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日本の人口2053年に1億人割れ その時何が起きる?

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日本の人口2053年に1億人割れ その時何が起きる?

日本の人口は2053年に1億人を割り込むことに

国立社会保障・人口問題研究所は、日本の人口について最新の推計を報告しました。
それによると、一昨年1億2709万人だった人口は、今後とも少子化が続くことで、2053年に1億人を割り込み、2065年には8800万人になると予測されています。

平均寿命は、男性が、おととしの80.75歳から2065年には84.95歳に、女性は、86.98歳から91.35歳に延びる見込みです。
これに伴い、65歳以上の高齢者の割合を示す「高齢化率」は、おととしの26.6%から、2065年には38.4%にまで上昇するとしています。

人口減少と高齢化がもたらす4つの問題

この推計の通りに日本の人口減少と高齢化が進んだ場合、大きく分けて4つの問題が生じると考えられています。

第一に、経済がマイナス成長になり、国の財政を一層悪化させるという問題です。
経済の所得形成能力が弱まる一方で、高齢化による社会保障コストの急増により、既にGDP比で200%に達している財政赤字がさらに増加する可能性があるということです。

第二に、特に地方の生活インフラを維持することが難しくなる問題です。
人口減少は日本全国で均一に起きているのではなく、地方から都市部への人口移転と同時に起きているため、このまま人口減少が進むと消失する地方自治体が増え、最低限の生活基盤を維持するためのインフラを維持することが難しくなるということです。

第三に、若年層と高齢層が世代間で対立し溝が深まる問題です。
現在の社会保障制度は、負担者がいずれ受益者になるという世代間における暗黙の社会契約として成り立っていますが、このままでは、社会保障費が急激に増大することで、過大な負担を強いられる若年層と人数で勝り政治的優位性を持つ高齢層との世代間対立が激化する可能性があるということです。

第四に、経済力が落ち日本の国勢が弱まることで、国際社会において大国としての地位を失い、日本の存在感が著しく低下するという問題です。

中長期的な政策がほとんど打てていない現状

人口減と高齢化が急速に進むことで、このような問題が将来起こる可能性があるにも関わらず、短期的な政策は散発的に施行されることがあっても、抜本的な解決に結び付く中長期的な政策がほとんど打ち出されていないのが現状です。

アベノミクスによって経済成長を維持すれば、日本経済は再生するという空気がまだ根強く残っていますが、それは幻想です。
国の財政再建は、経済成長のほか増税と歳出削減の3つの手段をフルに働かせることが必要です。
経済成長も実現出来るかどうか不透明ですが、増税と歳出削減については、有効な具体的プランが実行されているとは言い難い状況です。

また、人口増と人口動態の変化のためには、移民受け入れという手段を脇に置いた場合、出生率を高める以外の方法はありませんが、その指標となる合計特殊出生率は、2005年の1.26を底に2015年には1.46とゆるやかに改善しているように見えます。

ただし、人口を維持するために必要な2.08には依然としてほど遠い水準であるうえ、ここ数年の合計特殊出生率の上昇は、主に晩産化によるものだという専門家の指摘もあり、見かけ上の数字が上昇しただけで、少子化の実態は何ら変化がない可能性が高いのです。

50年後の日本の姿とは?

こうした前提に基づいて、悲観的に50年後の日本の姿を想像してみましょう。
人口は9000万人を下回り、多くの地方自治体が消失し、職を求めてますます一都三県(東京、神奈川、千葉、埼玉)への人口集中が進んでいきます。
その半数は老人が占め、若者は職にはありつけるものの重税に苦しみます。
年金、生活保護、健康保険などの社会保障制度が破綻し、街中に空き家が溢れ、街はスラム化しています。
世界的な存在感は薄れ、東アジアにある脆弱な小さい島国として顧みられることがなくなります。

ところが、人口減と高齢化が引き起こす悲観的な日本の未来像が予測される一方で、むしろこれを契機に、日本の新たな未来像を積極的に描くべきではないかという前向きな考え方も存在します。

例えば、少子化問題の根底には、若年層の婚姻率低下問題がありますが、さら原因を掘り下げれば、所得が伸び悩むことによる経済的不安感が結婚を思い留まらせているという心理にたどり着きます。

日本の経済成長が鈍化する一方で国民の数が増え続ければ、一人当たりに分配される富が減少することは、当然の結果です。
その問題解決のために、これまでのように分子である日本経済が成長し続けることが難しければ、分母に当たる人口が減る以外に方法はありません。

その意味においては、人口減は問題ではなくソリューションになります。

人口減は地球規模では最適ソリューションであるという考え方

さらに視野を広げて、地球規模で状況を俯瞰すると、現在の世界人口は約73億人ですが、2050年までに97億人に増えると予測されています。
環境への負荷や食糧供給の観点から見て、果たして100億人もの人間がひしめき合う状況は健全と言えるのでしょうか。

一国の財政問題や存在感という次元ではなく、地球規模で種としての人間のあり方を考えた場合、これ以上人口が増加し続けることは危険な兆候であり、人口減は最適ソリューションであるという考え方を即座に否定できないはずです。

歴史上経験のない人口減による経済や社会基盤への影響

エマニュエル・トッドらの調査によれば、近代化が始まり民主主義が社会に浸透していく初期段階では、宗教やイデオロギーとは無関係に人口が急速に拡大するけれど、やがて民主化プロセスが完了に近付くにつれて出生率の低下傾向が見られるのは、世界中のどの地域でも共通しています。

日本の人口政策において過去に大きな不作為や失政があったかどうかは別にして、文明の進化に伴う人口増から人口減という大きな反転トレンドに、否応も無くいまの日本が乗っているのは間違いないことは、多くの日本人が知っている事実です。

ただし、知ってはいるけれど、それが真に何を意味しているかについては、よくは分からないのです。
なぜなら、人口減に伴う経済の長期的な縮小や均衡、あるいは社会基盤の変化を歴史上誰も経験したことがないからです。

多くの政治家や経済人は、人口が減少することは、無条件に悪しき事態であり由々しき問題だと主張しますが、社会や経済の活力が低下し国勢が衰えるということは、冷静に考えると、単なる想像か仮定の話に過ぎません。

したがって、この問題に対して、いかなる政治的あるいは経済的施策が有効であるかの判断について、過去に参照すべき事例がないという現実を先ずはしっかり受け止め予断を避けることからスタートする必要があります。

経済縮小や停滞を前提とした生存策を描いておくことが必要に

ここ100年ほどの間に資本主義的思考がデファクト・スタンダートになってしまった多くの日本人にとって、経済や企業は「成長する」か「潰れる」かの二者択一であり、現状維持とかダウンサイジングによる安定の回復という方針は、政治家や経営者の選択肢からは除外されています。

だが、本当に右肩上がりの生存戦略しか、人々が矜恃を保ち、生きる希望を持てる方法がないのかどうかについて、慎重に再考する必要があるでしょう。

いずれにしても、これから先の十数年間の間に人口減に歯止めがかかり、再び経済成長の軌道が回復するかどうかについては、誰も断言をすることは出来ず、ひとたび始まった人口減という大きなトレンドを一気に止めることは難しいとするなら、当分は人口減少傾向が続く可能性が高いと考えるべきでしょう。

したがって、私たちは人口増に向けた施策に思いを巡らすことも大切ですが、それ以上に重要なことは、今後の経済・社会政策や、企業経営の戦略立案において、経済縮小あるいは停滞を前提とした生存策を描いておくことではないでしょうか。

(清水 泰志/経営コンサルタント)

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