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「保険は大嫌い」から保険相談ショップを多店舗展開する経営者へ――アセットガーディアン株式会社 代表取締役 内野道雄さん【起業家たちの選択と決断】

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約35社の保険商品を扱う保険相談ショップ「保険 de あんしん館」などを展開するアセットガーディアン株式会社。その創業者である代表取締役・内野道雄さんは、大学卒業後、商社に入社。新人時代に強引な保険セールスを受けた経験から「保険が大嫌いだった」という。

そんな内野さんが、なぜ保険相談ショップの運営会社を立ち上げるに至ったのか。これまでの選択と決断のプロセスを伺った。

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アセットガーディアン株式会社 代表取締役 内野道雄さん

社会人になって価値観が変化――「チャレンジする人生はかっこいい」

「人生の成功とは、いい大学に入って有名企業に入ること。昔はそんな価値観を持っていました。就職先として商社を選んだのも、上場企業でありつつ『服装の制限が厳しくないから』という理由。仕事内容にも働き方にも、思い入れなんてなかったんです」

商社では、ゼネコンや建築主を対象に、オフィスの内装・家具・OA機器の一括納入を提案する営業を務めた。業務の一環として、商材の仕入先である中小企業経営者と交流を持つうちに、「成功」に対する価値観がくつがえされたという。

「業界の頂点に君臨する大企業をわざわざ辞めて起業した?それ、どういうこと!?と、衝撃を受けました。当時の僕は、中小企業というのは家業が代々受け継がれるものであり、会社が自分でつくれるものだとは思っていませんでしたから。彼らから、起業を決意した理由、社員や仲間たちへの想い、世の中をよくしたいという将来ビジョンなどの話を聴いて、『うちの上司はここまで考えてないよな』と思った。同時に、5年先10年先が想像できるサラリーマンよりも、見えない未来を自分で創造していくほうがかっこいいし、おもしろいと思ったんです」

こうして「起業」への意識が芽生えたが、どういうビジネスをすればいいのか想像がつかず、悶々とした日々が続いた。そんなとき訪れたのが「金融ビッグバン」だ。金融制度が大幅に改革され、金融サービスのあり方が変わろうとしていた。

内野さんは「おもしろいかもしれない」と直感。「商社でモノの流れは覚えたから、次は金融の知識を身に付けよう」と考え、金融業界を目指して転職活動を開始した。

しかし、人材紹介会社に登録したものの、第一志望である「銀行」の求人紹介は受けられなかった。当時の銀行は未経験者の中途採用を行っていなかったのだ。

途方に暮れていると、ある会社から面接のオファーが届いた。これから日本市場で拡大を図ろうとする外資系保険会社だった。

「すぐに断りました。というのも、僕は保険が大嫌いだったんです。新入社員の頃、保険外交員にろくに説明もされないまま強引に加入させられて、イメージが最悪でしたから。それでも試しに話を聞いてみると、日本ではまだ100人未満の組織で、総合職というポジション。ベンチャースピリットを持っていて、若手が任される環境。『それならやりがいがありそうだし、学べそうだ』と、入社を決めました」

そこで初めて保険の仕組みを学んだ内野さんは、「すごい商品。個人にとっても企業にとっても絶対必要なもの」と気付いたという。そして、自分と同じように保険を敬遠している人たちに正しい知識を提供したい、そこにこそビジネスチャンスがあるのではないか…と考えた。

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「お客様のために」を実践し、年間で億単位の収入を得る

内野さんの担当業務は、自社の保険商品を扱う代理店の営業支援。代理店の社長やスタッフが顧客を訪問する際に同行し、コンサルティングや保険商品の提案を行った。

しかし、そこで葛藤を感じるようになる。顧客の状況やニーズを聞くと、「他社の商品が適している」というケースが多々あったのだ。

「本当に顧客のためになる提案がしたい」という想いを募らせた内野さんは、退職を決意。さまざまな保険会社の商品を扱う総合保険代理店として、念願だった起業を実現させた。

