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【インタビュー】シャープが手がけるベンチャー支援!モノづくりのイロハを10日間で学べる「モノづくりブートキャンプ」とは

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SHARP-1ITベンチャー企業が「モノを絡めたサービスを提供したい!」「IoTサービスを始めたい!」といっても、実際にモノを作るとなると、これまでのインターネットテクノロジーの技術以外に、モノづくりの知識やノウハウが必要となってきます。

「モノってどうやって作るんだろう?」「そもそも材料はなにを使う?」「量産の際どうやって作るの?」「工場へ依頼はどうすればよい?」

会社によって疑問を持つ段階は様々ですが、ひとつモノを作ろうとするだけで、わからないことが山ほど出てきます。

そんな「IoTベンチャー企業」のモノ作りを全面的にバックアップする研修が、シャープとさくらインターネットが運営する「モノづくりブートキャンプ」です。

モノづくりブートキャンプを運営しているシャープのオープンイノベーションセンター 所長 村上善照さんと、実際に研修を受けた株式会社tsumug代表の牧田さんにお話を伺いました。

・モノづくりブートキャンプとは?

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モノづくりブートキャンプは、奈良県の天理市で9泊10日かけて行うモノづくりに特化した研修です。

モノづくりの基本プロセスから、例えば回路基板盤設計や、プレス金型の基礎といったモノづくりの基本プロセスだけではなく、品質管理やコスト管理までを一貫して学べます。研修プログラムのゴールは製品要求仕様書を作成すること。

製品要求仕様書は、量産化する際に工場へ発注をかける時に必要不可欠な書類です。この仕様書が定まらないと、いざ製品化の際にトラブルが発生したり、コストを下げられなくなります。

サービスをローンチするのにはもちろん、スケールするためにも量産は避けて通れません。また、現場を体感しないとわからない、工場とのおつきあいの仕方のイロハも学べます。

・参加するタイミングはどのフェーズでも良い

村上さん曰く、「モノづくりに関わるのであれば、どのタイミングで参加していただいても大丈夫。本当に困っている会社さんに参加していただければ、我々は大きく貢献できます」とのことです。

しかし、推奨する企業のフェーズはあります。それは、プロトタイプを作っている、投資家に評価されている、近い未来に量産する、アイディアベースでも投資家から評価されている、モノづくりのノウハウは無いが先んじて勉強しておきたい企業……などは参加すると得られるものが大きいそうです。

研修に参加される企業には、モノづくりの基本的なことが学べるテキストが事前に配布されます。「研修が始まる前に自分たちで勉強できるところはしておきましょう」というスタンスで、ブートキャンプの当日は自分達が困っていること、知りたいことをクリアにするために多くの時間を使えます。

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これまでクローズドで1回、正式に3回研修を実施していて、クローズドも含めてこれまで参加された企業は17社だそう。

製品要求仕様書を仕上げられるように、前半の1日目〜6日目までシャープの社員によるレクチャーが中心。7~8日目で実際に製品要求仕様書を作成し、最後の2日間は製品要求仕様書の検討会、ディスカッションとまとめに入る。知識ゼロから10日間で工場発注までのノウハウを学べる。そんなプログラムです。

研修は毎日朝8時から20時くらいまで行い、その後シャープの独身寮に宿泊します。そこにはモノづくりブートキャンプのスタッフやシャープの社員も宿泊し、交流を交えながらディスカッションを続けるそうです。日中学んだことを踏まえてチームで相談したり、仕事をしたりと、なかなかハードな日々を過ごします。

・何故モノづくりに特化した研修なのか?

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昨今ベンチャー、スタートアップと聞くと、IT関連のサービスや会社を思い浮かべることが多いと思います。そのITが生活に広がっていくと、モノとの連携は欠かせません。

そこで「モノづくり」という全く別次元の要素が入ってきます。シャープが長年培ってきたモノづくりのノウハウを、研修を受けたベンチャー企業が活かすことにより、日本がさらに元気になるのは間違いありません。

そんなモノづくりブートキャンプで学べることの一例を紹介します。

まず、コスト管理。商品を量産するには「金型」が必要です。この金型は製品要求仕様書を作り込んで一発で決まれば良いのですが、調整が効かない金型を作ってしまった場合、新たに作り直さなければいけません。この金型を作るのにはかなりコストがかかるので、失敗を繰り返すと商品へ上乗せされる金額がどんどん大きくなってしまいます。

