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三重松阪「あら竹」を食わずして駅弁を語るなかれ【黒毛和牛てんこ盛り】

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全国の有名な駅弁を一堂に集めた駅弁大会。言わずと知れた百貨店やスーパーなどで開催される人気のイベントだ。

そんな数あるイベントの中で店頭に並んでから、あっという間に売り切れてしまうほど超絶人気の駅弁が三重県にある。それはJR紀勢本線・参宮線・名松線、近鉄山田線の松阪駅で売られている、株式会社新竹商店の駅弁だ。

駅弁ファンのみならず、鉄道マニアも知らない人はいないらしく、フードライターの私は食べたいという欲求を抑えられなくなってしまった。駅弁大会の開催を待つよりも、松阪市なら名古屋から近鉄特急で約1時間で行ける。車でも高速を使えば1時間半ほど。

これはもう、行くしかあるまい。

看板商品「元祖特撰牛肉弁当」

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駅弁は松阪駅構内の売店のほか、JR松阪駅前通にある「あら竹 本店」でも買うことができる。

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「いらっしゃいませ~!」と、元気いっぱいに出迎えてくださったのは、株式会社新竹商店の四代目社長、新竹浩子さん。

彼女は営業のみならず、製造や広報もこなす敏腕社長。駅弁のみならず、彼女もまた駅弁ファンや鉄道マニアで知らない人はいないほどの有名人。まずは株式会社新竹商店の歴史について聞いてみた。

「ウチのスタートは、明治28年に松阪駅の売店から。当時はいなり寿司や助六寿司、幕の内弁当などを売っていました。転機が訪れたのは昭和34年のことです。国鉄・紀勢本線の全線開通(名古屋~天王寺)を祝う記念イベントに新しい駅弁を発売することになったんです。当時は東京オリンピックを控えて、全国的に郷土色の強い駅弁が増えつつありましたね。松阪といえば牛肉ということから、私の祖父である二代目社長は全国で初めて牛肉を使った駅弁を考案しました。それがウチの看板商品である『元祖特撰牛肉弁当』です」(新竹さん)

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これが「元祖特撰牛肉弁当」(1,350円)。

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開けると、牛肉のいい香りが漂ってくる。

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使用する肉はA5等級の国産黒毛和牛。松阪市内にある松阪牛・黒毛和牛専門店「丸中 本店」から仕入れている。手軽さがウリの駅弁らしからぬこだわりぶりだ。

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では、実食!

肉のきめが細かくて、やわらかい。醤油ベースのタレと肉本来のうま味が相まって、ご飯がめちゃくちゃ進む! ご飯のおかずとしてのポテンシャルは最高だ。

ん? そういえば、牛肉は冷めると固くなって風味も落ちるはずでは……。

「イイところに気が付きましたね! 発売当初から、冷めてもやわらかくておいしい牛肉の駅弁を作ることが最大のテーマでした。祖父は祖母とともに毎晩仕事が終わってから肉を焼いては翌朝に食べることを繰り返していたんです。焼き方や使う醤油を変えたりする中で、下味にぶどう酒(赤ワイン)を加えることにたどり着きました。また、脂が少なくてやわらかい内モモの肉を使うのがいいことも分かってきました。『元祖特撰牛肉弁当』は、そんな祖父母の苦労のおかげでこの世に誕生したといってもいいと思います」(新竹さん)

ファン心に刺さる「掛け紙」

うまさは言うまでもないが「元祖特選牛肉弁当」が、鉄道マニアに絶大な支持を受けている理由はまだある。

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「鉄道掛け紙」シリーズと呼ばれる限定パッケージだ。

これは、’10年12月に創業115年を記念して旧国鉄急行色「キハ58 28」の写真を駅弁の掛け紙に使ったのがはじまりで、これまで20種類を発表。残念ながら1種類のみ販売終了となっているが、事前予約しておけば19種類の中から好みの掛け紙が選べる。

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2017(平成29年)年3月1日に新発売となったのは「キハ82 南紀」。

「鉄道掛け紙」シリーズのほとんどは国鉄時代の懐かしい車両をモチーフにしたもので、コンプリートを目指すマニアも多い。北海道や九州から訪れる鉄道マニアは、一度に3個も買っていくんだそう。“ジャケ買い”は何もCDだけではないのだ(笑)。

メロディ付き「モー太郎弁当」

新竹さん自らが考案し、大ヒットを飛ばしている駅弁もある。それがこれ。

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駅弁大会で、あっという間に売り切れるため“秒殺のモー太郎”との異名をとる「モー太郎弁当」(1,350円)だ。

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まず、目を引くのは、インパクト満点のパッケージ。容器のふたが牛の顔になっている!

