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ハル・ハートリーが“幻の三部作”日本語字幕付きBOXセットでクラウドファンディングを呼びかけ中!

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【ハル・ハートリーは2000年代になぜ消えたのか?】

HARTLEY HFT SALES 028思えばハル・ハートリーの『ヘンリー・フール』(1997)は、20世紀の終わりとともに“ミニシアター文化の終焉のはじまり”を告げるような不吉さが伴っていた。ハートリーが『シンプルメン』(1992)で一躍ポスト・ジム・ジャームッシュ的なインディーズ界の雄となり、ハートリー自身が手掛けるサントラの楽曲を渋谷系ミュージシャン(曽我部恵一、嶺川貴子、AIRら)がカバーしたコンピレーションCDまでリリースされた90年代。ハートリーはサブカル界のマル必映画作家だったとさえ言える。
 
ゴダール等のヌーヴェルバーグの影響をもろに受けつつ、ソニック・ユースやヨ・ラ・テンゴといった当時のインディーロックシーンに接近し、ロングアイランドの寒々しい景色にひと筋の風が吹き抜けるような世界観で人気を博したハートリー。映画監督という存在にロッカー的な佇まいを持ち込んだのはおそらくジャームッシュだが、ジャームッシュが黒のレザージャケットで決めていそうなのと対照的に、ハートリーはシャツのボタンを上まで止めているシャイな文系ロッカーのイメージ。作る映画も、ハイセンスでありつつも心地よい青臭さとハンドメイド感を失うことがなかった。『Amateur(邦題:愛・アマチュア)』(1997)なんてタイトルもハートリーにはしっくりと馴染む。
 
『ヘンリー・フール』に話を戻す。1998年の第51回カンヌ国際映画祭では脚本賞に輝いた作品だが、日本で公開されたのは1999年の末。ミニシアターの代表的存在だったシネ・ヴィヴァン・六本木の閉館記念という、これまた不吉な肩書きが付いていた。日本でも撮影した前作『フラート』(1995)が実験的な内容だったこともあり、多くの人にとっては久しぶりのハートリー作品という感覚だったろう。
 
また、90年代はタランティーノ旋風が吹き荒れた時代で、インディーズ映画の様相も大きく変わった。アート系のイメージから、B級テイストやジャンル物を取り入れた娯楽性の高いものが主流になっていった。今にしてみれば信じられないが、当時はブライアン・シンガーのような監督でさえインディーズ系の新星として扱われていたのだ。
 
『ヘンリー・フール』

さて、『ヘンリー・フール』は、悪魔か堕天使のような性質の悪い自称天才作家のヘンリー・フール(トーマス・ジェイ・ライアン)と、ヘンリーに焚きつけられて詩人の才能を開花させるゴミ収集人サイモン(ジェームズ・アーバニアク)の物語だ。ヘンリーはサイモンの導師となるのだが、実像はルサンチマンをこじらせたロクデナシで、サイモンの姉フェイ(パーカー・ポージー)を妊娠させて地味に所帯を持つことになる。
 
結局ヘンリーは殺人犯として追われる身となり、サイモンが身代わりを申し出て国外逃亡を図る。ストックホルム行きの飛行機にみっともなく走る中年男ヘンリーの姿を捉えたラストは、ハートリーが2000年代にベルリンに居を移すことを暗示していたのかどうか。
 
日本では『ヘンリー・フール』の後、2000年にWOWOWでお披露目されたテレビ作品『ブック・オブ・ライフ』(1998)を最後にハートリーの名前を聞く機会がぱったりと途絶えてしまった。2001年にはフランシス・フォード・コッポラが製作総指揮を務めたキャリアで一番の大作『No Such Thing』を撮っているが、批評も興行も厳しい結果に終わり、日本ではソフトすらリリースされていない現状だ。以降もコンスタントに活動を続けているのだが、2014年に中編『はなしかわって』(2011)が劇場公開されるまでの14年間、ハートリーの新作は黙殺されていたのである。
 

【幻の作品だった「ヘンリー・フール三部作」の全貌がついに!】

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そんな“ハートリー空白時代”に『フェイ・グリム』(2009)の話が飛び込んできた時は驚いた。ハートリーが9年ぶりに『ヘンリー・フール』の続編に着手し、パーカー・ポージーが演じたサイモンの姉でヘンリーの妻、フェイを主人公に据えるという。そしてフェイが行方不明になったヘンリーを探してヨーロッパに赴き、国際的なスパイ戦に巻き込まれるというプロットにさらに驚いた。「なんだそりゃ!もうジャンルが違うどころじゃないでしょう!」と。
 
なぜ続編がエスピオナージスリラーに変貌したのかは、まだ作品を観ていないこともあってよくわからない。当時ベルリンで暮らしていたハートリーが、地元ロングアイランドでは見えなかった新たな視点を獲得したかも知れない。前作ではロクデナシの口先番長だったヘンリーが国家機密を握る重要な存在だったいういきなりの大風呂敷も、まったく予想がつかないからこそ気になってしょうがない。
 
ちなみにRottenTomatoesのトマトメーターを見ると『フェイ・グリム』は44%と評価は低い。前述の『No Such Thing』が29%、続く『The Girl from Monday』(2005)は38%であり、実際の価値はともかくとして2000年代のハートリーがいかに暗黒時代だったかがわかる。
 
三部作の完結編『ネッド・ライフル』(2014)は、ハートリーの制作会社POSSIBLE FILMSによりKickstarterのクラウドファンディングで資金が集められた。“ネッド・ライフル”という名前はハートリーが自作のサントラを制作する時のミュージシャンネームとして知られているが、本作ではフェイとヘンリーの間に生まれた息子ネッドのこと。いろいろあって家族離散状態のまま18歳になったネッドが、不幸の元凶でありヘンリーを探し出して殺害しようと決意するロードムービーだという。
 
