ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう
ワンダーウーマン

3分で分かる認知症カフェ!どんな場所?参加するメリットは?

DATE:
  • ガジェット通信 GetNewsを≫
認知症カフェアイキャッチ

読みかけの本を開くために、お気に入りのコーヒーを楽しむために、忙しい日々にくつろぎを与えてくれる「カフェ」。そんなカフェが「認知症」とコラボレーションする「認知症カフェ」の取り組みが、今全国で始まっています。「聞いたことはあるけれど、具体的に何をする場所なのかよく知らない!」という方も多いのではないでしょうか。今回は、認知症カフェの基礎知識や参加方法、運営してみての感想などをまとめます。

認知症カフェとは

認知症カフェとは、認知症の人と家族、地域住民、専門職等、誰でもが参加でき、集う場です。カフェのようにリラックスした場所で、お茶を飲みながら認知症について気軽に意見交換ができる、イギリス・アメリカのメモリーズ・カフェやアルツハイマー・カフェ等をヒントに生まれました。平成25年「新オレンジプラン」(認知症施策推進総合戦略)の戦略の一つに掲げられ、全国650箇所以上に広がっています。

認知症カフェの開設数推移グラフ

また、認知症カフェを運営する設置主は、市区町村といった自治体や地域包括支援センター、介護サービス施設・事業者、社会福祉法人、NPO法人と多岐に渡ります。
認知症カフェの設置主の内訳(厚生労働省資料より)

認知症カフェの主な目的は、次の通りです。
認知症の人の意思が尊重される社会になること
当事者・家族、地域住民、専門家が相互に情報交換ができる場づくり
家族(介護者)の負担軽減
認知症の人が地域での生活を継続する環境づくり(暮らしの工夫)

孤立しがちな認知症の方やそのご家族が、地域に溶け込みながら安心して暮らすための施策として、認知症カフェが位置づけられていることが分かります。
参加条件は特になく、関心がある人であれば誰もが参加することができます。参加費の相場は無料から1,000円程度で、数百円程度が相場です。

認知症カフェの内容はどんなことをしているの?

では認知症カフェでは実際にどのようなことが行われているのでしょうか?その一例をご紹介します。
専門家による勉強会、講座
認知症の知識についての勉強会や、暮らしに役立つ情報講座など、あらゆる講座が行われます。介護や医療の専門職はもちろん、交番の警察官、消防署員、町内会長、スーパーの店長など、その地域・分野に精通したあらゆる専門家が講師になります。
情報交換
各家庭での介護の工夫や体験談、今後の心配事などを話し合い、情報交換をします。情報交換といっても堅苦しいものはなく、お茶やコーヒーを飲み、お茶菓子をいただきながら、ゆるやかな雰囲気で話し合うものです。

相談
認知症当事者の方や家族が、病気のことや介護のことについて気軽に相談できる場でもあります。「医師やケアマネに聞くほどでもないけど、相談したいな」という程度でも、認知症に少し詳しい人に気軽に聞ける良さがあります。話題は認知症だけでなく、健康相談や今晩のおかずまで広がることも…。
その他アクティビティ
他にも、参加者間で交流が生まれるさまざまなアクティビティが取り入れられています。例えば、参加者が料理を作る、カラオケ、ミニコンサート、脳トレゲーム、編み物や散歩や体操、園芸など、その内容はカフェによって多岐にわたります。また、認知症の当事者や介護者は参加するだけでなく、自らが教える側になることもあります。

【参考記事】認知症カフェ体験レポート『Dカフェ・ラミヨ』に行ってきた

認知症カフェに参加するメリット

認知症カフェに参加することでどんな良いことがあるのでしょうか。それぞれの立場で得られる効果をいくつかご紹介します。

当事者のメリット

認知症と診断されたばかりの方、そうでない方にそれぞれにまず、地域活動に参加できる場を得ることができます。

そこから当事者だからこそできる、伝えられることを通して、地域の人々とともに住みやすい社会を作ることにつながります。「役割を得ること、社会に貢献できること」を見つけるきっかけになる場とも言えます

また、認知症の発症がきっかけで自宅に閉じこもりがちになる当事者の方が多くいます。カフェで他人とお茶を飲みながら他愛もない会話ができる場所は、自分らしさを取り戻せる場でもあります。

【関連記事】認知症カフェで友達を見つけることができた母の話

家族のメリット

ご家族にとってのメリットもたくさんあります

介護仲間とのつながり

家族が認知症になったことを誰にも言えずに身を削りながらケアをしている方はいまだに多くいます。2軒隣の家に認知症高齢者の介護に疲れ果てたご家族が存在していることを知らない人もいるでしょう。そんなご家族に対しては、地域で相談できる人が見つけられることは大きなメリットです。また、地域の専門職とつながることで、もしもの時に頼れる安心感が生まれます。

