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Warpaint『Heads Up』Interview

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NeoL JP | Photo : Satomi Yamauchi | Edit : Ryoko Kuwahara

NeoL JP | Photo : Satomi Yamauchi | Edit : Ryoko Kuwahara

ナイジェル・ゴドリッチなど大物プロデューサーを起用した前作『Warpaint』に対し、デビューEP『Exquisite Corpse』(2009年)を手がけた盟友ジェイコブ・バーコヴィッチと制作されたニュー・アルバム『Heads Up』。その出来栄えについて、「バンドの進化とも言えるし、ウォーペイントの成熟期とも言えるわね」と彼女たちは自負する。ダンス・フィールに溢れた4人のグルーヴィな演奏、サイケデリックな陰影感を取り込んだ奥深いサウンドスケープ、ロウ・キーなヴォーカル&コーラス……といったウォーペイントの醍醐味が、なるほど、『Heads Up』にはより凝縮された形で表現されている、と言っていい。先日行われた来日公演でも、ヤイエルをオープニング・アクトに迎えて素晴らしいパフォーマンスを披露した彼女たち。一昨年のソロ・アルバム『Right On!』も高評価を得たジェニー・リンドバーグ(Vo/B)、そして、ニュー・プロジェクトが進行中?とも噂のテレサ・ウェイマン(Vo/G)に話を聞いた。

―前作の『Warpaint』では、メンバー各自が曲を持ち寄るやり方でレコーディングが進められたそうですが、今回は?

ジェニー「今回もメンバーそれぞれが曲を持ち寄ったりもしてるんだけどね。ただ、今回は駆け足で曲を作ってるから、それは今までにない要素だったのかも。スタジオにいる時間があんまり取れなかったから、スタジオでガーッと集中して曲を書いて、自分のパートに集中するような。だから、今回はとにかく短期間で集中して作った感じ」

―今回の『Heads Up』を聴いて、これまでのアルバムに増して4人の演奏が密に溶け合っている印象を受けたのですが、そうした制作時のテンションの高さも影響しているんですかね?

テレサ「そうだね。時間が限られたおかげで、かえって集中できてよかったのかもしれない。あとは、今回のサウンドのせいもあるのかも……今まで以上に音が鮮明というか、リヴァーブとかあんまり使ってないから。リヴァーブを入れることで空間的な広がりが出るけど、今回はそれをなくしたことでギュッと凝縮されてるというか、より伝わりやすくなってる」

ジェニー「ダイレクトだよね」

テレサ「うん、直接響いてくる感じ」

NeoL JP | Photo : Satomi Yamauchi | Edit : Ryoko Kuwahara

NeoL JP | Photo : Satomi Yamauchi | Edit : Ryoko Kuwahara

―ダイレクトな音を意識するようになったのはどうして?

テレサ「単純にミュージシャンとして成長したってことなんじゃないかな。より確固たる表現が身についたというか、そのままの自分達を表現したかった。前よりもバンドとして一体感が出るようになったから、その方が自然だったし。もっとクリアに自分達を表現したい願望が強くなったり、自分達が何を演奏するのかってことに対して、より明確に意識的に選択できるようになった、ってことなのかな……どう思う?」

ジェニー「あと、ヴォーカルのおかげもあるんじゃないかな。今回、みんなで一緒にすごく歌ってるのね。リヴァーブの代わりにヴォーカルをいっぱい使ってるし、しかもそれがちゃんと主張してる。ヴォーカル以外にも、ありとあらゆる点において自分達の表現を明確にダイレクトに伝えようとしてるんだよね」

―プロデューサーのジェイコブ・バーコヴィッチとは、デビューEP以来の顔合わせになりますね。

ジェニー「最初、自分達でプロデュースしようと思ってたんだけど、第三者の目が必要だってことになって。ジェイコブは前にも一緒にやってて色々知ってるし、プロデューサーっていうよりも友達みたいな感じだからね。あと、今回はあくまでも自分達で主導権を握りたかったから、知らない大物プロデューサーを呼んでということはしたくなかった。だから、次の目標はセルフ・プロデュースかもね」

