを測るべく取材を敢行。

「ホンビノス貝」とはどんな貝なのか?

果たして、本当においしいのか?

「ホンビノス貝」の名産地・船橋へ

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まずは、船橋港へ。

船橋といえば、スズキの漁獲量・国内第1位で知られているが、実は「ホンビノス貝」の水揚げも日本一。港のある三番瀬は江戸時代、御菜浦(徳川幕府に魚介類を献上するための漁場)に指定されており、現在は、潮干狩りを楽しむことを目的に、首都圏から人が集まる。

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取材に協力してくださったのは貝類の仲買卸業者、かねはち水産株式会社代表取締役の内海金太郎(うちうみきんたろう)さん。

内海さんによれば、船橋港で「ホンビノス貝」が採れ始めたのが2005年ごろ。かねはち水産が「ホンビノス貝」を扱い始めたのは翌2006年からという。

採ったアサリに混じっている「ホンビノス貝」を食べた地元の漁師さんが「これはうまいから仲買で扱ってみてはどうか?」と持ち込んだのがキッカケだったそうだ。

元はシステムエンジニアだった内海さんが会社を辞め、家業のかねはち水産に入社したのが2006年だから、内海さんの仲買卸業者としての歩みは「ホンンビノス貝」とともにあったと言っていいのかもしれない。

現在、かねはち水産で取り扱う貝類の9割が「ホンビノス貝」なのだそう。

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船橋港で「ホンビノス貝」を採っている漁船は20杯ほど。

かねはち水産を含めて4社の仲買卸業者が取り扱っている。

採れた「ホンビノス貝」は直販ぶん等を除いて築地などの市場に出荷される。

「ホンビノス貝」を扱い始めたころの市場の反応は芳しくなくなかったようだ。

それまで誰も食べたことのないものだから、売るのは難しかったですよ。仕入れてもなかなか買ってもらえない。いまでも厳しい状況は続いてます。まだまだこの貝のことを知らない人のほうが多いですからね」

魚介類を知り尽くした漁師さんの舌も持ってして「うまい」と言わせた「ホンビノス貝」。東邦大学理学部の風呂田利夫教授によれば、アメリカの大西洋岸では主要な水産資源であり、本場のニューイングランドクラムチャウダーは「ホンビノス貝」のみを使うという。

そんな食材であるにも関わらず、日本での知名度はまだまだ低い。

なんだか実にもったいない話だ。

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内海さんに、「ホンビノス貝」を手軽においしく食べられる調理法をうかがってみた。

答えは「鍋もの」。

「砂出しは必要ないですし、そのまま入れるだけでいいダシが出るから調理もしやすい。鍋ものならなんでもイケますよ

なるほど。午後からの取材が楽しみになってきた!

老舗料亭出身・齊藤摩多以さんのホンビノス貝料理を味わう

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内海さんにお話をうかがったあとは船橋港を離れ、京成線で東日本橋へ移動。

向かうは今回、「ホンビノス貝」を調理してくれる日本料理店「薬研堀まごころ料理 摩多以」。 こちらがオーナー料理人の齊藤摩多以(さいとうまたい)さん。

赤坂の老舗高級料亭で10年の修行を積んだのち、国の外から日本料理を見直し視野を広げるためにオーストラリアに渡って料理人修行。帰国後は、船橋市内の大手ホテルで和食料理長を務めたという齊藤さんはこの3月、東日本橋の薬研堀不動院のそばにご自身のお店をオープンしたばかり。

齊藤さんと内海さん、そして「ホンビノス貝」との関係は意外と古い。齊藤さんが船橋市内のホテルで和食料理長を務めていた時、内海さんが「『ホンビノス貝』を使った料理をホテルで出せないか?」と齊藤さんに持ちかけた。その頃ちょうど、地元産の食材を使った新メニューを模索していた齊藤さんと意気投合したのだという。

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「ホンビノス貝」の食材としての印象を、齊藤さんに尋ねてみた。

「初めて食べた時、味の濃い貝だと思いました。かつおだしとの相性もよくて、素材としての守備範囲が広い。それと、ハマグリなどよりも日持ちするのがいいですね」

プロの料理人の評価も上々だ。

「『ホンビノス貝』で初めて作った料理は確か酒蒸しでした。今日は、読者の方ができるだけ手軽に作れておいしい料理がいいですよね」という、齊藤さんが用意してくれたのは和洋中の3種類。こんなにたくさんのレシピを考えてくださって、ありがとうございます!