さらに、金型をキッチリ作ったとしても、モノづくりの世界では必ず不良品、即ち「アウト」が出ます。アウト率を下げるのは当然の課題ですが、このアウト分の材料費、光熱費も製品代金に上乗せされる。

万が一不良品が流出してお客様の手に渡ってしまった場合、会社に連絡が来る。その対応のためにコールセンターを設置すると、その人件費がかかる。これも商品代金に上乗せされる。

モノを1つ作る際のコストだけでも、原価や工場に払うお金だけではなく、様々なことを考慮する必要があるんです。なんとなく分かっているかもしれないですが、いざモノづくりをする場合、考えなければいけない要素が多くて、ビックリしちゃいますよね。

「シャープが経験した手痛い失敗例を研修で沢山学んでもらい、遠回りせずに事業を行って欲しい」との願いがあるとのことです。

・研修を完了したあとのフォロー「量産アクセラレーションプログラム」

モノづくりブートキャンプは仕様書を作るまでを習得できるプログラムですが、希望があれば「量産アクセラレーションプログラム」もシャープは提供しています。

量産化の仕様決定、工場選定から見積もり、量産立ち上げ、最終製品の品質確認までをハンズオンで支援するプログラムです(別料金)。

モノづくりブートキャンプを受講後、具体的に製品展開を押し進める際に便利。ココで注意したいのは、シャープの工場を使わせてもらい、量産化するのではなく、シャープが所有しているネットワークを紹介してもらうカタチになるということ。製品要求仕様書が出来上がったあとにスピード感を持ったまま突き進めるのはありがたいと感じました。

・シャープがモノづくりブートキャンプを手がける理由

シャープは液晶を始めとする利益率が低いBtoCのビジネスがメインですが、「利益率が高いBtoBのビジネスを増やさなければ」と考えたそう。

これまで100億、1千億のビジネスを立ち上げようとする体制を、1億、10億の事業を10本、100本の柱として育てる。その切り口の1つとして、ブートキャンプサービスを立ち上げたという背景があります。

ブートキャンプを通じて沢山の事業の立ち上げをシャープとしても勉強させてもらい、自社ではやりにくい事業などを小さくても良いのでスピード感を持って立ち上げる。そんなベンチャー風土を取り入れさせてもらっているとのこと。

まずはモノづくりの視点でサポートさせていただき、最終的にはBtoBのビジネスを増やしていくのが目標だそうです。

・工場との交渉を始めたあたりに研修と出会う

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モノづくりブートキャンプのテスト会(0期)に参加した株式会社tsumug代表、牧田さんにお話を伺いました。

牧田さんはシャープがモノづくりブートキャンプの立ち上げ時に話を聞き、2016年の夏にクローズドで行われた0期に3人のメンバーで参加したそう。

もともと牧田さんはスマホアプリを作っていたのですが、スマホの外のサービスに挑戦すべく2015年12月に起業。「ご自身も物理カギをコピーされて不法侵入された」という経験から、スマートロックの開発に乗り出しました。こちらは不動産向けのサービスで、実証実験もしながら今夏のローンチに向けて進めています。

牧田さんはこう言います「ブートキャンプ参加以前に工場とやりとりをしたことがあり、共通言語が無くて苦戦しましたし、痛い思いもしました。モノづくりブートキャンプでは工場はどういうことを思っているのか?や、価格感、スケジュール感などを網羅的に学べます。量産を考えている企業は受けて損はないです」と言います。

IoTブートキャンプは、現場の最前線で1番苦労している人が講師を行います。オールシャープで運営しているからこそ、現場のリアルがわかる。一般的なコンサルとは違うというのがメリットだと感じました。

個人的な話ですが、筆者は11年間ペットボトルの工場で勤めていました。新製品の試作段階では実際に金型を削って調整したり、ペットボトルをある程度数を作らないと品質を安定させられない・・・など、村上さんと牧田さんの話を聞いて、工場現場のリアルを思い出しました。モノづくりに挑戦したい企業は、この工場の様子が見えているとモノづくりの理解が一気に進むそうです。そんな現場を知れる研修なんですね。

まだ3回目のモノづくりブートキャンプが終了したばかり。気になるベンチャーの方は、次回募集を首を長くして待っていてはいかがでしょうか?

詳しくはコチラ→SHARP IoT.make Bootcamp

カテゴリー : デジタル・IT タグ :
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