―2人に限らずメンバーそれぞれ、ウォーペイント以外にもソロや様々なプロジェクトで活動していますが、そうした経験が今回のアルバムに反映されている部分もありますか。

ジェニー「そうね。メンバー1人ひとりにとって、バンド以外で自分を表現することも大事だし。個人的には、自分1人で作品を作ることで自分の新たな可能性を知ることができたし、それをまたバンドに還元できたことが貴重な体験だった。ただ、それも自然にできるようになったんだよね。昔はバンドだけが自分にとっての表現だったし、少なくとも、私にとってはそうだった。ただ、今はバンド以外にも自分を表現できる場所ができたから、色んなアイデアに対してよりオープンになったし、それを受け入れて表現できる余裕ができた」

テレサ「自分がやってたプロジェクト(※ボス)に関しては、何か実験的なことに挑戦してみようってことで単純に楽しかったんだけど、それをさらに発展させてソロで展開するとか、そこまで大げさなものではなかった。ただ、あそこで経験したことをウォーペイントのシナリオに持ち込めたのはすごく良かった。それにバンド以外の活動をしたとで、改めて自分が一番表現したいのはこれなんだっていう、自分にとってこのバンドがどれだけ大切かを確認できたから」

―そういえば、今回のアルバムについて、ケンドリック・ラマーやQティップとかのヒップホップに影響を受けている、みたいな話をしていましたね。

テレサ「それを言い出したら、毎回(ヒップホップに)影響を受けてることになるから」

ジェニー「あははははははは」

テレサ「前回のアルバムでも同じことを聞かれて、同じことを言って」

ジェニー「新しい作品を出すたびに『何に影響を受けましたか?』って聞かれるんだけど、ヒップホップや今言ったアーティストだけに影響を受けているわけじゃない。それ以外にも色んな音楽を聴いてるし。ただ、インタビューで『今一番ハマってる音楽は?』って聞かれたときに、たまたまヒップホップって答えたらそこだけクローズアップされて、その発言だけがひとり歩きしちゃった感じなんだよね」

NeoL JP | Photo : Satomi Yamauchi | Edit : Ryoko Kuwahara

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NeoL JP | Photo : Satomi Yamauchi | Edit : Ryoko Kuwahara

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―なるほど。ただまあ、とはいえ、それこそケンドリック・ラマーや、去年のビヨンセやフランク・オーシャンのアルバムに象徴されるような最近のヒップホップやR&Bの盛り上がりには、刺激を受ける部分も大いにあるんじゃないですか

ジェニー「もちろん、そういう所からも常に影響を受けてる。私たちが色んな音楽に影響を受けてるというのは、誇張とかじゃ全然なくて本当にそうなのね。ジャンルとかインディーかどうかとか本当に関係ないし。だから、いつもヒップホップのことばかり聞かれるのが不思議なんだよね。ただまあ、実際に毎回、R&Bやヒップホップから影響を受けている曲が確実に何曲かあるわけだけど。ヒップホップの何が魅力かって、最高のビートとベースラインがあって、しかもそれがひたすらリピートされるところに、極めつけにフックが入るってこと。曲の作りとしては最高なんじゃないかな。自分達もそういうところに影響を受けてる」

―しかも、商業的な成功とミュージシャンシップの探求が見事に両立している、という。

ジェニー「いや、ほんと凄いよ。あれが実現できたら夢みたいだよね。自分のクリエイティヴィティを最大限に発揮して、予算とか縛りとか一切なく自分を表現できるなんてさ。しかも売れてるって、もの凄いことだよ。あと、自分がここ何年かケンドリックに影響を受けてると思うのは、曲作りに賭ける情熱なんだよね。アイデアとオリジナリティの塊みたいな感じで、『Good Kid, M.A.A.D City』にはポップでヒットした曲もあるけど、ものすごい長い曲も入ってたりして、アルバム全体が1つの作品として機能してる。そこが本当に凄い。だから、単にヒップホップって部分だけに影響を受けてるわけじゃないんだよ」

テレサ「うん、サウンドだけじゃなくて、美学の部分だよね」

―ただ、そうしてヒップホップやR&Bが勢いを見せている一方で、最近の「ロック・バンド」に関しては、いまいち盛り上がりに欠けるというか――。

テレサ「それって要するに、ロック勢がヒップホップやR&B勢に押されて元気がないってこと(笑)?」

―そんなことはない?