驚くのはこれだけではない。ふたを開けると、光センサーが反応して童謡「ふるさと」のメロディが流れる、日本初のメロディ付き駅弁なのだ!

フタを開けると、そこには茶色い大海原が……

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ご飯が見えないほどたっぷりと盛られているのは、黒毛和牛のすき焼き用ロース肉。

これもまた、冷めていてもやわらかくてジューシー。頬張るごとに鼻から抜ける生姜の香りが何ともいえない。

ちまたの牛丼とはひと味、ふた味どころかマジで1万味くらい違う。

何なんだ、このレベルの高さは!

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「こちらの『モー太郎弁当』は、2002(平成14)年に発売しました。その前年にBSE問題があり、牛肉業界は苦戦を強いられていました。よほど変わったことをしなければ、この現状を変えることができないと思って作りました。牛の顔は黒毛和牛らしい気品にこだわって、納得がいくまで何度も作り直しました。おかげで国内のみならず、外国人のお客様にもご好評をいただいております」(新竹さん)

松坂牛を堪能できる逸品

実は「元祖特選牛肉弁当」はもともと松阪牛とうたっていた。ところが、2002年から松阪牛の判定基準が厳しくなり、その名称を外して黒毛和牛としている。

「使用している牛肉は発売当初と何ら変わりはないのですが、ずっと地元松阪の特産品である松阪牛のおいしさがストレートに伝わる駅弁を作りたいと思っていました。そこで牛肉料理の王道である、すき焼きで楽しんでいただこうと考えました。食材や調理法など一切妥協せず、心を込めて作りました。まさしく、ウチの駅弁の中では最高峰です!」と、新竹さんが太鼓判を押すのが「極み 匠の技 松阪牛物語」(4,400円)だ。

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基本的に、この駅弁は要予約。それでも注文が絶えないという。

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個体識別番号が記された「松阪牛証明書」も!

「元祖特撰牛肉弁当」や「モー太郎弁当」に使っているのはA5等級の黒毛和牛だが、こちらは厳選したA5等級の松阪牛。

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それも大判のすき焼き用の肉、120グラムがご飯の上にどっさり!

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松阪牛ならではのとろけるような肉質と甘くて深みのある上品な香りを堪能できるように、ひもを引っ張るとホカホカになる加熱式容器を採用している。

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つまり、食べる直前に温めることで、脂がご飯に溶け出して、上品な甘みがご飯全体に染みわたるのだ!

正直、あまりのうまさに悶絶してしまった。

松阪市内には松阪牛のすき焼きを食べさせてくれるお店が多いが、どこも予算は1万円オーバー。それが半額以下で、しかも駅弁で食べられると思ったら、安いものである。

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今回、3種類の駅弁を紹介したが、予約時に来店時間を伝えておけば、出来立ての駅弁を用意してくれる。

また、松阪駅に停車するJR特急「南紀」か「快速みえ」、近鉄電車の到着時間をあらかじめ伝えれば、途中下車しなくても乗車口のドア付近で手渡してくれる。注文は1個から可能だというからうれしい。

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それでは、よい旅を~!

お店情報

あら竹 本店

住所:三重県松阪市日野町729-1

電話番号:0598-21-4350

営業時間:7:00~21:00

定休日:無休

ウェブサイト:http://www.ekiben-aratake.com/

※この記事は2017年3月の情報です。

※金額はすべて税込みです。

書いた人:永谷正樹

永谷正樹

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに写真と記事を提供。最近は「きしめん」の魅力にハマり、ほぼ毎日食べ歩いている。

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