【京都】石塚英彦さんと一緒に伏見の銘酒を堪能!【澤屋まつもと】
▲松本酒造の銘酒「日出盛」を持ってニッコリの石ちゃん
こんにちは。メシ通レポーターのおかんです。『メシ通』は全国各地のグルメレポーターたちがオススメのうまいメシ・おもしろいメシを紹介するメディアなのは周知の事実ですよね。読者のみなさんのなかでも「●●さんの記事は毎回ウマそうなのが伝わってくるわ〜」的な、推しレポーターがいるかもしれません。
ところで、グルメレポーターでもっとも代表的な人といえば誰を想像します?
そう、あの人ですよね?
石塚英彦さん。
あっちこっちの番組で全国のおいしい料理を食べまくっているわけですが、じつはWebでも看板番組をお持ちの石塚さん。もとい石ちゃん。
それはAmazonプライム・ビデオで独占配信されている『石ちゃんのSAKE旅』。
石ちゃんが全国各地の酒蔵を巡り、その土地の水や空気に触れ、杜氏さんの情熱に触れ、うま……まいうーなお酒と料理に舌鼓を打つ、日本酒をテーマにしたグルメ旅番組です。
在住地である京都での『石ちゃんのSAKE旅』京都編の収録があるという情報を手にし、芸能人見たさという超ミーハーな理由で収録現場の記録とともにその様子をコッソリ拝見してきました。
▲京都編で紹介する酒蔵のひとつは全国の酒飲みが愛する京都伏見・松本酒造。「日出盛」や「澤屋まつもと」で知られる
番組の魅力を出演陣に聞いてみよう
▲杜氏の松本日出彦さんが、蔵内を案内します。石塚さんと一緒に各酒蔵を巡っているのは、室町時代から続く老舗の酒店「油忠」の店主であり、日本酒の定期購入サービス「SAKELIFE」を運営している高橋正典さん
番組は、毎回こんな流れになっています。 酒蔵を見学して、その酒蔵独自の製法などを学ぶ お酒を試飲して、味の特徴やそのお酒が生まれたワケなどを学ぶ 酒蔵の方々とお店に移動し、お酒とのマリアージュを楽しむ
日本酒に関するトリビアから、各酒蔵の日本酒に合う食事まで幅広い知識を得ることができる当番組の魅力や紹介する酒蔵について聞いてみました。
──いままで「日本酒だけ」「料理だけ」を紹介する番組はありましたけど、お酒あり料理あり……っていう番組構成は珍しいですね。
石塚さん:日本酒を紹介するのみなら、酒蔵でお酒を飲むだけで十分なんですけど、せっかく各地におもむいているので、その土地を紹介できればなと。ましてや「お酒単体ではなく食とのマリアージュを楽しむ」っていうのを紹介できたのは、新しい試みかもしれませんね。
▲酒米を蒸す大きな蒸し器。松本酒造の蒸し器は四角い箱形の蒸し器なんですが、一般的には樽のような円形が多いのだそう。この蒸し器は第3回放送の「醸し人九平次」にも登場していて……?
──京都・伏見といえば酒蔵のメッカじゃないですか。松本酒造はどうやって選ばれたんですか?
高橋さん:これは僕のチョイスですね。まず出演していただく酒蔵選びの基準なんですが、全国には1000以上の蔵があります。ただ、日本酒ビギナーの人たちって、日本酒は寒い地域で造られているものだというイメージを持っている方がすごく多いんです。
──第7回の石川県「菊姫」とか、第9回の青森県「陸奥八仙」とか?
高橋さん:そうですね。でも、日本酒の産地って、京都府の伏見をはじめ、兵庫県の灘、広島県の西条……それこそ九州や沖縄にもある。それをまず知ってもらいたかったんです。また、番組は世界中に配信されるので、世界にアプローチしている酒蔵のなかから、米や水、磨きなどそれぞれ持つこだわりや技法に重複がないように選んでいます。
──厳しい基準のなかから松本酒造が選ばれたんですね。
高橋さん:まず伏見に来たかったんですね。日本有数の酒の産地なので。そして伏見のなかでは、僕自身、松本酒造の日本酒を飲んで日本酒を好きになった過去があるんです。松本酒造のお酒って、昔ながらのいい部分と未来的な部分が本当に絶妙なバランスでミックスされているので京都に行くにあたり外せませんでした。
▲蔵内に掲げられた、先代蔵元による「蔵は老化しても蔵内は老化させるなかれ」という言葉。酒造りへの情熱が熱く込められています
食レポはテクニックでやってる? 本音を石ちゃんに聞いてみた
▲登録有形文化財の煉瓦倉庫内でお酒のテイスティング。松本さんによる丁寧な酒米の解説が入ります
酒蔵見学を経て、いよいよ日本酒のテイスティング! この後、お店での食事も入るので飲みっぱなし&食べっぱなしの飯テロシーンの連続になります。
石ちゃんの本領発揮となる部分でもあるんですが、ちょっと待ってください、みなさん、こんなことを思ったことはありませんか?
