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モルゴーア・クァルテット「結成25周年記念コンサート」開催 超絶技巧が唸るプログレ・ロック

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モルゴーア・クァルテット「結成25周年記念コンサート」開催 超絶技巧が唸るプログレ・ロック

 個性的なプログラミングと、近年では特にプログレに対する深い情熱から、日本を代表するカルテットのひとつとなっている「モルゴーア・クァルテット」が結成25周年を迎え、そのコンサートが6月28日、浜離宮朝日ホールでマチネとソワレの2回行われた。

 平日昼間にも関わらず、多くのファンが集まった会場入口には、“ロック・ライブ”ではお馴染みの光景「物販」ブースが備えられており、CDだけでなくモルゴーアTシャツなどグッズが販売されていた。3月リリースされたプログレ新作『トリビュートロジー』のジャケットがプリントされており、モチーフになったELP『トリロジー』への情熱を再確認させられながら、コンサートホールへ。

 第1部は、プログレの巨匠、キース・エマーソンが、プライベートではドビュッシーやラヴェルなどフランス印象派を弾くことが多かったというエピソードから、ドビュッシー『弦楽四重奏曲第1番』が選曲された。記念すべき25周年記念演奏会の第1部、客席の集中力が静かに満ちてドビュッシーの印象的な冒頭和音を迎え入れる。非機能和声と旋法表現でドビュッシーが独自の語法を確立する狭間の、「弦楽カルテット」の歴史に残る新規性とエネルギーが、モルゴーアによって会場に満ちていった。

 休憩を挟んでから第2部は待望のプログレ・プログラムだ。第一ヴァイオリンにして全ての楽曲アレンジを担う、筋金入りのプログレ・マニア荒井英治が『タルカス』のプリントされたTシャツを着用して登場。キース・エマーソン&グレッグ・レイクの『タルカス』7曲による組曲を披露した。もはやプログレにおけるクラシック作品と言っても過言では無いシンフォニックなこの大曲を、たった4人とは思えない分厚い音の層で表現される。シャープで“ロック”なリフが、ヴァイオリンから鋭く鳴り響き、圧巻の演奏となった。

 『タルカス』が終わると、荒井氏は黒いTシャツに着替え、再登場。「このイラスト、ELPのジャケットじゃないですよ、3月8日に発売になった『トリビュートロジー』のジャケットデザインで、出来たてほやほや、3000円です(笑)」と、いわゆる“クラシック”なコンサートではなかなか見ることの出来ない物販案内アナウンスがあり、一転、客席は和やかなムードに。カルテットが積み重ねてきた25年という年月について「最初は長く続けようと思っていたわけじゃないんですけど、一つ一つの本番を面白がってやっているうちに積み重ねていました。お客さんも、面白がってくださるものだから、図に乗っちゃいました」と笑顔で語った。

 続くプログラム『悪の教典 #9』については「いつか全曲やりたいと思っていた曲。『タルカス』以上に、難しい、です。ゆっくりご観戦ください」との言葉通り、演奏者のヴィルトゥオーゾ無くしては成り立たない、めまぐるしい超絶技巧が展開される。コンサートのラストを飾る『悪の教典#9 第3印象』では、オリジナルのELPステージの演出をトリビュートし、弦が切れんばかりの速度で荒井氏が弾き続けるなか、カルテットのメンバーがひとりまたひとりとステージを去っていき、1人残された荒井氏が最後にガク、と壊れた機械のようにうなだれる。壮絶な幕引きが静寂に満たされたあと、大きな拍手がわき起こった。

 アンコールでは再度フランス印象派から、サティのジムノペディを通奏低音に、Still You Turn Me On(ELP)とpeace(キング・クリムゾン)を重ね合せるという、モルゴーアでなければなし得ない、美しいアレンジを披露して締めくくった。モルゴーア・クァルテットは25周年記念のコンサートを2018年1月29日にも予定している。また10月1日には、トッパンホール17周年 バースデーコンサートにてカルテット結成のきっかけとなったショスタコーヴィチに加え、シュニトケのピアノ五重奏も披露する予定。引き続きファンの期待が高まるプログラミングとなりそうだ。Text:yokano Photo:青柳聡

◎公演概要【モルゴーア・クァルテット 結成25周年記念コンサート vol.1】
日時:2017年6月28日 14:00開演/19:00開演
会場:浜離宮朝日ホール

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