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「日本国憲法は忖度と対極」 施行から70年、現行憲法が示すものとは

「日本国憲法は忖度と対極」 施行から70年、現行憲法が示すものとは

2017年5月3日、日本国憲法は施行70周年を迎えた。これまで一度も改正されることなく、70年にわたり日本の国家のあり方を示してきた現行憲法だが、改正の議論がたびたび巻き起こり、国民の関心を集めている。

では、「憲法が変わらない」ことの意味とは一体なんだろうか?それを考えるためには、現行憲法に一体何が書いてあるのか、振り返って見直してみる必要があるだろう。

日常の事柄から憲法の条文を結び付けて分かりやすく解説した『憲法って、どこにあるの? みんなの疑問から学ぶ日本国憲法』(集英社刊)の著者で、大阪国際大学准教授の谷口真由美さんにお話をうかがった。

(新刊JP編集部/金井元貴)

■憲法とは「大枠の国のあり方、こういう風な国作りをしていこうという指針」

――5月3日で日本国憲法が施行70周年を迎えました。この70年間、改正されずに存在してきた価値について、谷口さんはどのようにお考えですか?

谷口:今まで改憲の機運がなかったわけでもないですし、アメリカから改正を望む声が来たこともあるなかで、70年間改正をしなかったということは、この日本国憲法が日本人的価値観の中に大きく存在しているということなんでしょうね。

――「日本国憲法時代遅れ論」もありますが、その良い悪いは別として憲法には「普遍的」な重みがあるように感じます。

谷口:どの国でも同じなんですが、最高法規には抽象概念しか書かれていません。実は具体的なことが何一つとして書かれていない。それが憲法の大きな特徴です。では、何が書かれているかというと、大枠の国のあり方、こういう風な国作りをしていこうという指針ですね。少なくとも70年前は日本をこういう国にしたかった、ということなのだと思います。

その国家の指針に対して、「古い」という価値観を持ち出すことがまずナンセンスですよね。

――「古いこと」が変える理由にはならない、と。

谷口:「古い」だけが理由にはなりません。では、どういう理由ならいいかというと、憲法で示された理想に現実が追いついていないときに、その現実に合わせて改正するというのは一つあるでしょう。ただ、その時は、国の理想を変えることで、国の将来がどれだけ変わるのか議論されないといけませんよね。

――ご著書の『憲法って、どこにあるの?』で書かれていたように、日本国憲法24条では夫婦の平等が謳われていますが、これは起草された当時の日本の風潮からすれば考えられないことでした。これは憲法が示す「理想」の一つですよね。

谷口:そうですね。当時の日本国民の大半は、大日本帝国憲法的な規範の中で生きていましたから、当時の現実に合わせて憲法をつくっていたらどうなっていたか考えると、あまり戦前の空気と変わらなかったかもしれません。でも、新しい憲法で国の理想のあり方を示した。そこで現実社会が混乱したかというとそんなことはなくて、ソフトランディングで少しずつ変わっていきました。

もし今、憲法で示されている理想が現実を追い越したと評価するならば、新しい理想を作りましょうという議論になってもいいでしょう。でも、達成されていない理想もたくさんあるから難しいところですよね。

――「憲法九条を世界遺産にしよう」という運動も起きましたが、実際に諸外国は日本国憲法をどのように評価しているのですか?

谷口:「九条の会」は世界各地にありますし、実際に評価もされています。けれど、今は集団的自衛権の行使も容認されましたし、すでに看板と中身が違ってきている側面はあります。だからといって、この看板を下ろして良いのか、ということはありますよね。

海外で日本国憲法が話題になることはほとんどないけれど、自民党の憲法改正草案はネタになることがあります。

――この時期になると大手新聞社などのメディアが「改憲に賛成か、反対か」を問う調査を行いますよね。産経新聞とFNNの合同世論調査では、憲法改正に「賛成」と答えた人が過半数を超えたとありましたが、この結果を谷口さんはどう捉えますか?

谷口:実はアンケートって設問内容によって答え方が変わってくるんです。研究者的に言えば、決まった答えに導ける設問作りもできるんですね。つまりは誘導尋問ができてしまう。だから、こうしたアンケートの結果を鵜呑みにせずに、まずは設問をちゃんと読んでみる。もしくは前年の設問文章を確認する。メディアが毎年同じ文章と項目でアンケートを取っているならば、それは意味があると考えていいはずです。

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