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雑誌『たたみかた』創刊 ”正しさと正しさ”のぶつかり合いを考える

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雑誌『たたみかた』創刊 ”正しさと正しさ”のぶつかり合いを考える

 メディアにはでない”オモシロキ美容師たち”を紹介して注目を集めた美容文藝誌『髪とアタシ』。その出版社「アタシ社」が、新たな雑誌『たみたかた』を4月15日、創刊しました。

 ”30代のための社会文芸誌”という位置づけの本誌は、政治におけ中間層・無関心層の中にいた30歳の女性編集長・三根かよこさんが、「何が正しいか?」がぶつかり合うこの世界の中で、本当に必要なメディアの形を突き詰めて生まれたといいます。

 きっかけとなったのは、東日本震災大震災。三根さんは震災以降、信頼できる情報「正しさ」を探し求めていたものの、6年で得られた答えは、「ただ一つの『正しさ』は存在しない」ということでした。

 だからこそ、”存在しないはずの正しさ”、三根さんの言うところの「できる限り、すべての生命が調和的に生きられるような、傷つけ合わないですむような、そんな『正しさ』」を思い描いていたのだそうです。しかし、他者の「それは、あなたの正しさですよね」という”もう一つの正しさ”とぶつかり合うことで、「正しさ」の水掛け論が繰りされてしまう……。

 そのため『たたみかた』では、無数の「正しさ」がある世界の中にあって、主義や主張を語る前に「私」のこの「正しさ」はどこからやってきたのか? を問いかけます。

 創刊号の「福島特集」では、政治的な文脈なしに、哲学や仏教、国際協力、ジャーナリズムなど第一線で活躍する人々の言葉を通して、「私」の根源に迫っていきます。

 例えば、BuzzFeed Japan記者の石戸諭氏と三根さんとの対談。震災当時から福島を取材し続けている石戸氏は、「被害者は~」「福島の人は~」など「『主語』が大きすぎる問題」として取り上げ、こう指摘します。

 「当事者の言葉を借りて、自分の主張を等々と語る言葉ってどうにも苦手です。原発再稼働を主張する人たちと、もう懲り懲りだって人たちの声をもとにして、反原発運動を進める人たちって、他者の声を利用しながら特定の目的を達成しようとすることにおいて、同じことをやっているというのが僕の見方です。」(本誌より)

 さらに、震災や原発事故の「当事者意識」についても、こう私たちに投げかけます。

 「僕は当事者と、当事者じゃない人って線引きをするってことに、あまり意味をなさないと思うんですよね。『当事者じゃない私に何ができるんですか?』というのは、深刻に考えているようで、実はあんまり意味がない。それより、自分は震災なり、原発事故を受けて何を考えたのかということの方が大事じゃないかな。」(本誌より)

 「正しさ」や「私」という日常の当たり前を問い直すという既存のメディアとは一線を画す雑誌『たたみかた』。「方向性」を意味する「たたみかた」を通して、あなたが考える「正しさ」のこれまでとこれからを、今一度見つめなおしてみてはいかがでしょうか。

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