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吉祥寺のオーダーメイド傘専門店「イイダ傘店」の店主が語る、「世界でただ一つ」の傘への思い

吉祥寺のオーダーメイド傘専門店「イイダ傘店」の店主が語る、「世界でただ一つ」の傘への思い

日本列島は梅雨真っただ中。この時期になると、電車内などに置き捨てられたビニール傘をよく見かける。そうした大量生産・大量廃棄される傘がある一方で、一つひとつオーダーメイドで傘をつくる「傘専門店」が注目を集めている。吉祥寺にアトリエを構える「イイダ傘店」だ。なぜオーダーメイドの傘をつくろうと思ったのか。店主のイイダヨシヒサさんにお話を伺った。

素材の特徴を生かしたデザインで一躍人気に

美術大学時代、テキスタイル(布地・織物)デザインを専攻していたイイダさん。周りの友人は主に衣類に使うための布を制作していたが、イイダさんが選んだのは「傘」。それが現在の仕事へとつながっているという。テキスタイルデザインを原点とするものづくりは、一般的なプロダクトデザインのアプローチとはまるで異なると、イイダさんは話す。

「一般的なデザイナーは“狙って”カワイイ柄やオシャレな柄を作りますよね。まずはデザインありきで、そのために必要な素材をチョイスしていく。でも僕の場合は逆で、素材の風合いや染め方、織り方からインスピレーションを受けてデザインしています。たとえば、亀の柄の傘があるんですが、これには『ほぐし織り』と呼ばれる伝統技法から着想を得ています。この技法を使うと生地が屏風の絵のように渋くなるのですが、それと亀の甲羅の風合いが頭の中で結びつき、こういったデザインになりました」(イイダさん、以下同)【画像1】ほぐし織りされた亀の柄の傘(写真提供/イイダ傘店)

【画像1】ほぐし織りされた亀の柄の傘(写真提供/イイダ傘店)

素材は一つとして同じものはなく、それぞれ染め方、織り方、材質が異なる。つまり、それらの組み合わせの数だけデザインの可能性が広がるというわけだ。【画像2】こちらは「めだま焼きの柄」の傘。「ジャカードの糸の浮き出る感じ」を「目玉焼きの黄味」に見立てている(写真撮影/小野洋平)

【画像2】こちらは「めだま焼きの柄」の傘。「ジャカードの糸の浮き出る感じ」を「目玉焼きの黄味」に見立てている(写真撮影/小野洋平)

また、オーダーメイドというだけあって、お客さんの好みやキャラクターなども考慮してデザインしているのだとか。世界でただ一つの傘の評判は口コミで少しずつ広がり、現在では女性を中心に幅広い世代から注文が入るという。

長く使い続けたくなる傘になる理由

学生時代から傘をつくり続け、ほどなくして友人からオーダーを受けるようになったことで、徐々にそれが本業へとシフトしていったというイイダさん。職人歴は10年以上。現在では会社を設立し、スタッフも増えたが、当初と変わらず一本ずつ手づくりすることにこだわっている。

「例えば店を構えて、大量につくれば儲かるのかもしれませんが、それだと普通のメーカーと変わりません。『直接オーダーを受け、傘を作り、直接渡す』ことに楽しさがあるんです。誰が使うか分からないまま千本の傘をつくるのとは、モチベーションが違うと思います。一本一本にちゃんとつくる意味を感じられるからこそ今でも楽しいと思える。だから、そこは大事にしていきたいですよね」【画像3】イイダさんにとってオーダーメイドはものづくりの原点。「人」対「人」だからこそ得られる喜びは、傘をつくり続ける最大のモチベーションになっている(写真撮影/小野洋平)

【画像3】イイダさんにとってオーダーメイドはものづくりの原点。「人」対「人」だからこそ得られる喜びは、傘をつくり続ける最大のモチベーションになっている(写真撮影/小野洋平)

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