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古代社会において「脂肪」は○○の象徴だった!

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古代社会において「脂肪」は○○の象徴だった!

 生きていくうえで必要不可欠なエネルギー源であると同時に、肉体的肥満とも密接に関係している”脂肪”。ミシェル フィリポフによる『脂肪の歴史』は、そんな”絶対に必要だが嫌われ者”の脂肪が、現代に至るまで人々のあいだでどのように受け入れられてきたのか、その歴史に迫った一冊です。

 必須栄養素が摂れるとあって、古くからその価値は高かった脂肪。本書によれば、食事に脂肪が不足すると命取りになる動物性食物源への依存度の高かった社会では、動物の最も脂肪が多い部位が好まれる傾向にあったそう。そのため脂肪は、相対的稀少性も相まって、社会的・文化的地位の重要な指標に。実際「骨髄、脳、それに肝臓など内臓を取り巻く脂肪など、動物の最も脂肪分の多い部位、すなわち最も栄養価が高い部位を取る特権は(男性の)狩人に与えられ」(本書より)ていたのだといいます。

 そして、こうした権力との結びつきが一因となり、脂肪は冠婚葬祭や儀式においても重要な役割を果たすように。ケニアやタンザニアのマサイ族の結婚の儀式では、雄ヒツジから採った油脂を花嫁の頭と衣装にこすりつけるなどしていたそうです。さらには、メソポタミアの王家の饗宴では、豊かさと権力の象徴として、脂肪分の多い料理が食べきれないほど並べられたことも本書の中に記されています。

 「アッシリアの王アッシュールナツィルパル2世は、紀元前879年に宮殿が完成したとき、6万9574人の招待客のために10日間の祝宴を開いたが、それには太った雄牛1000頭、1万4000頭のヒツジ、1000頭の子ヒツジ、数百頭の鹿、2万羽の鳩、1万匹の魚、1万匹のネズミ、1万個の卵が使われた」(本書より)

 このように豊かさと権力の象徴としても使われてきた脂肪ですが、熱を通さないというその性質から、食品を保存・保護する防腐剤の役割も果たしてきたそう。「肉を加熱すると温かい液体状の脂肪の層で覆われるが、その層は冷えるにつれて固まり、肉を密封する」(本書より)性質から、腐りやすい食品の保存可能期間を延ばすために、脂肪は数世紀に渡り使われてきたのだといいます。

 本書によれば、それ自体の脂肪に浸すことで肉をやわらかくする”鴨のコンフィ”などは、今でこそグルメと見なされていますが、元々は長期保存するために編みだされた調理法だったそうです。

 社会的序列を示す道具にはじまる、脂肪と人間との関わり。知られざる脂肪の歴史に触れることのできる一冊となっています。

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