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松本大洋が装画! 気鋭の映画監督が描く“しゃべるぬいぐるみとの最期の時間”

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松本大洋が装画! 気鋭の映画監督が描く“しゃべるぬいぐるみとの最期の時間”

寝る時、いつも一緒にいるお気に入りのぬいぐるみが急にしゃべりはじめたら。そんな夢を子どもの頃に描いたことはないだろうか。

そして、もししゃべれたら、きっと無二の親友になれるはず。自分のことを一番よく知っている存在だから。

映画監督・脚本家の片岡翔さんが執筆した初の小説『さよなら、ムッシュ』(小学館刊)は、

幼いころから一緒だった「しゃべる」ぬいぐるみと、病魔におかされた一人の男性の“最後の時間”を描いた物語である。

■余命わずかと宣告された男と親友のぬいぐるみは何をするのか?

小さな出版社で校正の仕事をしている森星太朗は、周りの人には秘密にしていることがある。それは、しゃべるコアラのぬいぐるみ「ムッシュ」と暮らしていることだった。

ムッシュがしゃべりだしたのは、星太朗が世界で一番大好きだった人と別れた夜のこと。20年前、星太朗の母が病気で亡くなった日。母の手作りのコアラのぬいぐるみが、しゃべり出したのだ。それ以来、無二の親友として暮らしてきた。

ムッシュはA4サイズのずんぐりむっくりした体型で、モコモコした毛に覆われている。赤い靴下で作られた大きな耳は両側にぼよんと垂れて、左耳は青い継ぎ当てがなされている。そこに仲良く並んでいるのは星太朗のマークである星の刺繍だ。

そして一番の特徴は、コアラらしい大きな鼻がヒゲと一体化していることだ。鼻の先がくるんと左右にはねて、いかにも「ムッシュ」的な立派なヒゲになっている。

ムッシュの声は他人にも聞こえるし、彼が動く姿は誰にでも見ることができる。しかし、なんでしゃべるのかも、どうして動くのかも謎だった。

ある日、星太朗はしゃっくりが止まらなくなり、病院で検査を受ける。MRI検査の結果、脳に膠芽腫が発見され、余命半年を宣告されてしまう。母親と同じ病気だった。

自分の死期を知った後も、粛々といつも同じように生活をする星太朗。しかし、だんだんと病魔は蝕んでいき、右手の震えが止まらない症状が出てくるのだった。

そんなある日、部屋で「星太朗とムッシュのひみつノート」という古いノートを見つける。開いてみると、そこには「お母さんみたいな小せつ家になりたい(星)」「コアラと遊びたい(ム)」「ムッシュにババぬきで勝つ(星)」「鳥になりたい(ム)」「コアラのマーチを死ぬほど食べたい(星)」という「二人の夢」が書かれていた。

これを見たムッシュは、夢を書き足してそれらをやっていこうと持ち掛け、星太朗は一番目の夢「小説を書く」とおそるおそる、壁に太いマジックを走らせる。

星太朗とムッシュは、二人の夢をひとつひとつ実現させていくことにしたのだ。

作者の片岡氏は、2010年、『くらげくん』でぴあフィルムフェスティバル準グランプリを受賞、同作にて全国各地の映画祭で7つのグランプリを含む13冠を達成する。2014年に初の長編映画『1/11』で商業映画デビュー。脚本家として、映画『きいろいゾウ』『夏美のホタル』などを手掛けている。

小説家デビュー作となる本作は、『鉄コン筋クリート』『ピンポン』でお馴染みの漫画家・松本大洋氏の描き下ろしという豪華な装画となっている。

ぬいぐるみがしゃべりだす、主人公が病魔におかされる――こうしたシチュエーションはある種、「ベタ」だ。しかし、必死にもがいても運命には抗えないと分かっていても、困難に立ち向かい、自分自身を乗り越えていこうとする星太朗とムッシュの友情は胸が熱くなる。

「ベタ」だからこその面白さは私たちを裏切らない。この夏、心に切なさと爽やかさをもたらしてくれる一作だ。

(新刊JP編集部)

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