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世界名作劇場では描かれなかったアン・シャーリーと再会できる。『アンという名の少女』

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「赤毛のアン」。
40代後半の世代は、このタイトルを聞くだけで甘酸っぱいものがこみ上げてくるはず。
「アルプスの少女ハイジ」や「フランダースの犬」などと並び、人気を博した世界名作劇場のアニメーション作品に挙げられる。
私自身もど真ん中世代で、このテレビアニメを入り口に「想像力豊かで癇癪持ちのアン」に惹かれ、図書館で原作を読み漁った一人だ。

 

 

孤児院から男の子と間違えられてグリーンゲイブルズのカスバート家に引き取られてきたアン・シャーリー。
道や桜の木にも名前を付け、ドラマティックな言葉で気持ちを表現する、導火線の短い癇癪持ちの女の子。
どの点でも「限度を超えた」彼女に、なぜか激しく惹きつけられた。
今の私の想像力も、自転車に名前を付ける習慣も、「もし私だったら…」と自分を投影する映画の見方も全部、アンからの影響だと言い切れる。

 

 

そんな世界中の女の子を夢中にさせたアンはこれまでも映像化されてきたが、今回のドラマでは「描かれてこなかったあれこれ」と出会うことができる。
たとえば、カスバート家に引き取られる前の孤児院や子守をしていた子だくさんの家庭での記憶は、今まで以上に丁寧に描写。
また、彼女を引き取った兄妹のマシューとマリラの人生も端折られることなく掘り起こされる。2人の過去の恋愛に「キチンと」触れることで、彼らのアンへの思いが太い「進むべき道」として浮かび上がってくるのだ。
だから、マリラが戸惑いながらアンの背中を優しくさする小さなシーンこそが、このドラマの神髄ではないかとも思わせてくれる。
 
マリラとマシューに加え、アンの才能を引き出し伸ばす大人の一人であるバリー夫人の登場シーンは短いながらも、巧みなセリフから彼女のライフスタイルが透けて見える。
独身を貫いた彼女の「私なりの結婚はしたつもりよ」という言葉に、今改めてその強さと凛々しさにハッとさせられる。
 
そして、アンが初潮を迎えたエピソードと「腹心の友」であるダイアナを間違えて酔っぱらわせてしまう話をリンクさせ、アンの「男の子ではない」成長を際立たせる流れにも膝を打つ。

 

 

そうした「今まで描かれてこなかったこと」を丁寧に掬い取ることで、「今の時代」に響くメッセージが観る者の心に届くのだ。
学校のクラスメイトたちの仲間意識、育ちへの偏見、女性の生き方、家族のあり方。
まさに今の社会で課題となっていることに、アンやマシュー、マリラはすでに対峙していたのだと気づかされる

 

 

制作は、脚本は「ブレイキング・バッド」のモイラ・ウォリー=ベケット、第1話の監督は『クジラの島の少女』のニキ・カーロという布陣。プリンスエドワード島の美しき風景とともに、登場人物たちの心情の機微を漏らすことなく映し撮った映像に引き込まれる。
オーディションで主演に抜擢されたエイミーベス・マクナルティーは若きマシュー・ブロデリック似で(笑)、「こなれた子役の大味な演技」ではなく、「アンだからこその大げさな動き」を会得し魅了してくれる。

 

 

幼かった私は、「幼いアン」が一番好きだった。原作のなかで彼女が成長するにしたがって、徐々に関心が薄れていったのを覚えている。
自分自身も大人になり、さまざまな経験を積んだ今、もしかしたら「大人のアン」にも心を寄せることができるかもしれない。
そういう意味で、シーズン2以降も待ち遠しい。

 

※Netflixで独占配信中

【予告編】

【視聴リンク】
https://www.netflix.com/Title/80136311

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