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脳からみる!変性性認知症高齢者の食事動作能力について

アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症などの変性性認知症(※)は、時間の経過とともに進行します。進行の速度はそれぞれの認知症の種類によって異なりますが、進行度合いによっては、ADL(日常生活動作)に大きく影響します。

脳血管性認知症は、片麻痺など「目に見えてわかる」症状があります。ところが、変性性認知症は見た目では分かりにくいことが多いため、認知症と診断されていても対応が遅れることがあります。特に「食事」という行動は、日常生活において人間の基本的欲求における行動であるため、入浴や着脱、歯磨きといった日常生活動作よりも比較的長期に「食事」という動作が成り立っています。

そのため、認知症が進行すると食事動作能力が突然低下するといったことも見受けられます。ここでは変性性認知症に絞りお話をさせていただき、読者の皆様の介助のヒントになれればと思います。

※脳の神経細胞そのものが変化して起こる変性性認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症)と、脳梗塞などの疾患や脳挫傷といった外的要因で起こる認知症(脳血管性認知症)がある。

脳の部位により変わる症状

変性性認知症は、侵される部位によって神経心理学的症状と食事に関する問題が生じます。症型毎に異なる点として、侵され(萎縮が起こる)始める部位が違うことが挙げられます。漠然と「認知症」と捉えるのではなく、その人をよく観察(人物像やその人の歴史なども含めて)し、病気の種類や侵されている部位、障害されている箇所などを把握してケアにあたるのはケアの質も違ってきます。

アルツハイマー型認知症の動作について

前頭葉が侵されていると、注意障害や感情の起伏が激しかったりといった症状が観察されます。そのため、食事に集中できない問題が発生します。側頭頂では、失行や失認などの高次脳機能障害を発症しますので、食べ物自体がわからない、お箸やスプーンの使い方がわからない、側頭葉内側ですと海馬がありますので、記憶障害を発症し食べたことを忘れる、食べる行為を忘れるといったことがあります。

前頭葉が萎縮されている型は、先ほども述べたように注意障害があります。そのため、大勢の方と一緒に食事をすることは注意散漫となる場合もあります。食事が配膳されているにも関わらず、手をつけていないといったことが観察されたら、他者の会話が気になって食事が取れていないかもしれません。私の経験ですが、ひとりで食事を摂れる環境を設定することで、食事が摂れるようになったことがあります。

レビー小体型認知症の動作について

幻視が特徴的ですが、視空間認知障害も見られます。そのため、食事に虫がいるなどと言い、食べないことがあります。またスプーン(お箸)と自分の口の距離感が合わず、勢いがついたまま口に入れてしまうなどの行動が観察されることがあります。

床にわざと食物を落とす方が観察されたりしますが、もしかしたら本人だけに見えている「虫」を投げ捨てているのかもしれません。介護者から、「どうして食べ物を床に落としているの?」と注意を受けると、苦痛を感じられる方もいらっしゃいます。

変性性認知症の場合、麻痺などがないために「自分は正常だ」と認識されている方が多いです。周りの環境に注意を奪われたり、虫を捨てているだけなのですから、注意を受けることで自分の行動は正しいのかと不安に陥ります。会話や社会性が成り立っていることが多いので、取り繕う言動や不安や苦痛によるBPSDを進行・増加させてしまいます。

前頭側頭型認知症の動作について

前頭側頭型認知症で前頭葉が障害された場合、代表的な神経心理学的症状としては脱抑制・常同行動などがあります。隣の人の食事を食べたり、お腹がいっぱいでもさらに食事を要求したりといった症状が現れます。前頭側頭型認知症の側頭葉が障害された場合は失語があります。脳血管性認知症でなくとも会話ができなくなり、何を食べたいのかわからないといったことがあります。

リロケーションダメージによる食事力低下

以前、リロケーションダメージについて述べさせていただきましたが、施設や病院などにおける入所・入院直後はリロケーションダメージを受けやすい時期です。

そのため、認知症の方の「食べる機能」がいつもよりも低下していることがあります。変性性認知症の種類とその神経心理学的症状を把握し、入所・入院以前の食行動をご家族などから詳細に聞き取りアセスメントを行う事が必要と思われます。

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