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ゼルダ風アクションアドベンチャー『オーシャンホーン』 短いボリュームの中に詰まった「冒険の醍醐味」とは?

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アクションアドベンチャーの草分け的存在で、国内外を問わず、根強い人気を誇る任天堂の『ゼルダの伝説』シリーズ。インディーゲームにおいても、ゼルダに影響された作品は数多く、今日に至るまで様々な派生作が誕生している。
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今回紹介するのは、そんな派生作の中で、特にゼルダ色の強い作品『オーシャンホーン 未知の海にひそむかい物』だ。フィンランドのインディーデベロッパー・Cornfox&Brosが制作し、2013年にiOS、Android用ソフトして発売された。

2015年にはWindows PC版がSteamにて販売。翌年、2016年のアップデートでMacにも対応した。更に同年、海外ではプレイステーション4、XboxOneのコンシューマ機へ進出。2017年には、ニンテンドースイッチ版の販売が計画されている。

スクリーンショットを見るだけでも、ゼルダから強い影響を受けているのが分かる今作。本編もまた、同作に対する敬意とアクションアドベンチャーの醍醐味を余すことなく注ぎ込んだ内容に完成されている。

ゼルダ全開なゲームシステムと冒険の醍醐味が詰まったレベルデザイン

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はるか昔、世界に大災厄を招き、今なお生き続ける怪物「オーシャンホーン」。その怪物に息子が巻き込まれぬよう、旅に出た父親。息子である主人公の少年はそんな父親を捜し出すべく、オーシャンホーンの謎に迫る旅に出る…という形で今作は幕を開ける。

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ゲーム内容は敵と戦ったり、仕掛けを解いたりしながら進めていくアクションアドベンチャー。ストーリーに沿って世界各地に点在する「島」を訪れ、ダンジョンを探索したりしながら、オーシャンホーンに繋がる手がかりを探っていくというものだ。

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身も蓋も無く言うと『ゼルダの伝説』そのもの。厳密には『ゼルダの伝説 風のタクト』で、島を巡りながら進めていくところはそのまま同作を踏襲している。島を巡る際も船で大海原を渡るという、これまた同作をなぞったもの。航行の際に機雷、モンスターが行く手を阻み、それらを大砲で撃沈していく展開もあったりする。

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システム周りも、特に『ゼルダの伝説 時のオカリナ』以降のシリーズをなぞっており、盾による防御、ボタンごとにアイテムをセットするシステムなどが実装されている。フィールドマップもグラフィックこそ3Dで高低差があるが、基本は2Dの見下ろし視点の初期のゼルダ仕様。

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更には『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』で初登場し、最新作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』にも継承された、ダッシュなどのアクションを使うに当たって消費する「がんばりゲージ」もある。

敵を倒したり、島ごとに用意された「チャレンジ」を達成すると「探検家のクリスタル」が手に入り、それが一定量に達するとレベルが上昇する独自要素もあるが、全体的には徹頭徹尾、ゼルダなゲームデザイン。何らかのシリーズを遊んだことのあるプレイヤーなら「そのまんま」の感想が出てくる内容になっている。

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そんな「ゼルダ全開」であるところをフォーカスしてしまったが、では今作の魅力とは何か?

それはコンパクトなボリュームの中に詰め込まれた、冒険の醍醐味の数々だ。
率直に言って、今作のボリュームは少ない。舞台となる島のマップが狭く、行動範囲が絞り込まれた構造をしているので、矢継ぎ早に本編が進んでいく。その為、クリアまでの所要時間も大体10~15時間程度と短めで、ゼルダのような大作感は薄い。

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しかし、裏を返せば密度が濃い。マップが狭いからこそ、謎解き、戦闘、イベントの三つがテンポ良く、且つバランス良く展開されていくので、文字通りに波乱万丈な冒険の旅を堪能できるのだ。

ロケーションも多彩。自然で覆われた緑豊かな島、大きな街とお祭りが特徴の島、砂漠だらけの島、更には近未来的な要塞が建造された島など、ファンタジーあり、SFありのバラエティーに富んだ個性付けの数々は、プレイヤーに未知の島を訪れていく冒険の面白さを存分に提供する。スクリーンショットを見れば分かるように、グラフィックも非常に綺麗なので、その風景見たさに訪れたくなってしまう魅力もあり、制作者の狙い澄ました作り込みが光る。

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ストーリーを進めるだけなら、全ての島を訪れる必要がないのも秀逸。これによって世界の隅々を調べ尽す探索の楽しさを演出し、島のマップ攻略での物足りない箇所を補強している。それらの島を訪れることで便利アイテムの入手、レベル上昇による主人公強化の機会も作れるなど、メリットをちゃんと設けているのも上手いところだ。

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唯一、ゼルダ由来でないシステムであるレベルの概念も、寄り道によって攻略の違いに繋げているところに独自色を出す製作者の工夫が現れている。また、狭いからこそ、目的地を見失い難いのも大きな強み。中盤以降になると、複数の島を巡りながら謎を解くイベントも発生するが、狭いからこそ総当たり攻略がしやすく、プレイ時間が間延びすることもない。