しかし、会社員時代は代理店をサポートする立場だったことから、「自分の顧客」は持っておらず、ゼロからのスタートだった。そこで、なけなしの貯金300万をはたいて、帝国データバンクから「業績好調なオーナー企業」のリスト10万件分を購入。保険を見直す時期である「決算期」が近い会社をピックアップして、電話をかけまくった。

100社に電話して、アポがとれるのは1社ほど。しかも、アポがとれて訪問しても「ふーん。考えておくよ」と言われたきり、契約に至らない。そんな調子で3ヵ月が過ぎた。

「何とか初対面で信頼を獲得する方法はないか」。

内野さんは「ファイナンシャルプランナー宣言書」を作成した。ファイナンシャルプランナーという国家資格者として「嘘をつかない」「公正中立な立場を守る」などの誓いを文書にし、実印を押し、印鑑証明のコピーを添えて手渡した。「飛び込みで来ましたが、こんな想いでやっているので、話を聞いていただけませんでしょうか」と正面きってぶつかると「おもしろいヤツだ」と話を聞いてくれる社長もいた。

その次のステップでも、やり方を変えた。当初は「こういう商品です。お勧めです」と紹介していたが、「この商品はお客様にとってこのように役立つと思うのですが、どう思われますか」と投げかけるようにした。つまり、一方的な「プレゼンテーション」ではなく、相手と考えをすり合わせる「ニーズシェア(共有)」のスタイルに変えたのだ。

すると、「検討しておくよ」で終わらず、「ここはいい」「この部分はちょっと」など会話のキャッチボールに発展し、相手が気になっていること、求めていることをより明確につかめるようになった。ニーズに応じてより適切な提案ができるようになり、続々と契約に成功。起業初年度の個人年収は8000万円に達した。

それ以降は顧客が顧客を呼び、さらに業績アップ。世界の保険外務員の0.1%、日本には50人のみという「MDRT TOT(トップ・オブ・ザ・テーブル)」の称号を得るまでになった。

「『for me』ではなく『for you』。本当にその人の役に立ちたいというスタンスで取り組めば、信頼していただける。それを実感しました」

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理念を継承し、さらに高めていく組織づくりを

年間で億に達した収入。内野さんがその資産を投じたのは、不動産でも娯楽でもない、「人財」の採用だった。保険のセールスはワンマンプレイヤーとして活動する人が多い中、内野さんは「組織をつくる」道を選んだのだ。

「お客様は私を信頼して保険を預けてくださいます。でも、もし自分が先に死んだとしたら、『あなたのお役に立ちます』という約束を果たせません。そこで、お客様の家族を3代先まで支えられるように、自分の理念を受け継いでいく会社組織をつくろうと考えたんです」

こうして、「ライフコンシェルジュ」の採用を開始。理念を伝え、それに共感してくれるスタッフを迎え入れた。現在、約35社の保険会社から比較して選べる保険ショップ「保険 de あんしん館」などを首都圏で10店舗以上展開、社員数は100名以上に拡大している。

「出会いを大切にしたい、本当に人の役に立ちたいという想いを持った仲間が集まってくれました。最初は私が『理念』をつくりましたが、今はメンバーたちが話し合って、理念にもとづく行動指針をブラッシュアップしてくれています。私たちは、保険業界の常識を変え、よりよい仕組みに変えていきたいと考えています。共感できる仲間たちと一緒に新しいルールをつくって実行していける今が、1人で億のお金を稼いでいた頃より100倍楽しいですね」

<内野さんの「選択」と「決断」のポイント>

長い目で見て、「おもしろい」と感じられる道を選んだ 時代の流れを察知し、変革する業界に飛び込んだ 偏見にとらわれず、学んで正しく理解した 自分が提供できる価値を、より高められる手段を選んだ

EDIT&WRITING:青木典子 撮影:田中振一

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