日頃のストレス解消・楽しみ

認知症ケアに限らず、日常生活でのストレスを近所・地域の方や専門職と話すことで解消する場にもなります。「つらいのは自分ひとりだけではない」「同じ気持ちを持っている人がいる」と実感することは、励みになるものです。ただ単純に誰かと話したい、人と会うこと、笑い合うことを楽しむためにもご利用になれます。

介護の知識を得ることができる

認知症カフェでは、専門職や介護経験者とじっくり話すことができます。実生活に沿った介護の工夫は、市販の本やインターネットの情報だけでは得られない学びがあります。同じ境遇の者同士だからこそ共有できる情報を交換するので、帰ってすぐに活かせることも多いはずです。

介護従事者等のメリット

介護を生業にしていると、一般の人の「ふつうの暮らし」、「ふつうの感覚」を忘れてしまうことがあります。そして介護職としての視点が確立されるほど、当事者や家族の視点からズレが生じてしまうことがあります。認知症カフェで、認知症の当事者やご家族と触れ合うことで、今一度初心に帰って自分のケアを振り返るきっかけになります。

認知症カフェを運営してみて

認知症カフェのイメージフォト
筆者も最近、地域包括支援センターと協働し、認知症カフェの運営をはじめた一人です。お菓子をつまみながらざっくばらんに話すことで、普段あまり話せないような家庭内介護の悩みや不安なども冗談交じりにポロっとこぼれ落ちてきます。地域の新しいコミュニティ作りに手応えを感じています。一方で、いくつかの課題も見えてきました。
「認知症カフェ」というネーミング

地域によっては家族に認知症の人がいることを公にすることを良しとしないケースも未だにあります。その場合、「“認知症”カフェ」というネーミングを前面に押し出すことで、むしろ参加を阻害してしまうことも考えられます。私が運営しているカフェでは、「つむぐカフェ」と打ち出し、「認知症」と仰々しい看板を掲げないアプローチを心がけています。

レスパイト機能は行き届いているのか?

「本当に限界状態で介護にあたっている家族こそ参加できていない」という現状もあります。様々な取り組みでレスパイト効果を挙げている認知症カフェですが、参加のための条件が整えられないほど追い込まれている家族の発見は今後の課題です。認知症カフェよりももっと直接的なアプローチの検討が必要になってきています。

【参考記事】介護者の精神的披露を軽減するレスパイトケアって?
運営費の少なさ

カフェを運営する側としても、運営費をどうするか?ということは大きな課題です。前述の通り、認知症カフェの参加費は数百円程度と微々たるものです。だからといって参加費を高くすれば敷居も高くなり、悩ましいところです。限られた収入源でどう継続運営していくかは今後の大きな課題です。

認知症カフェはどう探す?

今ではあらゆる地域で開催されている認知症カフェ。その開催スタイルや内容は、地域に合わせてさまざまです。近くの認知症カフェを探したい場合、次のような方法があります。
インターネットで「認知症カフェ (地域名)」と検索してみる
最寄りの地域包括支援センターに問い合わせてみる
最寄りの公民館、地域の回覧板をチェックする

 

おわりに

「認知症カフェ」という取り組みによって、認知症の正しい知識や当事者にとって住みよい社会、家族の不安・負担の軽減が期待されます。多くのカフェではその地域ならでは、または敷居を感じないようなネーミングで参加しやすいカフェを運営しようと工夫しています。逆にいうと「認知症」を前面に押し出すことで参加を躊躇してしまう場合もあるのではないかと考えられます。そんな誤解や負い目を払拭するきっかけとしても認知症カフェが広がること、多くの人に参加していただくことが大切です。そこから生まれる地域の「ほどよいつながり」が認知症当事者の安心にもつながります。

【こちらの記事もどうぞ】
認知症カフェ体験レポート『Dカフェ・ラミヨ』に行ってきました!
認知症カフェで友達を見つけることができた母の話

この記事を書いた人

軍司大輔

前介護福祉士養成校学科長。介護療養型医療施設等で介護福祉士として従事した後、介護教員となり、現在は地域での介護事業に携わっている。介護職ネットワーク「ケアコネクト」代表として認知症勉強会や情報交換会を開催。国家試験実技実地委員、実務者研修・初任者研修・福祉用具専門相談員講習講師の他、介護福祉士養成校・各種試験対策講師を務める。教育と臨床の両面から地域で活動する。HR/HMギタリスト。

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
認知症ONLINEの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。