狭いことにネガティブな印象を抱くかもしれないが、実際は狭いなりの強みを存分に活かした作り。ジャンルの醍醐味を損ねず、プレイヤーを退屈させずのサービス精神に則った、高い充実感のある内容にまとまっているのだ。

長時間の拘束を防ぎつつ、バランスの取れた謎解き

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謎解きの出来も良く、テンポに重きを置いた作り込みが成されている。その象徴が複雑なパズルの抑制。ブロックを動かして道を作ったり、像を法則性のある配置にする謎解きのことだが、基本的にその場で完結させる作りを徹底。プレイヤーに他のフロアにあるオブジェクトを運ぶ手間を強要させ、それによって間延びさせぬよう、そして見た瞬間に解法が想像できるよう、気を遣った作りに落ち着かせているのだ。

その他のカギ探し、スイッチ動作などの謎解きもそのような配慮を凝らし、テンポを重視。サクサクと目前の障害を取り除き、真相に迫っていく面白さを演出する。

謎解きはアクションアドベンチャーの醍醐味だが、塩梅を誤れば、プレイヤーに大きなストレスを与える要因となる一面も持つ。特に複雑なパズルは最もそうなりやすい。その懸念をゼルダシリーズを遊んで研究したのか、今作は「謎解きで長時間拘束しない」をモットーとするバランス調整が図られ、テンポの優れた遊び心地を実現させている。

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かと言って簡単、という訳ではない。複数の島を巡って貴重なアイテムを運ぶなどの複雑な謎解きも立ちはだかる。

戦闘も手応え十分。特にボス戦はゼルダのように謎解きをしながら弱点を探す展開を絡めつつ、攻撃の回避も堅実にこなしていく、アクションゲームの緊迫感に満ちた手に汗握る展開が繰り広げられる。更に今作では、ボスを倒しても主人公の体力の最大値が増えないので、それに関連したアイテム「ハートのかけら(※原文そのまま)」を集め、強化を図っていかなければ、どんどん難しくなっていく。

レベルに関しても、上げることによってアイテムの使用回数が増えるところがあるので尚更。それが返ってプレイヤーに色んな島を巡ることの重要性を促しているのも、今作の一筋縄ではいかぬ難易度を表現していて面白い。

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あくまでも、遊び易さ重視。手応えを求めるプレイヤーも楽しめ、初めてアクションアドベンチャーに触れるプレイヤーも楽しめるのを大事にしたバランスだ。ここまでの流れから、アクションアドベンチャー手慣れたプレイヤーには物足りない内容と思うかもしれないが、実際に遊んでみれば、決してそうではない「本気」を実感させられるだろう。

あのコンポーザーも楽曲を提供

音楽も冒険活劇の題材にマッチした、オーケストラ調の楽曲が華を添える。しかも、一部の楽曲はファイナルファンタジーシリーズで知られる植松伸夫氏、サガシリーズで知られる伊藤賢治氏の御二方が手掛けている。両氏の音楽が好きなファンにとっては、特筆すべきセールスポイントと言えるだろう。しかしながら、両氏が手掛けた楽曲を聴けるのはiOS、Android版だけ。PC版で聴くことはできないので、楽曲目的でプレイする際はその点に注意して頂きたい。

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褒められない難点もある。特に奇妙なタイミングで改行が行われる日本語テキストは非常に読み難い。更にiOS、Android版では文字フォントにフチが無く、明るい背景だとテキストがそこに溶け込んでしまう。翻訳は概ねまとまっているだけに、原文の英語に日本語テキストをそのまま当てたような作りになってしまっていて惜しい。こればかりは、日本人が読むのをもっと考慮したローカライズを実施して頂きたかった。また中盤終わりのノーヒントなおつかいイベント、何故か戦闘以上に難易度が高い魚釣りも、もうひと工夫と配慮が欲しかったところだ。

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とは言え、全体的な出来は良く、短い時間でゼルダっぽいアクションアドベンチャーを堪能できる作品に完成されている。謎解きの難易度も控え目なので、苦手意識のあるプレイヤーも安心。フィールドは狭いけど、冒険盛り沢山の島巡り、体験してみませんか?

[基本情報]
タイトル: 『オーシャンホーン 未知の海にひそむかい物』
制作者: Cornfox&Bros
クリア時間:9時間~15時間(※やり込み要素のコンプリートを除く)
対応OS: iOS、Android、PC(Windows、Mac)、PS4(※海外のみ)、XboxOne(※海外のみ)
価格: ¥1080(iOS)、無料(Android:本編開始時に課金が発生)、¥1480(PC)

iOS
https://itunes.apple.com/us/app/oceanhorn/id708196645?mt=8
Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.FDGEntertainment.Oceanhorn.gp&hl=ja
Steam
http://store.steampowered.com/app/339200/?l=japanese

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