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口腔ケアにつなげよう!高齢者が出す3つの「サイン」をご紹介!

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去年できていたことができなくなる
小さいものが掴みにくくなった

高齢者の身体状況や生活動作は、少しずつ変化していきます。変化を観察するには、高い経験値が必要です。けれど、観察の角度をちょっと変えることで、高齢者が出している「サイン」に気づくことができます。

今回は、出された「サイン」をいかにキャッチして、口腔ケアに活かしていくのか?という方法をお伝えいたします。

これからの介護に大事な「感じること」

これまでの執筆の中で、高齢者への口腔ケアを行う前にはまず「観察」が必要ということをお伝えしてきました。具体的には「歯」だけを見るのではなく、「歯があるかないか」「粘膜の乾燥は?」「唇の閉じ方は?」といった観察です!

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また、「いきなり歯みがき」を行うのではなく、お口にものが入ることを事前に「予告」するように、手を握ったり話かけたりすることが本人にとってはもちろん、口腔ケアを行う皆様の気持ちにも変化が訪れる!ということをお伝えしてきました。

関連記事:介護者が知っておきたい口腔ケアの道具5つとケアの心得

これから高齢者になる方は、多様化した生活背景の中で人生を生きてきた方ばかりです。ご要望に答えるためには、まず寄り添う気持ちが大切なのです。つまり今後の介護には、「観ること」「行うこと」に加えて、「感じること」が必要になってきます。

高齢者が出す「サイン」

寄り添うためには多面的評価と言って、角度を変えた見方が必要になります。私が専門としている歯科の分野では、たとえばこんな「サイン」を受け取ることが大切。
義歯のサイン
お口の乾燥サイン
味覚のサイン

「どのように受け取り、対応するか」、そして「口腔ケアに結びつけていくか?」を考え実行するために、高齢者が出している「サイン」に気づくことが重要です。これから、具体的な「サイン」の内容や対応方法について説明していきます。

義歯のサイン

義歯のサインとしてよく見かけるのは、以下4つです。
義歯がよく外れるようになった
こすれて痛いというようになった
ものが間にはさまると訴える
外して食事をしようとする

義歯のサインの要因

身体が痩せたり、口腔乾燥があったりする場合に多く見られます。また古い義歯に愛着があり、多少合わなくても無理して使っている場合もあります。そのため、体重に変化がないか看護記録を確認して、歯科医師に事情を伝えて新製するか相談しましょう。

口腔ケア方法は?

まずは保湿剤をスポンジブラシに付けて、内側の粘膜をそっと拭き取るように動かします。義歯に金属のバネが付いている場合、その周りと支えになる歯は1本用の筆のようなブラシで磨いてください。普通の大きさのブラシだと、周辺部分が磨けません。

全部義歯の場合、片側だけに硬い歯石のようなものが付着していたら、反対側では噛んでいないということもあります。私が厚生労働省の科学研究班で研究していたときにも同じような方がいらっしゃり、脳梗塞をおこしていて麻痺があったということもありました。

お口の乾燥サイン

お口の乾燥サインとしてよく見かけるのは、以下3つです。
唇がカサカサ
舌の先や上が乾いている
頬の粘膜が乾燥している

お口の乾燥サインの要因

全身疾患などで長期的に薬を服用していると、薬の副作用で口腔乾燥を起こす場合があります。また、エアコンの風がベッドに向かって吹いている場合、就寝時に口をあけて寝ている、などの状態で口腔乾燥が起こりえます。

口腔乾燥をおこすと、口腔内の菌が増殖してむし歯や歯周病の進行を促すことにもなりかねません。

口腔ケア方法は?

ケア前に、口唇にワセリンを塗りましょう。ここで注意いただきたいのは、いきなり乾いたガーゼやスポンジを入れないということです。なぜなら、粘膜がこすれてしまい細菌感染してしまう恐れがあるからです。

しっかり水分をしぼったスポンジに保湿剤をつけ、まずは頬の粘膜をゆっくりと頬を膨らめるようにぬぐいます。

味覚のサイン

味覚のサインとしてよく見かけるのは、以下3つです。
「味が薄い」という訴えがある
好きだったお菓子など「味がしない」と言う
薄味のものでも「舌がぴりぴりしみる」と言う

味覚のサインの要因

味を感じる舌の上には、「味蕾(みらい)」という味を感じ取るセンサーがあります。味蕾は約1万個存在しますが、加齢や口腔乾燥、栄養素のひとつである亜鉛の欠乏など、多様な理由から味のセンサー機能が低下します。

身体的に問題ないか、医師・歯科医師に診断してもらってからケアを行ってください。

口腔ケア方法は?

うがい薬を使う場合、成分に「エタノール」が入っていないものを選択してください。ピリピリしみてしまう場合があります。パラペンという添加物もしみる場合がありますので、保湿剤を使う場合も無添加のものを選ぶことをお勧めします。

舌ブラシなど、通常は積極的に使っていただきたいですが、敏感になっている時期は湿ったガーゼで軽く拭き取るといいです。また、味覚が変化している場合は、病棟や医院であれば「生理的食塩水」があると思いますので、ブクブクうがいをしてもらってください。生理的食塩水は血液と同じ浸透圧なので、うがい薬よりもはるかに生体に優しくリンスできます。

さいごに

今回は、少々専門的なお話になったかと思います。しかし、これまで私が執筆した記事をお読み頂きました皆様には是非行っていただきたいと思い、書き下ろしさせていただきました。今回は3つのサインのみ記載しましたが、この3つが受け取れるようになったら角度を変えた見方がどんどんできるようになります。そしてなにより、患者さん・利用者さんが抱いてしまう、「口腔ケアされるときは辛い」という想いが軽減されることと考えます。

現在の日本は核家族化しており、ああでもないこうでもないと言いながら、観察し合ったり声をかけあったりという、2世代が同じ屋根の下で寄り添って暮らすちびまる子ちゃんのような家庭は少数かと思います。そのため、周囲の人々がより多く高齢者を観察して行くべき、と思うのです。

単に口腔ケアのみではなく、階段を上りにくそうなご高齢の方に声かけてサポートするとか、バスや電車を下りる時「お気をつけて」とひと声かけられるかなど、「いま助けてほしいな」という、言葉ではないサインを日常で受け取ることができるか?ということから始まる気がします。

次回は、「拒否がある方への口腔ケア」をお伝えしてまいります。

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この記事を書いた人

田中 法子

歯科衛生士歴35年の中で、一般診療・歯科衛生士学校講師・歯科助手学校講師・大学病院勤務・訪問歯科・審美歯科勤務を経て、口腔の疾患を繰り返すより予防することの大切さに気づき、北欧他ヨーロッパへ留学。最先端予防と福祉を学ぶ。1997年、日本デンタルスタッフ学院を設立。20周年を迎える。現在までの指導実績は54,000名を超える。叔母と母の介護経験から、家族にとって認知症との関わりがこれからの時代は大切であると痛感し、口腔介護アドバイザー認定資格取得講座を開設。学院経営ならびに専門誌への寄稿・TV・報道番組への出演。歯科医師会・看護協会など多方面にて講演中。2016年11月、医療・介護スタッフのための人材紹介会社を創立。

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