体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

「いつまでこんな生活続けるの?」と言われるけど、僕はこの生き方を貫きたい――“自転車冒険家”「僕が自転車で世界を旅する理由」 season1

10年間で27ヵ国、80,000kmを自転車だけで走り抜けた男がいる。その名は西川昌徳(33歳)。

世界各地の旅先で自力で水や食べ物を確保し、寝る場所を見つけテントを張る。パンクなど日常茶飯事。時には命の危険を感じるトラブルに遭遇することもある。それでも彼はゴールを目指し、日々ペダルを踏み続ける。そんな経験を日本中の子供たちに知ってほしいと、小学校での授業や講演活動も続けている。

彼にとって「自転車で世界を旅すること」とは一体何なのか? なぜこうした経験を子供たちに伝えたいと考えたのか? 今年アメリカ大陸縦断の旅から帰国したばかりの彼に、今回の旅、これまで人生、仕事に対する思いを全4回のインタビューでじっくりと伺った。

今回はいよいよ最終回。自転車旅を続ける西川さんに、様々な人が「いつまでこんな生活続けるのか?」ということを言ってくるそうです。果たして西川さんの考えは?f:id:k_kushida:20170515171316j:plain

即効性のあるものに、頼って生きていきたくない

──西川さんはこの生き方を今後も貫いていくつもりですか?

僕はいろんな人から「お前いつまでそんなこと続けんねん」「そんなんできんの、若い内だけやぞ」とかいろんなことを言われて、ここまで10年間やってきました。

僕が取り組んでいること、つまり旅先でのスカイプ授業や、帰国してからの授業や講演は、学校現場のニーズに入ってません。より正確に言うと、子供が世界を知るというのはニーズなんですが、子供の内面に対するアプローチは明確なニーズとして表面化していないんです。だから価値に置き換えるのはすごく難しい。でも子供たちにとって必ずプラスになることやと信じているし、僕はこれを貫いていくことを決めました。だからそれに対しての迷いや不安は今はないですね。

──まさに生きることそのものが冒険って感じですね。お金、収入の不安とかもないんですか?

実は元々すべての活動をお金に結びつけなくてもいいんじゃないかという思いは自分の中にずっとあったんです。その時はお金にならなくてもいつか何かしらかの形で返ってくることで生きていける、そういうことを信じたいという気持ちもずっともってたんですが、信じきることができないブレーキになっていたのがまさに食べていくことの不安ですよ。でも、今回の体験で、走りながら今までのいろんな出来事とか経験とか考えとかをもう1回新しいフィルターを通して考える中で再認識したことがあります。

僕のやってる活動って現金化しにくいので、段々お金がなくなってきたときに、即効性のあるものに頼りたくなりますよね。どこかに営業しに行った方がいいんじゃないかとかバイトしようかなとか、どうしたらお金がすぐ貯まるかなとか考えちゃう。でも、そういうものが、「こういうことをやってみたい」という本当に心から湧き上がってくる気持ちを鈍らせるんです。

──どういうことですか?

多くの人はある程度保証とか見通しのつくことじゃないとやりたがらないですよね。例えば1時間働いたら800円もらえるから働くとか。でも僕がやってることって1年やってもお金になるかどうかわからない。僕の活動に価値があると思ってくれる人がいなければ単なる旅になっちゃう。

だからずっと信じきれてなかったんですが、今回は不安に感じるレベルを超えてお金がゼロになっちゃった(笑)。でも子供たちのお陰で旅を続けようという気持ちが生まれた。こういうことって今までなかったんですよ。お金がゼロになったらお金を得るために動かないといけないのに、自分の中から自然に湧き上がってくる「まだ走りたい」という思いの部分で動いた。

お金がゼロになったら無理でしょ、普通。生活できないから。でも今回の旅では特別な条件が重なって、非日常の中でお金に頼らなくてもなんとかなるチャンスがあったんです。そこで動いたのが何だったのかというと、人の善意ですよ。僕が今までもしかしたら築き上げてきた信用というか恩の部分が人の動きという形として初めて見えた。人の思いが繋がっていくのが見えた。そして、全然知らない人がその思いをもって僕に接してくれるのが見えた。

1 2 3次のページ
リクナビNEXTジャーナルの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。
GetNews girl / GetNews boy

オスカー2018年晴れ着撮影会