AKB48の総選挙がやたらと盛り上がる理由

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 長くグループセンターを務め、過去3回総選挙で1位を2度獲得した前田敦子さんが、先日のさいたまスーパーアリーナでのコンサートで卒業を表明しました(卒業時期は未定)。これまでも中心メンバーの卒業はあったものの、昨年の総選挙で1位を獲得した前田さんの卒業は、ファンにとっては大きな衝撃となりました。

 ところで、同じコンサート内では他にもたくさんのサプライズが発表されていました。今年6月に第4回総選挙が開催されること、そして東京ドームでの公演が決定したなどです。
 『萌えビジネスに学ぶ「顧客を熱中させる」技術』(中経出版/刊)の著者、藤原実さんはこの一連の「AKB48現象」を通して、どうして人々が熱中しているのか分析をしています。
 今年は6月6日に行われることになった「AKB48 27thシングル選抜総選挙」。藤原さんはこの総選挙を「参加型ゲーム」の象徴だと指摘しています。

 そして、自分の応援するメンバーがどれだけの票を得るのか、そこから得られる一喜一憂など、「ミッション性」「バッヂシステム」といったゲーミフィケーションの要素を考えて創られているのではないかという気さえすると藤原さんは言うのです。
 また、今でこそ人気のAKB48ですが、もともとは非常にマイナーなところからスタートしました。初めての公演の観客が7人というのは有名な話ではあるものの、なかなか信じられる数字ではありません。しかし、少ないながらも熱心なファンに支えられ、次第にファン層が拡大し、コミュニティは大きくなっていきます。

 こうしたAKB48のストーリーの先にある“夢”が東京ドームでの公演でした。AKB48劇場の支配人が運営する公式ブログのタイトルは「AKB48 TOKYO DOME までの軌跡」です。だからこそ、今回のコンサートで発表された東京ドーム公演は、メンバーにとっても、そしてファンにとっても大きな意味を持っているといえるのです。

 「ものがたり」に乗ったファンは、単なる消費者ではなく組織の構成員として、その組織への帰属意識を高め、どうして自分は消費し続けるのかを勝手に語り始めます。
 傍から見れば、お金や時間を費やすファンの行動は、マニアっぽく見える部分もあるでしょう。しかし、意図的にせよ、偶然にせよ、製品サービスに「参加」させる「余地」こそが「ものがたり」のスタートといえます。

 つまり、自分が、推している(好きな)アイドルを支えているんだ、ひいてはAKB48を支えているんだという意識が働いているのです。
 利益の源泉はCDやDVD、コンサートといったものです。しかし、AKB48は最終的にはユーザーに「AKB48というコミュニティに参加する会員権」を販売していると理解することが適切だと藤原さんは言います。

 『萌えビジネスに学ぶ「顧客を熱中させる」技術』には他にも様々なエンターテインメントのビジネスを通して「熱狂的ファン」を作り出す方法が書かれていますが、実はこのAKB48の戦略は、ディズニーランドやアップルの戦略にも当てはまる部分が多くあるようです。
 どうしてAKB48はここまで人気が出たのか。客観的に見てみると、それまで知らなかった新たな一面が見えてくるかも知れません。

(新刊JP編集部)


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