ホンビノス貝料理のレシピ 和食編:ホンビノス貝と小松菜と油あげのおひたし

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材料は、「ホンビノス貝」と小松菜、油揚げ、ショウガ、かつおだしと日本酒。調味料は塩と薄口しょうゆ。かつおだしは市販のだしパックでOK。作ったら冷蔵庫に入れて冷やしておくこと。

ちなみに、船橋は小松菜の生産地としても有名だ。

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まずは小松菜をゆでる。

鍋で沸かしたお湯に小松菜を入れ、色止めのための塩をひと振り。蒸し器があれば蒸すほうがベター。栄養素が逃げず、余計な水分が残らず、歯ごたえが失われず、色が落ちないからだ。

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小松菜は火が通ったらすぐに鍋から上げる。鍋に入れてから10秒ほどでOK。

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鍋に「ホンビノス貝」を入れ、日本酒を注いで酒蒸しにする。

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アルミホイルで落としぶたをする。鍋のフタでもいいのだが、アルミホイルを使えば洗い物が少なくなる。これぞプロ料理人の知恵。

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「ホンビノス貝」は火が通ってから身が硬くなるのが早い。

それゆえ、口が開いたらすぐに鍋から出すことがおいしく食べるコツだ。自然に口が開くのを待とう。開かない貝は死んでいるからおいしくないし、運が悪いとお腹を壊す可能性もある。煮汁は捨てずに取っておくこと。

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鍋から上げた貝の身を取り出す。

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取っておいた煮汁を裏ごししてかつおだしに入れる。

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塩と薄口しょうゆを加えて味を調整。貝の中の塩分が染み出すため、塩は下味を付ける程度にしておくのがポイント。味見をさせてもらったところ、「ザッツ海!」。

濃厚な潮の香りが口の中に広がった。

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「ホンビノス貝」、小松菜、湯通しした油あげを入れて、だし汁に入れて混ぜる。

冷やしたほうがおいしいしいので食べる直前まで冷蔵庫に入れておこう。

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冷えたら器によそって……

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江戸前の刻みのりをかけて出来上がり!

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身がキラキラ光って美しい。

口に入れて、肉厚でぽってりとした「ホンビノス貝」の身をかむと、潮の香りと濃厚な貝のうま味が口の中の広がり出す。思いのほか品のいい味わいだ。

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お気付きの方もいるかもしれないが、このお箸、普通のものと少々違う。竹一番の「帯付」という、料理人が使う盛り付け箸をモデルに作られた竹製の箸だ。

防腐剤や漂白剤を一切使わずに作られているのが特徴で、先細だから料理をつかみやすく、味わいを損なわず、体にも安心。提供した料理をできるだけいい状態でおいしく食べて欲しい、という齊藤さんのまごころが感じられる。

ホンビノス貝料理のレシピ 中華編:紹興酒炒め

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次は紹興酒を使った中華風の炒め物。材料は、「ホンビノス貝」、紹興酒、長ネギ、ショウガ、ニンニク、ごま油、トウバンジャンと塩コショウ。

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長ネギ、ショウガ、ニンニクを刻んでおく。長ネギは青いところでOK。

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フライパンにごま油を強いて中火で熱し、長ネギとショウガ、ニンニクを炒める。ほどよく炒まったら、貝を投入。フライパンを動かしながら火を通す。

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紹興酒をフライパンに注ぐ。

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ここでもアルミホイルの落としぶたが大活躍。

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うーん、いい匂い。

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貝の口が開いたらフライパンからトレーに取り置く。

「ホンビノス貝」は味が濃いため、水を入れて味を調整するといい。

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残った煮汁にトウバンジャンを投入。貝から出る塩味だけで十分なので、基本的に塩は不要。

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お皿に盛り付けた貝にスープをかけて……

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刻んだ浅葱をお好みで散らして出来上がり!

