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「人が好きだから、地元福島のために働く」——彼女の熱い思いの原点にあるものとは

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リクルートキャリアには北は札幌、南は鹿児島まで、全国各地に34の拠点があり、各拠点では地元企業の採用活動を支えるパートナーとして、日々多くの社員が活躍しています。現在は東京本社・総合企画部に勤務する長瀬かおりが、リクルートキャリアでのファーストキャリアとして生まれ育った郡山で8年間働くことを選んだことには、どんな理由があったのでしょうか。彼女の言葉から、その思いを紐解きます。

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 長瀬かおり(ながせ・かおり)

人材派遣会社での営業経験を経て、2008年株式会社リクルート HRカンパニー(現リクルートキャリア)に入社。福島県内3~40社の新卒採用支援を実施。2016年7月、さらなるキャリアアップのために東京の総合企画部へ異動。現在は、大手企業様の新卒採用支援につとめている。

郷土に尽くした祖父の姿が「働くひと」の原点

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郡山は、私が生まれ育った街です。大学進学と最初の就職でいったんは離れましたが、2008年に戻ってきてからは、ずっとここで暮らしています。震災から5年、まだとても「復興しました」とは言い切れません。

でももう、「震災を理由にするのはやめよう」とクライアントの人事の方たちとも話しているんです。過去起こったことをいつまでも悔いるのではなく、前を向いて歩き続けることが、今、私たちにできることだから。

祖父は長らく地元福島の行政に携わっていました。来客も多く、お正月やお盆はもちろん、頻繁にご近所から海外まで40~50名もの方が集まって、酒を酌み交わしながら熱く想いを語らっていました。

私は祖母や母と一緒にお手伝い。「えらいねぇ」なんて褒められたり、叔父が演奏する尺八の音色に、海外からのお客さまの横に座って、「わーっ!」と歓声を挙げたり……。お客さまを迎える家族の大変さもわかっていましたから、「祖父のようになろう」とまでは思いませんでしたが、郷土のために尽力する大人たちの姿や、海外の方との交流の中で、「こんなふうに掛け値なしに熱い思いを持てる仕事ができたらいいな」とおぼろげに夢を持つようになりました。

東京都内の大学に進学し、留学制度を活用してアメリカに行くことにしました。その時は「憧れ」の一心だったのですが、留学先のアメリカで自分の壁に気づくことになったんです。

日本では電車やエレベーターの中でなるべくパーソナルスペースを確保しますが、一方、アメリカではみんな当たり前のように、見知らぬ人でも親しげに話しかけるのです。「これからどこに行くの?」とか「今日、こんな悲しいことがあったの」「じゃあ、僕にできることはないかい?」とか……まさにアメリカのホームドラマみたいに(笑)。

私はといえば、とてもそんなにオープンになれなくて、くよくよしてばかり。「はぁ……私ってほんとに小さいなぁ」と、7カ月という短い期間でしたが、挫折を感じていました。

その後「よし、今度こそ」と意気込んで、夏期休暇を利用して2カ月間、成長著しい中国に留学しましたが、そこで再び挫折。

フィールドワークで「女性の社会進出」について意識調査を行ったのですが、そもそも「街頭でアンケートを取る」という行為自体が特異で、しかも当の私は「外国から来た女性」。怪しまれたり、時には罵声を浴びたりすることもありました。フレンドリーだったアメリカとのギャップもあって余計にショックで……J-POPを聴きながら、毎日ルームメイトに「帰りたい」とこぼしていました。けれどもその経験を通して尚更、「私は根本的に、人が好きなんだ。だから人とコミュニケーションを取りたいんだ」と思い知ったんです。

「ありがとう」と言ってもらえる仕事

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大学卒業後は、ある人材派遣会社に就職しました。「人が好きだから、人材の仕事をしよう」って、単純ですよね(笑)。

当時まさに波に乗っている会社でしたので、業界をリードするノウハウを知りたかったというのが入社の動機です。配属先は営業部、担当エリアは日本橋・丸の内。東京のど真ん中で飛び込み営業も経験し、派遣受け入れ先と派遣社員の間を取り持つ日々を過ごしました。

毎日かかってくるクライアントからの電話への対応、自分の年齢の倍ほどの派遣スタッフや新しく派遣されるスタッフのフォローを行いながら、朝から晩までフル回転。それでいて新規会社訪問も併行して行わなければいけなくて……毎日をこなすので精いっぱいでしたね。

そんなある時、クライアントから「スタッフを変えてほしい」との申し出があったんです。けれどもそのスタッフは「辞めたくない。もっとがんばりたい。」と働く意欲がある。上司に相談したところ、「すぐに交代させて」と。それでなんだか、ピンと張っていた糸が切れてしまいました。

