ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

海外添乗員からフリーランス・トラベラーになったぼくが今、旅について伝えたいこと

DATE:
  • ガジェット通信 GetNewsを≫
海外添乗員からフリーランス・トラベラーになったぼくが今、旅について伝えたいこと

中学生の頃だったか、地理の授業中に地図帳を眺めながら、

「日本地図は本当に正しいのだろうか? 道は、本当にこのとおりに繋がっているのだろうか?」

と疑問に思ったことがある。 海外添乗員からフリーランス・トラベラーになったぼくが今、旅について伝えたいこと

初めて地図帳を手渡されたときから、「はい、日本はこういうものですよ」と一方的に押し付けられているような気がして、なんだか納得がいかなかった。

大学3年生になってもその疑問が消えなかったのだから、ぼくは少し変わり者なのかもしれない。でも、自分の目で確かめなければ気が済まなかった。結局その夏、一冊の地図帳を持って、自転車で神奈川県横須賀市から九州を目指した。

「九州までの道が地図どおりに繋がっていたら、これ以降、地図を信じることにする」

自分の中でそう決めた。走った道をマーカーで塗りつぶしながら、毎日約100km自転車を漕いだ。

13日かかって、本州と九州とを結ぶ関門大橋の前に立った。道はまさしく地図どおりに繋がっていた。地図は正しかった。ぼくの負けだ。その当たり前の事実に無性に感動したのは、素朴な疑問や好奇心に対してまっすぐ向き合い、自分の目で確かめ、納得することができたからだと思う。

その後、自転車で九州を一周した。初めての土地で、知らない人たちに出会い、道を教えていただいたり、食べ物を恵んでいただいたりした。人の優しさ・親切さが心に沁みた。「旅はなんて楽しいのだろう」と思った。

「旅」が育むもの

海外添乗員からフリーランス・トラベラーになったぼくが今、旅について伝えたいこと

「生の体験」「自分の目で確かめること」の大切さを次に実感したのは、大学4年生の夏、自転車で西ヨーロッパ12カ国を一周した際に訪れたバルセロナでのことだった。

今やGoogle Mapsを見れば、その町のどこにどんなお店があるのかさえわかってしまう。あるいはVRの到来によって、「あたかも自分がその町にいるかのような」旅の疑似体験ができる時代が、すぐそこまでやってきている。

だけど、テレビや雑誌で見慣れていたサグラダ・ファミリアを前にしたとき、映像では決してわからなかった繊細な彫刻に気付き、鳥肌が立った。あれは「建物」ではなく、「生き物」なのではないかと思った。世の中には、実際に見ないことにはわからないこともある。

どんなに文明が進歩しても、きっと旅はなくならない。旅人はこれからも、世界各地へ足を運ぶ。自分の目で見て、全身で感じるために。その体験から得られるインスピレーションは、とてつもなく大きい。旅によって豊かな感性が育まれ、仕事の質、人生の質を高めることにも繋がるだろう。

また、感動と興味は密接に繋がっている。たとえばサグラダ・ファミリアに感動したら、ガウディに興味を持つだろうし、外尾悦郎さん(サグラダ・ファミリアの主任彫刻家)の本だって読むかもしれない。旅がきっかけで、視野と知識はさらに広がっていく。