テレサ「まあ、わかる気もするけど(笑)」

ジェニー「ロックがもっと盛り上がればいいなって思う。あの熱狂がまた戻ったらいいのにって。まあ、いつかまた元気になるって信じてるから、自分もこうしてバンドをやってるんだけどね」

テレサ「そのうちまた元気になるでしょ。サイクルが巡ってるからね」

ジェニー「うん、だから絶望はしてないし、ロックは終わったなんて全然思ってないよ。ただ、あの熱狂が恋しくて」

テレサ「それはある(笑)。ビート系の音楽も、ちょっと飽和状態になりつつある気がするし。個人的に、ここ最近ダウンテンポで、ビート重視の、どちらかと言うとトリップホップ的な音楽を作ってたから、そういうビート系の音楽にちょっと飽きてきたっていうのはあるかも(笑)。今の音楽シーンは、あまりにもそっちに寄り過ぎてるのかなって。だから自分が今作ってる作品に関しては、そこにギターとかループとか新たな要素を付け足していけたらなって思ってる」

―それって、何用の音源なんですか?

テレサ「ソロ・アルバム用に作ってるの。今年中には出したいなと思ってるんだけど、まだ具体的なことは何も決まってないから」

―楽しみにしています。ちなみに、今回のリリックについては、何か新たなトピックはありましたか。

ジェニー「あんまり代わり映えしないかな(笑)。いつもと同じテーマについて書いてる(笑)。愛とか、人生とか、その他諸々について(笑)。ただ、前回のアルバムを出してからのこととか、ツアーで経験したことが反映されてたりするから、それは今までにない新しい視点なのかも。あと、前よりもちょっとポジティヴになってるかもね」

NeoL JP | Photo : Satomi Yamauchi | Edit : Ryoko Kuwahara

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NeoL JP | Photo : Satomi Yamauchi | Edit : Ryoko Kuwahara

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―今回の『Heads Up』がレコーディングされたのはアメリカの大統領選の前だと思いますが、今のような政治状況がもしも続いたとしたら、自分たちが歌うことも変わっていくかもしれない、という予感はありますか。

テレサ「うん、それは自分でも意識してる。もっと自分から発していかなくちゃって思ってるし、具体的に動こうとしてるしね。社会派寄りというか、自分の意見を積極的に発信していくようなタイプじゃないんだけど……ただ、こうしてメッセージを発信できる立場にいるのに、それを利用しないのはあまりにももったいないような気がして。しかも、音楽にはその力があるからね。メンバー全員、もともと政治や社会に対する意識は強かったほうだけど、それをわざわざ曲で表現するってことは今までしてこなかった。ただ、それも変えていかなくちゃならないのかなって……しかも、アメリカだけの問題じゃなくなってきてるでしょ? 世界中の大国と呼ばれる国で、保守的な指導者達が進歩とは逆の発想から色んな重要な物事を決定しようとしている。そのせいで表面上はうまくいっているように見えても、裏では色んな根深い問題が起こっていて……そこはもっと伝えていかなくちゃって」

ジェニー「結局、自分を表現するってことだからね。もし政治的なメッセージが自分に響いてくるなら、それは素直に表現するべきだし。自分が政治について歌いたいと思うときが来たら自然に歌うと思う。ただ、政治的なメッセージを無理矢理引き出そうとはしない。このバンドにおいて、○○せねば、とか、○○であらねば、ってものはないからね。一番大事なのは、いつでも自分に正直であるってことだよ。自分自身が良い生き方をすることで、まわりにインスピレーションを与えていくことだってできる。変化は自分自身の中から起こるんだ。わざわざ政治的なメッセージとして伝えていかなくたって、世界を変えることはできるんだよ」

warpaint
Warpaint
『Heads Up』
(Rough Trade/Hostess)
https://itunes.apple.com/jp/album/heads-up/id1136068048
https://www.amazon.co.jp/HEADS-UP-WARPAINT/dp/B01JGVYXEM

Warpaint
ロサンゼルス出身の女子4人組バンド。2010年、、ラフ・トレードから『The Fool』でアルバム・デビュー。元レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテが絶賛し話題をさらう。初期メンバーにはジョシュ・クリングホッファー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、女優のシャニン・ソサモンが在籍。NME誌が「最もバズを生んだSXSW’10出演バンド」第1位に選出。2011年、フジロック初来日を果たす。14年1月、セルフタイトルのセカンド・アルバムをリリース。2月にはHostess Club Weekenderにて約3年振りの来日公演を行った。2016年9月に待望のサード・アルバム『Heads Up』をリリースし、来日公演を行ったことは記憶に新しい。
http://warpaintwarpaint.com

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