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ガガガSPの『卒業アルバム』に見る“青春パンク”の萌芽

ガガガSPが5月3日に『オールタイムベスト〜勘違いで20年!〜』をリリースした。また、すでに告知されている通り、10-FEET主催の野外フェス『京都大作戦2017』への出演決定(2017年7月9日)に引き続き、9月30日、10月1日の両日、彼ら自身が主催するフェス『長田大行進曲2017』の開催も決定と、さすがに結成20周年にふさわしい盛り上がりを見せている。ベスト盤に“勘違いで20年!”と自嘲気味なサブタイトルを付けているが、“青春パンク”の旗手として2000年代を闊歩した彼らは、邦楽ロックシーンに確かな足跡を刻んできたバンドである。決して勘違いだけで続いてきたパンクバンドではないことを彼らのメジャー第一作『卒業アルバム』をもって証明しよう。
『卒業アルバム』('02)/ガガガSP (okmusic UP's)

“青春パンク”を背負って立つ
本稿作成のためにガガガSPやコザック前田(Vo)のことをあれこれ調べていたら、“以前、本人らは青春パンクに分類されることを嫌っていたが、現在コザック前田は青春パンクを90歳まで続けると宣言している”という一文を見つけた(“”はWikipediaから引用)。これを基にさらに調べてみたら、ガガガSPがインディーズに戻ってから最初のアルバム『声に出すと赤っ恥』(2008年)のジャケットで“バンドを90歳まで続ける”といった内容が書かれていたり、Yahoo!モバゲーでの「ガガガSPさんのプロフィール」に同様のコメントが残っていたりするようで、その宣言に相違はなかろう。潔い。そもそも“青春パンク”というジャンルは、ガガガSPを始め、175RやGOING STEADYらが活躍した2000年代前半にそれらのバンドをひと括りにしたカテゴリであり、彼らが提唱したものでも何でもない。“以前、本人らは青春パンクに分類されることを嫌っていた”というのも本当だろう。その上で彼が“90歳まで続ける”と言い切っているのは、自身がやっている音楽が懐古的に語られるものではないことを逆説的に表しているのだと思う。その姿勢はパンクであり、ロックであるとも思う。ちなみに、昨年復活した175Rもそうであるし、ガガガSPと同時代にデビューした太陽族やSTANCE PUNKS、ザ・マスミサイルらもそのスタンスは失っていない。そんな彼らの姿勢からは勝手に漢気を感じるところではある。
日本のパンクロックの歴史を大雑把に分けると、1970年代後半の本場パンクムーブメントからの直撃世代、1980年代のインディーズ御三家の時期、1990年代のAIR JAM 世代に分類されるだろうか。青春パンクはその後に続く、2000年代のパンクである。この世代のバンドの特徴は、概ね1970年代後半以降の生まれのメンバーで構成されていることにある。ロンドンでSex PistolsやThe Clashが世界的なムーブメントを起こしている頃に彼らは生まれ、彼らが物心が付くか付かないかの頃にはザ・スターリンが観客に臓物を投げ、LAUGHIN’ NOSEは♪GET,GET,GET THE GLORY♪とオーディエンスを煽っていた。リアルタイムで聴いたパンクはHi-STANDARDやBRAHMANといったところだろう。つまり、彼らは初期パンクが持っていた反社会性や退廃感とはほとんど無縁だったと言える。また、その頃は所謂CDバブル期でもあり、日本のロックそのものが多様性を増していた時期でもある。おそらくジャンルに捕らわれることなく音楽を聴き、それらを柔軟に自らの表現へと取り込むこともできたのだろう。青春パンクは“恋愛や友情、トラウマ、夢と情熱など若者の個人的なできごとや感情を主にテーマにした詞が特徴”とある(“”はWikipediaから引用)。確かにそういうものが多いが、そんな反体制ではない──少なくとも直接的なそれではないパンクロックが生まれたのも、ある種、必然的だったのかもしれない(初期パンクの退廃感はビジュアル系バンドに受け継がれていったと考えられるが、それはいずれまた別の講釈にて──)。

弱く、しみったれた気持ちも吐露
一方で、下記のような思春期の男子ならではの歌詞があることもガガガSPらしさだ。

《僕の歌う歌なんて、全部君の事さ/だから僕の歌は全部君の歌なのさ》《僕のこの思いは君には届かないだろう/悔しいけど、僕には気持ちは届けられないだろう/どうして、どうして、こんなに切ないんだろう/僕の気持ちは大きくなるばかり》(M4「君の歌は僕の歌なのさ」)。

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