海外添乗員として
世界各地へ

海外添乗員からフリーランス・トラベラーになったぼくが今、旅について伝えたいことぼくは旅に魅せられてしまった。早稲田大学の理工学部を出ていながら、新卒で都内の旅行会社に入社し、海外ツアーの添乗員として約6年働いた。主にシニア層のお客様を、世界各地へご案内した。年間100日以上海外へ出ていた年もある。また、海外旅行情報誌の編集にも携わり、旅の文章を書き続けた。寝ても覚めても、旅だった。
 アラスカの森で出会った野生のグリズリーベア。-40℃の世界で眺めたオーロラの爆発。オーストリアの教会から漏れてきた賛美歌の美しさ。傘を差さないフランス人。オランダの自転車文化。ホーチミンのオートバイ。ドイツで食べた屋台のホットドックのおいしさ。見たこともないルーマニアの地ビール。ブダペストの夜景。マレーシアのスーパーで見かけた不思議なフルーツ。お城から町中に鳴り響くパイプオルガンの音色。謎に包まれたイースター島。 もう、全てが楽しい! 日本では味わえない全てが。どの国へ行っても、日本との違いに驚いた。
 それがその国の文化なのだから、「良い・悪い」「正しい・正しくない」で判断することはしない。全ての違いを、そのまま全身で受け止める。 すると、自分の意識が広がっていく。今まで、世界のことを知っているようで、何も知らなかったのだと気付く。ニュースではわからないこともある。世界の大きさを知り、自分の小ささを知る。自然の偉大さの前に、人間はあまりに小さい。そして世界には様々な人たちがいて、日本の常識も通用しない。「当たり前」だと思っていたことは、実は「当たり前」ではなかった。自分の小ささを認めることは辛いことでもあるが、それが全ての出発点になる。
 「自分は何も知らなかったのだ」と「無知の知」を認めたところから、意識は拡大していく。身体はスポンジのようになり、すべてをしなやかに吸収していく。様々な土地へ足を運び、人と出会い、文化や自然にふれるたびに、またひとつ、またひとつと自分の心の中に風景が増えていく。目を閉じれば、アラスカの海に氷河が崩落している光景を思い浮かべることができる。ポルトガルで出会った『ONE PIECE』が大好きな青年は、今もあの町で元気にしているだろうか? ぼくは、旅がもたらす豊かさを皆さんと共有していきたい。

旅は平和産業

海外添乗員からフリーランス・トラベラーになったぼくが今、旅について伝えたいことそして旅は、平和を作る産業である。旅人たちは、大いに自覚していただきたい。自分が「日本の親善大使」だということを。決して大袈裟な話ではない。たまたま話しかけた売店のおばちゃんにとって、あなたはもしかしたら「初めて話した日本人」かもしれないのだ。国の印象は、人の印象に他ならない。だからこそ、日本でも海外でも、出会った人には親切にしてあげてほしい。ひとりひとりの、その小さな小さなコミュニケーションの積み重ねが、平和への道だと信じている。 「仕事にしたら、もしかしたら旅が嫌いになるかもしれない」と内心では思っていた。でも、真逆だった。ぼくが昨年末に旅行会社を退職してフリーランスになったのは、自分の意思で、さらに自由に旅を続けたいと思ったからだ。 「20代のうちに、たくさんの世界を見たい」と思って、ぼくは海外添乗員という仕事を選んだ。実際にたくさんの世界を訪れることができたし、この仕事は本当に楽しかった。ただぼくの場合、シニア層のお客様と接するのが主だった。
それも尊いことに違いないが、今後はとくに、これからの日本の未来を築いていく10代、20代、そして同世代の人たちに、旅の魅力や楽しさを伝えていく仕事がしたい。海外に出て、日本の将来を考える。そんな旅人を増やしたい。

旅をしながら
旅人を増やす仕事

海外のことばかり話したが、もちろん日本の旅だってとても楽しい。今年1月には、東京から大阪まで600kmを徒歩で旅した。「東海道五十三次」を歩くのが昔からの夢だったからだ学生時代には、財布を持たずに無一文で四国を旅していたこともある。昨年は国内添乗員の仕事もしていたから、日本の奥深さも改めて感じた。海外でも日本でも、行きたい土地はまだまだたくさんある。 この10年間、様々な旅の体験が積み重なり、今の自分が築かれていった。現在は「フリーランス・トラベラー」という、まだ確立されていない職業に魅力を感じ、試行錯誤を繰り返しながら、道なきキャリアの道を歩んでいる。 今はカリフォルニア州のサンディエゴで英語を学びながら生活している。暮らしてみて、初めて気付けたこともある。6月からは、飲料メーカーのチェリオ公認「ライフガードニンジャ」として、サンディエゴからポートランドまでアメリカ西海岸縦断の自転車旅をスタートさせる。約2,500kmの旅で感じたことを、自由に表現していきたい。 「TABI LABO」では、これまで日本各地、世界各地を旅するなかで見聞きしたこと、感じたことを、個性と熱量とオリジナリティを持ってシェアしていきたいと思います。次回からもどうぞよろしくお願いいたします!Licensed material used with permission by 中村洋太,(Facebook),(Twitter),(Instagram)

関連記事リンク(外部サイト)

世界を舞台に覚悟を持って生きる—海外でフリーランスとして働くには? -龍 フェルケル
じつは会社員より大変なことばかり?「フリーランス」に必要なスキルとは
「組織人」と「フリーランス」の違いをイラストでどうぞ。

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
TABI LABOの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。