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やくしまるえつこ、バイオテクノロジー用いた音楽作品で日本人初の功績

やくしまるえつこ、バイオテクノロジー用いた音楽作品で日本人初の功績

 音楽家/アーティスト/プロデューサーとして活躍する やくしまるえつこが、メディアアート界のオスカーとも言われる世界最大の国際科学芸術賞「アルス・エレクトロニカ賞」の『STARTS PRIZE』で、グランプリ(Grand Prize for Artistic Exploration)を受賞した。

やくしまるえつこ『わたしは人類』関連写真(20枚)

 「アルス・エレクトロニカ賞」の『STARTS PRIZE』は世界中で最も優れた、科学/芸術/テクノロジーがクロスオーバーした作品を決める賞で、アルス・エレクトロニカが欧州委員会(EC)からの命を受け実施。この度、やくしまるえつこの作品『わたしは人類』(英語名:Etsuko Yakushimaru – “I’m Humanity”)が、日本人初となるグランプリを受賞した。

 『わたしは人類』はやくしまるえつこがバイオテクノロジーを用いて制作した作品。“人類滅亡後の音楽”をコンセプトに、新しい音楽 ― 伝達と記録、変容と拡散 ― の形を探るプロジェクトで、人類の歴史上初めて「音楽配信」「CD」「遺伝子組換え微生物」で発表された音楽作品だ。

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「人類は古来より伝達と記録によってその歴史を継続させてきた。そして音楽の歴史もまた、伝達と記録、ひいては変容と拡散の中にある。歌われ/奏でられた音楽は、口承で/楽譜で/ラジオで/レコードやCDで/クラウドで、他者に伝えられ/複製され/演奏され、その過程で変異を発生させながら時空を超えて拡散する。音楽とメディアの深いかかわりは、伝達と記録の関係性であり、それは遺伝子とDNAであるとも言える。」
– やくしまるえつこ
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 やくしまるえつこは、日本に古くから生息するシアノバクテリアの一種である微生物・シネココッカスの塩基配列を用いて楽曲『わたしは人類』を作成。さらに、やくしまるはその楽曲の情報をDNAコード化し、DNAを人工合成してこの微生物の染色体に組み込み、実際に『わたしは人類』の遺伝子組換え微生物を制作している。そのようにして制作された『わたしは人類』は、人類の歴史上初めて「音楽配信」「CD」「遺伝子組換え微生物」という3つの形で発表された。

 バイオテクノロジーを駆使して作られ、発表されたこの曲が世界配信され、ポップミュージックとして流通し、Apple Musicのトップページを飾る。そして、楽曲発表と同時に、遺伝子組換えでできた新たな微生物それ自体を、2016年9月から茨城県で開催された国際芸術祭「KENPOKU ART 2016」のテーマソングとして展示、その後、山口の美術館である山口情報芸術センター[YCAM]でも展覧会が行われた。これらの展示において、日本の経済産業大臣が初めて「遺伝子組換え微生物」の一般公開展示の大臣認可を行い、日本で初めて公共の場所で「遺伝子組換え微生物」が展示されたのだ。

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「この音楽をDNA情報にもつ遺伝子組換え微生物は自己複製し続けることが可能である。いつか人類が滅んだとしても、人類に代わる新たな生命体がまたその記録を読み解き、音楽を奏で、歴史をつなぐことになるだろう。」
– やくしまるえつこ
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「作品自体は自分と切り離されているものと思っていて、それは読み解かれた時点で作品が現れるという感覚です。読み取り手がないことには、作品があってもそれはただの情報の羅列でしかないもので、逆に言うと、どういう状況でどんな人が、あるいはどんなものが、その情報をどのように読み取るのかっていうことが、作品にとってはほぼ全て。だからこそ、全方位に開いていた方がおもしろい。
機械が読み取るとどういうふうに変換されるのか、人工知能がその音楽を聞くとどういう解釈を示すのか、あるいは地球外生命体のフィルターを通すとどういう色に映るのか、そしてそこにはどんな差異が発生するのか。そのような思索の一環として、人類が滅亡したのちに誕生するポストヒューマンにもこの情報の羅列を解析してもらいたいと思ったのです。」

– やくしまるえつこ
(WIRED.JP『わたしは人類』インタビューより)
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