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“現代の魔法使い”落合陽一さんが語った「ミクスドリアリティからデジタルネイチャーへ」

エジソンは発明王ではなく、メディアアーティストだった!?

エジソンは19世紀に生きた最高にチャーミングな男です。何がチャーミングかというと、発想したモノづくりが100年ぐらい早くすぎて、すべてこけてしまったこと。

例えばエジソンは「映像装置は一人1個持つべきだ」と言い、キネトグラフ(撮影機)とキネトスコープ(映像を見る装置)を作ったんですね。

またエジソンは「音楽は体感すべきものであり、蓄音技術は他の用途で使うべきだ」とも語っていました。さらにエジソンは「あるべき電力供給は直流だ」とも。

今では確かに私たちは直流世界に生きている。このようにエジソンが言っていることはすべて未来にいきる私たちにとっては当たっていることなんですが、いずれも早すぎて当時の人たちにはウケなかった。そこがチャーミングなところなんです。

私はエジソンを発明家というよりは、メディアアーティストに近いと捉えています。それは彼の技術を見ていると、芸術のような価値を持っていたと考えられるから。

だからこそ、私はエジソンするという意味を含めて、メディアアーティストを名乗り、そしてエジソン以来の普遍だったオーディオビジュアルをアップデートすることが役割だと考えているんです。

落合 陽一さん
筑波大学 助教・デジタルネイチャー研究室 主宰。筑波大でメディア芸術を学び、東京大学を短縮修了(飛び級)して博士号を取得。2015年より筑波大学助教、デジタルネイチャー研究室主宰。経産省よりIPA認定未踏スーパークリエータ、総務省より異能vationに選ばれた。BBC、CNN、Discovery、TEDxTokyoなどメディア出演多数。国内外の論文賞やアートコンペ、デザイン賞など受賞歴多数。人呼んで〈現代の魔法使い〉。

では私はメディアアーティストとして、これまでどんな作品を世に出してきたのか。

例えば空中に絵を描き、触ると感じられることができる「Fairy Lights in Femtoseconds」もその一つ。これはフェムト秒レーザーという100兆分の3秒にエネルギーを凝縮できるパルスレーダーを使って空中にプラズマを描く技術です。

これで本当に3次元空間に絵が描け、しかも絵は低エネルギーでプラズマ化できるので、触ると感じられる。どうしたら映像や物質でもないものができるか、メディア技術の発展史の先を作るのが私の仕事。その基本となるのが正しいホログラムを計算する技術なのです。

つまりデータを正しいホログラムにできれば、あとは超音波、レーザー、電波で表示するかは好き勝手にできるということ。

研究分野はそれだけに留まっていません。物質自体にも興味を持っていて、非常に薄い薄膜の表面の反射分布をいじりながら、後ろから超音波を当てた時に、どうやったらキラキラするか、ざらざらするかという物質的な見た目を作り出す研究も行っています。

素人目にはプロジェクターに光を当てているプロジェクションマッピングのように見えるかも知れませんが、これを400フレームノートの高速カメラで撮影すると、そうではないことがわかります。

膜の状態が高速に切り替わり、それが人間の目にどう見えるかを計算して、絵をはめ込んでいるのです。そのほかにも、超音波で物体のざらざらやつるつるという感覚を作り出すという研究もしています。

超音波は人には聞こえない音ですが、その3次元的な音の分布をコンピュータで計算すると、特定の力場を空中に作ったり、触覚を作ったり、形を作ったりできるのではないか。そこから生まれたのが音響浮遊。これがすごいのは浮いているからではないんです。

いまは3次元的にホログラム分布をきちんと計算しているところ。この技術により、あらゆるものが非接触で運べるようにする、目に見えないロボットアームへの実現が近づきました。

今年発表予定の作品は、空間の1点でのみ音を出す超指向性スピーカー。違う場所にいる人には違う音が届いたりするようなオーディオスピーカーを研究しています。

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