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猫の感染症予防について、獣医師がぶっちゃけます その③

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あっという間に夏の気配さえ感じられる季節になりましたね。前回に続いて感染症についてのお話、続きです。

突然ですが、春のはじめから6月くらいまでは、動物病院にとっては「子猫シーズン」なのをご存知でしょうか?ノラネコたちが子どもを生む時期はだいたい4月ぐらいが一番多いのですが、この子猫たちがちょっと成長して動けるようになってきたところで、不運にも母猫とはぐれてしまうことがあるんですね。そして人間に保護されて、動物病院に運び込まれるのが、ちょうど今ぐらいの初夏と呼べる時期まで続きます。

母猫とはぐれて人間に保護される子猫は、大抵離乳前後です。しっかり栄養を摂らせるのはもちろん、野良出身の子は特にいろいろな病気を持っている可能性がありますので、しっかり予防・駆除をしてあげる必要があります。

前回(http://nyanmaga.com/infection-2/)は、寄生虫感染症についてお話ししました。今回は、ノラネコたちが鼻水、くしゃみ、目脂でグシュグシュになってしまう「ウイルス」による感染症と、その予防についてお話ししていこうと思います。

日ごろから猫を愛でている読者の方の中には、公園や道端で出会う猫たちの目が赤くショボショボになって、辛そうにしているのを見たことがある方も少なくないのでは。「目が赤い」というと、目の病気かなと思いますが、これ、実は猫の「風邪」です。「猫ウイルス性鼻気管炎」という、ヘルペスウイルスが原因の病気で、結膜炎、くしゃみ、鼻水などが主な症状になります。猫風邪の原因ウイルスにはもうひとつ、「カリシウイルス」というものもありますが、これらは混合して感染していることが多いです。

「風邪」といってもあなどれず、子猫で重篤化すると命に関わることもある病気です。それから、子猫の命を奪う可能性のあるウイルスで重要なものをもうひとつ。「パルボウイルス」というウイルスが引き起こす「猫汎白血球減少症」という病気です。これは子猫で激しい下痢を引き起こし、非常に死亡率の高い病気です。

上記に挙げた「猫ウイルス性鼻気管炎」「猫カリシウイルス感染症」「猫汎白血球減少症」は、全部まとめてワクチンで予防ができます。これがいわゆる「3種混合ワクチン」です。

3種混合ワクチンには、生ワクチン、不活化ワクチンといった種類があります。

ワクチンを打つ猫本人(?)の病気の予防のためになるのはもちろんのこと、まだワクチンを打っていない小さな子猫たちを守るためにも、ワクチン接種をしっかり行い、感染症を広めないように努める必要があります。この「他の猫たちのためにも」という考え方は一般には浸透していませんが、免疫学的にはすごく重要です。

ワクチンは、打った本人の予防になると同時に、一緒に過ごす猫はもちろん、地域全体に病気を蔓延させないという効果も期待されているのです。この効果を「集団免疫」といいます。獣医師は地域全体の動物の健康を守ることも仕事に含まれていますから、基本的に「健康な動物はワクチンを打つべき」という考え方に基づいて診療を行っています。

最近、ワクチンの接種プログラムについては様々な意見が出ており、日本ではガイドラインが確立されていないのが現状です。ワクチン接種の間隔も1年に1回派、3年に1回派など多様化していますが、1年に1回打つ獣医師が金儲け主義なわけでもありませんし、逆に、3年に1回でいいという獣医師が予防を軽視しているわけでもありません。

「動物たちの健康を守りたい」という思いは共通ですから、かかかりつけの獣医師と意見交換しながら、おうちの猫ちゃんのワクチン接種計画を立てていきましょう。

ちなみに、既にこれらのウイルスに感染している猫がいる場合、他の猫に病気をうつさないようにする必要があります。おうちでできる一番効果的な予防は「隔離」です。風邪真っ只中の猫を保護してしまったら、他の猫たちとは別の部屋で看護しましょう。くしゃみや鼻水からはもちろん、唾液や排泄物からも感染するので、トイレや食器も分けて洗ってあげましょう。紙皿や新聞紙など、汚れたらすぐに処分できるものを使うのが理想的です。

特にパルボウイルスは危険性が高く、猫の体から排出されたあとも、数カ月は生きられます。パルボウイルスに感染した猫を看病した部屋は、ケージや寝具など猫が触れたところは全てご家庭でも手に入るハイターなどで塩素消毒して、部屋全体も塩素を含んだ消毒スプレーで消毒したいところです。塩素は猫風邪のウイルスにも効果があるので、病気の猫を保護してしまった時には非常に心強いアイテムです。

ちなみに普通の消臭・抗菌スプレーや、アルコール除菌などは効かないので注意してください。また、排泄物などの汚れがついたままだと、塩素消毒の効果は格段に下がってしまいますので、しっかりと汚れを取り除いてから消毒します。そして、世話をしたあとの手もしっかり洗って塩素スプレーで消毒・・・すると手が荒れるので、使い捨てのゴム手袋をつけ、服も着替えましょう。

今回ご紹介した病気は、人間にうつることはありませんのでご安心ください。しかし、感染症の中には、猫から人間にうつるものもあります。これについて次回お話ししようと思います。

 

著者:谷口史奈

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