体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

「メッセージよりもスタイルが大事」 若者たちの”お祭りデモ”とは 愛知淑徳大・伊藤昌亮准教授<インタビュー「3.11」第4回>

――危険な方向にいく可能性もあるが、その先に新しい社会が生まれるということでしょうか?

 危険な方向にいってしまうとそこで終わりだと思います。そんなふうに終わってしまった運動はたくさんありますから。変な方向にいってしまうものもあれば、持続的に広がっていくものも生まれるんだろうということです。ただその出発点にあるのは「集合的沸騰」であって、それが今起きているんでしょう。

――今の若者たちは「出発点」に立っているんですね?

 そうです。出発点にいて、この高揚感や、何かを創り出せるという自信、そのきっかけになる新しいライフスタイルを提示する感覚、新しい価値のあり方の雰囲気などを持っていて、それらがこれから広まって、あるいは行き詰まり、展開していくんだと思います。

■ネットが新しい社会の「見取り図」になる

愛知淑徳大学メディアプロデュース学部の伊藤昌亮准教授

――それでは最後に伺いたいのですが、その「出発点」に立つ若者たちは、「新しい社会」を創るために何をしていけばいいのでしょうか?

 「新しい社会」を構築していく中で、その社会のプロトタイプ(原型・先がけ)としてあるのが、ソーシャルメディアだと思います。「ソーシャルメディア」は、「ソーシャル」というぐらいですから「社会そのもの」ですよね。ソーシャルメディアから今の社会運動が発生しているのはどこの国でも同じで、そういう意味ではソーシャルメディアが運動の起点であるとともに、そのあり方を実現していくひとまずの到達点にもなるでしょう。今のソーシャルメディア、2ちゃんねるやニコニコ動画、TwitterやFacebookを含めた新しいメディアの世界で、どういう社会を創り上げていくか、何を大事にしていくかということが、おそらく次の社会の見取り図になっていくんじゃないでしょうか。

 まずはソーシャルメディアの中に自分たちの「社会性」みたいなものの核を作って、それを一つのプロトタイプとして社会全体を考えていくことができるでしょう。ただし、ソーシャルメディアがひとまずはヴァーチャルな場ということもあって、極端な方向に走りやすいので怖いと言えば怖いですが。スペインの運動も、最初はネット上に拠点が作られたんです。ウォール街デモも今ではネット上の運動になっていますし、世界中で暗躍しているハッカーグループ『アノニマス』もネット上のものですよね。ネット上を起点として、世界的に運動が動いています。

 そう考えると、「新しい価値を日常に持って帰る」のも、デモから持って帰る直接的な行き先はネット上の空間かもしれません。ネット上に新しい価値を持って帰って、色々なものをそこに創り上げていくんです。ユーザーとして創り上げていくだけではなく、エンジニアとして関わることもあれば、あるいは新しいメディアを立ち上げることもあるでしょう。ネット上の空間でどう振る舞って、どうやって意見形成をして、どんなふうに対立を解消していくのかといったことが、新たな社会を創出していく上では大切なのではないでしょうか。

(了)

■伊藤昌亮(いとう・まさあき)

 1961年栃木県生まれ。東京外国語大学外国語学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。外資系IT企業、出版社勤務などを経て、愛知淑徳大学メディアプロデュース学部准教授。専門はデジタルメディア論、文化運動論など。著書に『フラッシュモブズ――儀礼と運動の交わるところ』(NTT出版)などがある。

◇関連サイト
・東日本大震災 3.11 特集
http://ch.nicovideo.jp/channel/311

(聞き手:古川仁美)

【関連記事】
震災後の「後ろめたさ」から目を逸らしてはいけない 映画監督・森達也<インタビュー「3.11」第3回>
「若者を復興に巻き込みたい」 被災地へ移住して起業を目指す大学生・三井俊介<インタビュー「3.11」第2回>
「”いのち”を犠牲にする発電はやめよう」 全日本仏教会・河野太通会長<インタビュー「3.11」第1回>
4号機の中に作業員がいた! ニコ動カメラがとらえた福島第1原発
『百姓貴族』漫画家・荒川弘「農家の実態、笑い飛ばして」

前のページ 1 2 3 4
ニコニコニュースの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。