ネッド役のリーアム・エイケン(『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』)は『ヘンリー・フール』『フェイ・グリム』からの続投で、『ヘンリー・フール』公開時はまだ7歳だった。エイケンだけでなく、ヘンリー役のトーマス・ジェイ・ライアン、サイモン役のジェームズ・アーバニアク、フェイ役のパーカー・ポージーは17年に渡ってこの三部作に付き合い続けたことになる。
 
さらに『ネッド・ライフル』には、マーティン・ドノヴァン、ロバート・ジョン・バーク、ビル・セイジ、カレン・サイラスと90年代のハートリー作品を支えた常連俳優が再結集(この四人が揃うのは『フラート』以来か)。自身のオルターエゴである“ネッド・ライフル”を作品名に据えたこともあり、集大成的な作品なのではないか、と勝手に推測している。ひとつの指標としてまたRottenTomatoesを覗いてみると、トマトメーターは80%といきなりの高評価だ。
 
さて、日本ではいつの間にか続編が作られ、いつの間にか完結していた感のある「ヘンリー・フール三部作」。ハートリー自身も多くの人に届けられなかった現状を憂いていたようで、現在Blu-ray及びDVDのBOXセットとしてリリースすべくクラウドファンディングを募集している。このプロジェクトの最大のトピックは、日本未公開の『フェイ・グリム』『ネッド・ライフル』に初めて日本語字幕が付くこと。ハートリーはファンが英語の壁に阻まれないように、英語、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の五種類の字幕を付けるのだという。
 
さらにこの「ヘンリー・フール三部作」を皮切りに、デビュー以来の長編中編全14本を、HD画質、五か国語字幕でリリースしていく予定で、日本では鑑賞することが困難になっている『トラスト・ミー』のような名作にも日本語字幕が付くことになる。とはいえ遠大な構想も今回のクラウドファンディングの成功次第であり、ハートリーも「日本語字幕が付くことをぜひ日本のみなさんに知って欲しい」と呼びかけている。実現を応援したい気持ちから、劇場以外の鑑賞法の可能性を探求するShortCutsでも取り上げることにした。
 
 
文:村山章
ALL PHOTOS COPYRIGHTED BY POSSIBLE FILMS, LLC
 
「ヘンリー・フール三部作」BOXセットのクラウドファンディングのサイトはこちら。
https://www.kickstarter.com/projects/260302407/henry-fool-trilogy-boxed-set/
期限は7月13日までで、申し込んでも目標額に達しなければ課金されない。金額によって特典が変わるので、以下に特典リストを挙げておく。
 
《クラウドファンディング特典》
●10USドル BOOKMARK
ヘンリー・フール三部作オリジナルしおり
 
●25ドル CD
ハル・ハートリー新作CD『After The Catastrophe』
ヘンリー・フール三部作オリジナルしおり
 
●35USドル CALENDER
halhartley.com 2018年オリジナルカレンダー、しおり
 
●45USドル BOOK
オリジナルブック(インタビューやエッセイを収録)
 
●50USドル CD & CALENDER
新作CD、カレンダー、しおり
 
●75USドル CD, CALENDER & BOOK
新作CD、カレンダー、ブック、しおり
 
●100USドル DVD SET & CD ※送料無料
ヘンリー・フール三部作DVD BOXセット、新作CD
 
●110USドル DVD SET & CALENDER ※送料無料
ヘンリー・フール三部作DVD BOXセット、カレンダー
 
●115USドル BLURAY SET & CD ※送料無料
ヘンリー・フール三部作Blu-ray BOXセット、新作CD
 
●120USドル DVD SET, CD & CALENDER ※送料無料
ヘンリー・フール三部作DVD BOXセット、新作CD、カレンダー
 
●125USドル BLURAY SET, CD & CALENDER ※送料無料
ヘンリー・フール三部作Blu-ray BOXセット、新作CD、カレンダー 
 
●140USドル DVD SET & BOOK ※送料無料
ヘンリー・フール三部作DVD BOXセット、ブック、しおり
 
●175USドル THE NED ※送料無料
ヘンリー・フール三部作Blu-ray BOXセット、新作CD、カレンダー、ブック
 
●250USドル THE FAY ※送料無料
DVD BOXセット、Blu-ray BOXセット、新作CD、カレンダー、ブック、しおり
 
●500USドル THE HENRY ※送料無料
DVD BOXセット、Blu-ray BOXセット、新作CD、カレンダー、しおり
『ヘンリー・フール』オリジナル白黒スチール(選択可)
 
●1000USドル SPECIAL THANKS ※送料無料
DVD BOXセット、Blu-ray BOXセット、新作CD、カレンダー、ブック、しおり『ヘンリー・フール』オリジナル白黒スチール(選択可)
ハル・ハートリー撮影の俳優ポートレート写真(選択可)
 
●5000USドル SPONCER ※送料無料
DVD BOXセット、Blu-ray BOXセット、新作CD、カレンダー、ブック、しおり、白黒スチール(選択可)、ポートレート写真(選択可)
スポンサーとしてお名前をクレジット
 
●10000USドル PRINCIPAL SPONSOR
DVD BOXセット、Blu-ray BOXセット、新作CD、カレンダー、ブック、しおり、白黒スチール(選択可)、ポートレート写真(選択可)
プリンシパルスポンサーとしてお名前をクレジット
※送料無料

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