「あのグルメレポートってさ、お世辞も入ってるんじゃないの?」
だって人気レポーターだぜ? ひょっとして日本酒好きもビジネス的に「好き」って言ってるところもあるんじゃないの? テクニックで「こなしてる」部分もあるんじゃ、ないのお〜?
▲注がれた日本酒を掲げてジッと見つめる石塚さん
無色透明な日本酒、それをおいしそうに見せるってなかなか難しいことじゃないですか。飲んで「おいしー」という単純なものではなく、飲む前から日本酒の「おいしそう」度の表現力……。
▲「でもそれも過去の経験で手にしたテクニックじゃないの……?」という疑念を胸にしたため収録の様子を見つめるわし
▲松本酒造の看板商品「澤屋まつもと 守破離」。食事との相性抜群で、フレッシュかつうま味がじんわり口内に広がる美しい飲み応え。一度飲んだら誰もがとりこになるお酒です
▲空になったグラスの底をポンポンして、最後の1滴までお酒を飲み干そうとしている石塚さん
これはあれなのか〜!? 「飲み干すのが惜しいほどおいしい」ということを視聴者に伝えるためのテクニックなのか~〜!!!?
実際に聞いてみました。
▲全員がずんぐりむっくりしているという奇跡のショット。決して着膨れだけではない
──食レポの様子を拝見してて思ったんですけど、グラスを高く上げたり、グラスの底をたたいたり、味を伝えるテクニックがものすごいですよね。あれは幾度とない食レポの現場で積み重ねた見せ方なんですか?
石塚さん:そんなことしてました? うーん、じつは収録時は何も考えてないんですよ。
──何も……考えてない!?
石塚さん:せっかく杜氏さんたちが丁寧に造ってくれたお酒だから、1滴たりとも残したくないなと思って。
▲こ、この恍惚(こうこつ)とした表情は心からの本心だった……
──「おいしく見せるためのテク」で意図的にしているものなのかと思ってました……あっいえ、決してウソちゃうのとかお世辞だろとか思ったことはないんですよ?(目が泳ぐ)
石塚さん:もちろん、映像で日本酒を伝える場合、色が透明だったりして伝えづらい部分があるので、どう表現するか悩む部分はありますよ。でも、本当においしいものだからこそ、単純にその魅力を伝えたい。無意識のうちにそういう思いが行動に出てるのかもしれないですねえ。
──それはもう飲食に対する「愛」ですね。
石塚さん:味の表現にも「芳醇(ほうじゅん)」「すっきり」「酸味がある」とか、いろいろありますけど、まだまだ日本酒に対する言葉というのが限られている。そうなった時に、僕は顔で表現すればいいと思ってて。飲んだ時の顔で、視聴者の皆さんに雰囲気や味を感じていただければと。まあ、自分が飲み食い好きっていうのが根底にあるんですけどね。
▲お酒へのリスペクトが伝わる丁寧な「ごちそうさま」。石塚さん、いえ、石ちゃん様、くだらない疑いをかけてホントすみませんでした
石ちゃんが語る大きな大きな日本酒愛
▲「酒と食のマリアージュを楽しむ」お店は、京都は北白川の名店「草喰なかひがし」
京都で食レポ系の仕事やガイドブックの制作なんかをしていると絶対に出てくる、「あそこは取材させてくれへんで」という、メディアには出ない隠れた名店。「草喰なかひがし」も普段は取材拒否のお店です。
でも「石ちゃんは食いっぷりがいいから」とOKが出たんですって。取材拒否のお店を口説き落とした魅力は、単なる食いっぷりだけではなくて、食べ物・飲み物への真心が、食べる様子にも表れているんだろうな。
▲緊張感ただよう調理の現場。ただ亭主の中東さんはオチャメなダジャレおじさん。四方八方から繰り出されるダジャレに石塚さんがタジタジになる場面も
──そもそも普段はどれくらい日本酒を飲むんですか?
石塚さん:普段から乾杯は日本酒です。
──日本酒を飲むようになったきっかけや出合い、思い出はありますか?
石塚さん:最初は日本酒って嫌いだったんです。昔、町内会のお祭りで、お年寄りからコップに冷酒をドボドボとお水のようなペースで注がれまして。それが甘くてベタベタしていて、ほんとにお酒のディープな部分の味がする日本酒だったんです。最初の出合いが良くなくて、はじめて飲んで、はじめて嫌いになったんですよ。
──マイナスからのスタートだったんだ。
石塚さん:そのあとこの世界で仕事をはじめて、ロケで新潟県の「景虎」を飲む機会があったんです。すごくスキッとしていて、辛口で、次の日も残らないし。「これが日本酒か!」と思ったんですね。そこから日本酒自体が好きになりまして、いろんな蔵や旅先、お店で自分に合うお酒を見つけるのがだんだん楽しくなってきて。
──自分に合う日本酒を見つけられたときって本当にうれしいですよね。
石塚さん:僕は雰囲気で飲むのが嫌いなんですよ、徹底的に飲んじゃうんです。一升瓶くらい。
── 一升瓶はヤバいですね……。
▲本当においしそうに食べる石塚さん。見ているだけでお腹が減ってくるよ……
石塚さん:いいお酒は残らないんですよ。むしろ飲まない日より調子がいい。日本酒の力を借りて仲良くなった人もいますし。お酒っていうのは割と普段コミュニケーションを取りづらい方との仲をつないでくれたり、自分が頑張った時のご褒美になったりしますよね。
──大人になるとなかなか新しい友達をつくる機会がなくなるので、お酒が人間関係の架け橋になってくれること、いっぱいあります。
▲今回の「マリアージュ」はお米とお酒。さまざまな献立でお酒に合うご飯が提供されます。日本酒もお米から造られているだけあって、合わないワケがない!