齊藤さんいわく、浅葱の代わりにパクチーも結構イケるらしい。

長ネギ、ショウガ、ニンニクの風味が香ばしい。紹興酒と貝の濃厚なうま味ががっぷり四つで組んだナイスタッグ。コイツはビールが進みます。

ホンビノス貝料理のレシピ イタリアン編:トマトパスタ

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最後はイタリアン風のパスタでシメ。「ホンビノス貝」は元々北米原産。東海岸名物ののクラムチャウダーに使われる食材だから、イタリアンとの相性は鉄板だ。

材料は「ホンビノス貝」、パスタ、きのこ、トマトペースト、ニンニク、生クリーム、ワイン、オリーブオイルと塩。ここでは、齊藤さんが普段お店で出している玄米麺を使用。この玄米麺は島根県の宮内舎が、南雲市産の玄米で作った逸品。香りと食感がよく、グルテンフリーで栄養価が高いのが特徴だ。もちろん一般のパスタでもOK。

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オリーブオイルをフライパンで熱し、刻んだニンニクを炒める。

辛めが好きな人は鷹の爪を入れてもいい。

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フライパンに貝を入れ、塩コショウをして火を通す。

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ワインを投入。

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ファイヤー!

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アルミホイルの落としぶたをして貝を蒸す。

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貝の口が開いたらすぐに取り出す。

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トマトペーストと生クリームを煮汁に入れてソースを作る。

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ゆでた麺をソースの中に投入。

玄米麺の場合は風味を逃さないよう、齊藤さんは蒸したものを使っている。

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ソースが絡んだら火から下ろし、先に麺をお皿に盛り、その上に貝を配置して完成!

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白ワインと一緒にいただきます!

貝のうま味とトマトの酸味の相性はバッチリ。玄米麺のもちもち感が肉厚な身の弾力とマッチしている。貝から出た塩分だけで塩加減は絶妙。貝→麺→ワインという幸せのループ。お酒が弱くて普段はあまり飲まない筆者なんですけれど、どうしちまったんだ!?

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ワインを注いでくれる齊藤さん。恐縮です!

薬研堀まごころ料理 摩多以のカウンターに座って気づいたことがひとつある。それは、幅が広くて厨房との間に仕切りがないこと。だから、気の置けない雰囲気のなか、リラックスして料理を楽しめる。そんな齊藤さんの気配りがうれしい。

結論:「ホンビノス貝」はイケる。そして……

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実際に「ホンビノス貝」を食べて思った。

「ホンビノス貝」はおいしい。

食べる前に筆者は「外来種ゆえに国産のハマグリと比べて大味なんじゃないか?」と想像していた。ところがどっこい、濃厚なうま味を内に秘め、和洋中どの料理にもマッチする優れた食材だった。

そのうえに、 砂抜きが不要で日持ちもいい 鍋に入れれば勝手にいいだしが出る おまけに値段は割安

これ、仕事が忙しくて料理に手間と時間をかけられない、でも、なるたけおいしい料理を作って食べたい自炊派の読者にはうってつけですよね。

思いのほかイケてるなあ、「ホンビノス貝」。

記事を読んで「自分も料理を作って食べてみたい」と思った読者はぜひぜひ試してみてください。ご近所のスーパーで手に入らない方は、かねはち水産のネット通販を利用するといいですよ。「温度管理がしっかりしていて鮮度がいい。スーパーで買うより確実です」と、齊藤さんもおっしゃっていた。

納得です。

お店情報

薬研堀まごころ料理 摩多以

住所:東京都中央区東日本橋2-6-7 本間ビル1F

電話:03-5829-6356

Facebook:https://www.facebook.com/magokoromatai

かねはち水産直販サイト:ホンビノス貝の船橋かねはち水産

※この記事は2017年5月の情報です。

撮影:新納翔

書いた人:渡邊浩行

渡邊浩行

編集者、ライター。アキバ系ストリートマガジン編集長を経て独立。日本中のヤバい人やモノ、面白い現象を取材するため東へ西へ。メシ通で知ったトリの胸肉スープを毎日飲んでるおかげで、私は今日も元気です。でも、やっぱりママンの唐揚げが世界一だと思ってる。

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