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JAMES VINCENT McMORROW 『We Move』Interview

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ドレイクのアルバム『ヴューズ』への参加や、世界的なEDMアーティスト、カイゴとのコラボレーションを機に注目を集めるアイルランド出身のシンガー・ソングライター、ジェイムス・ヴィンセント・マクモロー。昨年リリースされた最新アルバム『ウィ・ムーヴ』には、フランク・デュークス(ケンドリック・ラマー、カニエ・ウェストetc)、ナインティーン 85 ことアントニー・ポール・ジェフリーズ( R ・ケリー、ニッキ・ミナージュetc)、トゥー・インチ・パンチことベン・アッシュ(サム・スミス、ジェシー・ウェアetc)といった気鋭のプロデューサー/トラック・メイカーが参加。リヴァーブ等の音響処理やエレクトロニクスを取り入れた前作『ポスト・トロピカル』(2014年)のアプローチを推し進め、昨今話題のR&Bやヒップホップのプロダクションに通じるコンテンポラリーなサウンドを披露している。ボン・イヴェールやジェイムス・ブレイクも引き合いに出される評価の一方、7年前のデビュー時はアコースティック・ギターを爪弾く端正なフォーク・ソングを聴かせていたマクモロー。その作風の変遷と、現在のマクモローを形作るミュージシャンとしての実像に迫ってみたい。

―いわゆる「シンガー・ソングライター」然としていた1st『アーリー・イン・ザ・モーニング』(2010年)の当時から、ゆくゆくは今みたいなエレクトロニックなアプローチを取り入れた音楽をやりたいと考えていたんですか。

ジェイムス「まあ、音楽って経験を積めば積むほどわかってくるというかね。『アーリー・イン~』のときは、自分の視野もまだ狭かったし、ただアルバムを作ることだけが目標だった。お金もなくて、手段も限られていたし、だから当時の自分にできる限りの状況で、自宅で1人で作品を作ったわけだよね。そうしたら、そのアルバムがすごくうまくいって、活動も軌道に乗り出したことで、自分の視野も一気に開けたし、それによって自分の意識も変わっていった。もっと色んな分野や新しいアイデアを開拓していくことが、ミュージシャンを生業としていく上で自分が果たしていくべき使命だと思うようになったんだ。サウンド的にも、作品を重ねることで自分が思い描いていた理想に近づいているように思う。だから、もしも今の自分の能力と視野が備わって、今みたいに音楽作りに協力してくれる仲間や環境に恵まれていたら、『アーリー・イン~』ももっと違う作品になっていたんじゃないかな。ただ、当時はそれができない状況だったから、その中で自分のできる限りのことをしたわけだよね」

―「ギターやピアノを使わずに、いかにして“シンガー・ソングライター・ミュージック”を作ることができるのか」というのが、前々からのテーマとしてあったそうですね。

ジェイムス「昔から『自分はシンガー・ソングライターなので、こういうスタイルでやらせてもらってます』みたいな感じが苦手で。普通にシンガー・ソングライターというと、昔からギターかピアノとセットみたいな感じになってるけど、それに縛られる必要はないんじゃないかって。自分の好きな楽器を使って、自分の好きなようにやったらいい。もちろん、シンガー・ソングライターとしての自覚はあるし、今回の作品にしたって今まで以上にシンガー・ソングライター色を強調したいと思っていた。けど、同時に今までで一番、前衛的な作品になっているとも思っている。それはフタを開けてみたらそうなってたってことではなくて、意図してそういう作品にしてあるんだ。ギターとピアノを全開でやったっていいけど、それじゃ簡単すぎてつまらないし、挑戦のしがいがないからね」

―では、そこであなたの中の“理想のシンガー・ソングライター像”となると、どんなアーティストが挙げられますか。

ジェイムス「そうだな……昔から一番好きなシンガー・ソングライターはニール・ヤングなんだよね。自分にとってニール・ヤングは尊敬するギタリストであり、ピアニストでもあって、実際に60年代や70年代の作品はピアノとギターが中心だけど、一方で80年代には全部ヴォコーダーで録音したアルバムとか、かなり風変わりな作品を作ってて。今振り返るといかにも80年代って感じのサウンドなんだけど、ただ、それによって『自分はギターにもピアノにも縛られていない』っていう姿勢を打ち出したわけで、当時にしてみれば前衛的な発想だよね。あとは、プリンスもルールなんか一切お構いなしで、むしろ既成の概念を無視して拒絶することに喜びを感じていたアーティスト。ピアノのバラードの次に18分のファンクの曲を繋げたと思ったら、ベタなロックンロールの曲をやったりして、何にも束縛されてないんだよ。それって、まさに理想的だし、すべてのミュージシャンが目指すべきゴールだと思うよ。キャリアの進め方として」

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