石塚さん:多少辛いことがあっても僕は日本酒に慰められたり、助けられたりしていることが多くて。ありきたりな言い方かもしれないですけど、ある意味で「相方」みたいなところはありますねぇ。
──わかります! 仕事で失敗した時にお酒が助けてくれることって私にも経験が……。
石塚さん:それは辛いことからお酒に逃げているわけじゃなくて、辛さを分かち合っているような……。いろんなお酒があるんですけど、飲んだ後に前向きになっていたり、プラスにさせてくれたりするのが日本酒かなって思いますね。だから、毎回飲むときはプライベートでもこのロケでも「マジ飲み」です!
日本酒ビギナーにも日本酒好きにも見てほしい「SAKE旅」
▲季節の食材をつかった一皿は芸術品のよう。芸術品でもどこかわびさびというか、引き算の美を感じるのが「草喰なかひがし」のお料理です
石塚さん:日本酒を造る人って、僕の印象で「このお酒どうだ!」って言う人が多いのかなと思っていたんですけど、ほとんどの方は「お酒は料理と合わせて飲んで、そのマリアージュを楽しんで欲しい」っていうんですよね。松本さんや中東さんも、「料理はお酒と合わせるとその3倍おいしさが膨らむ」って言い方をされている。そういうふうに「お酒と料理」を合わせて考えるって言う事も今回の番組を通じてわかりましたね。
▲今更ですが右端の男前が松本さん。タオルを取ると雰囲気変わりますね……。ちなみに松本さんは若い頃◎◎(ナイショ!)をしていたなどファンキーな一面も
──それぞれ皆さん、プライドを持って仕事をされているんですけど、自分たちだけの魅力で勝負するだけじゃなくて、おいしさをシェアするというか、日本酒を通じて日本の食文化、世界の食文化を広めていきたいっていう思いが各回の酒蔵から伝わりました。
石塚さん:日本酒っていわゆるJAPANのお酒なんですけど、もう世界に目が向いているわけですよね。ですから、焼き魚にも合うかもしれないけれど、フィッシュアンドチップスに合う日本酒だってきっとある。そうして日本酒が海を渡って、イギリスでも愛されたらすごいなって思いますね。
──新しい技術やアイデアから、今までにない日本酒もたくさん生まれていますから、きっと実現すると思います。
▲モダンなラベルがめちゃくちゃオシャレな「澤屋まつもと Kocon」と「澤屋まつもと 守破離 no title」。この味の感想はぜひ番組で。ちなみに試飲させてもらいましたがひっくり返るほどおいしかったです
石塚さん:たとえば「ダシ」という言葉が世界共通語になっているし、「和牛」という言葉も広まっている。そこに「お酒」が来ないといけないんじゃないかなと思いますね。蔵人っていうのはみんな真面目でいい人なんですよ。あの透明な液体に命をかけているのが超カッコいいんですよね。僕は、勿論、国内の人にもそうですし、世界の皆さんに「日本酒を飲んでみようかな」という気持ちになってもらえたらうれしいですね。
終わりに……。
日本酒への愛、食への愛がギュッと詰まった『石ちゃんのSAKE旅』。知られざる日本酒の世界と、酒蔵のフツフツと燃えたぎる情熱、卒倒必至のまいうーメシ……そんなアレコレを通じて、全国のさまざまな場所へ視聴者をもまだ見ぬ旅路へと石ちゃんが誘ってくれます。
これを見なきゃ日本酒好きとは言わせない! Amazonプライム・ビデオで絶賛配信中でございますよ〜!
▲余談ですが、画面外では20人くらいのスタッフがギッチギチに詰まってます。映像番組の制作って大変だ!
取材協力
草喰なかひがし
住所:京都府京都市左京区浄土寺石橋町32-3
電話番号:050-5282-4683
営業時間:火曜日~日曜日・祝日・祝日前日 12:00~14:00 (LO 13:00)、18:00~21:00 (LO 19:00)
定休日:月曜日
www.hotpepper.jp
石ちゃんのSAKE旅 – Amazonプライム・ビデオ
※この記事は2017年4月の情報です。
書いた人:平山(通称:おかん)
京都在住。編集者/ライター/たまにイラストレーター。大学時代のあだ名「おかん」がいまや通称に。阪神間の酒場をうろつくただの酒好き。酒場が好きすぎてたまに居酒屋やバルでバイトしてます。夢はスナックのママ。 HP:合同会社バンクトゥ|bankto LLC. ブログ:おかんの人生飲んだくれ日記
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