4年続けた仕事を辞めて、あてもなく郡山に戻ってきたのは、それがきっかけでした。しばらくは実家でゆっくりしたり、久しぶりに海外を旅したりして“充電”の毎日。そしてそろそろ働き始めようかと思っていた矢先、知人から「人材をやってたならば、ここ受けてみたら?」と誘われたんです。それがリクルートキャリアでした。忘れもしない、面接で最後にひとつだけ、こんなことを質問しました。

「何をしたらクライアントから怒られますか?」って。そうしたら「怒られる? いや、怒られないよ(笑)。むしろ『ありがとう』って言われるほうが多いよ」って言われたんです。拍子抜けしましたね。「なにそれ、世の中にそんな仕事あるの!?」みたいな。

「今週の金曜日から来て」とトントン拍子に入社が決まって、「さぁ、どんなもんか見てみよう」と思っていたら、その翌週に起こったのがリーマンショック。不思議なご縁ですよね。少しでもタイミングが遅かったら、私は採用されていなかったかもしれません。

そんなときに営業として入社した私にとって、新規で新卒採用のニーズがある企業を探すのは容易ではありませんでした。そんな状況で仕事が始まりましたが、クライアントから本当に「怒られない」んですよ。怒鳴られることも一切ないし、むしろ「ありがとう」「助かったよ」と感謝してもらえる。企業側も私たちのことを”業者”ではなく“パートナー”と思っていてくださっていて、組織の課題や問題意識を共有しながら、「一緒に解決していこう」と対等な立場で仕事をすることができるんです。もちろん、ご予算をお預かりしていますから、きちんと「それ以上の価値を提供しなくては」という思いがありました。

そうやってクライアントと信頼関係を築いていくなかで、「あぁ、私がやりたかったことはこれだったんだ!」とやっと実感できたんです。アメリカに留学した時に憧れた「慈愛」の精神。今、目の前にいる人の根底にある思いや背景を理解して、課題を解決することで、その人が幸せになる。そんな相手を見て、私もまた幸せになれる。そんなふうに「みんながハッピーになる」ためなら、なんでもがんばれるな、って。

“日本の将来の課題”が今ここにある

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震災が起こったのは、入社4年目の時です。すぐにクライアントの安否確認に努めましたが、翌日からは自宅待機を命じられ、業務に戻ったのは2週間後。それからもしばらく安否確認や状況把握を行うしかありませんでした。

カンタンに「人をどんどん採用しましょう」とは言えないし、自分の中にも葛藤がある。不確かな情報に翻弄されながら、何を信じればいいのかわかりませんでした。

けれども経営者の方々と会い、お話するなかで「俺たちはここでやっていく。この場所で事業を続けていくしかない」と踏ん張っている方々の姿やその思いに接して、「私もここでやっていこう」と覚悟が決まりました。クライアントが踏ん張っている以上、それを支える役目がありますから。

私が在籍していた東日本地域活性営業部はその名の通り、地域を活性する部署だと思っています。震災以降、様々な形で支援の手が差しのべられてきました。ただ、根本的には、今ここで暮らす人が「復興しよう。暮らしを変えよう」と思わなければ、現状は何も変わらないと思うんです。「地域の活性化」は雇用を通してでなければ生まれません。ただイベントや企画を行うだけでは何も生み出さずに終わってしまいます。

「地方の過疎化」は日本にとって大きな課題ですが、今の福島県は、日本のあらゆる地方がそう遠くない将来直面する危機的状況に、既に直面しています。

この課題において、ある意味最先端を行く地域だと言えるでしょう。その課題を解決するため、私たちが最前線で取り組むことが、もしかしたら日本の将来を変えるかもしれない…。

そんな意識で、日々仕事をしています。それはただ、クライアントの採用活動が成功するために尽力すること。少し遠い将来かもしれませんが、「ムーブメントを起こす」くらいのことを成し遂げたいんです。“福島のために”というと月並みな言葉になってしまいますが、福島が私の生まれ故郷ですから。

「福島の復興、福島の発展のために」という想いを形にするために、採用に関する最先端の知識・ノウハウを得たいというのはもちろん、地域や社会を動かすという視点を身に着けたいと考え、昨年の7月から東京本社の総合企画部へ異動して社員5000名以上の大手企業の新卒採用のお手伝いをしています。

社会に対して大きな影響力を持った、日本を代表するような大手企業様の採用をお手伝いすることを通じて、「社会に対して影響力をどう発揮していくのか?」「地域の課題をどうしたら解決に近づけることができるのか?」といったことを日々学びながら、目先の利益ばかりを考えるのではなく、本気で福島のこと、人の暮らし、社会を考えて、やりたいことを全力でやらせてもらえています。なりふり構わず本気で会社と向き合って、仕事の対価を得られていることに、誇りを感じられているのです。

そしてその本気さは、小さなころに祖父の家で見ていた、大人たちの姿にも重なります。あの情熱を心に持ったまま、今できることを考えていきたい。“福島で働くことに誇りを持って、一緒に踏ん張ってくれる同志”を見つけるために、私は今日もクライアントとともに歩きます。

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