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全国初! 品川区が取り組むデジタルとアナログのネットワークで子どもを守るシステムとは?

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いよいよ新年度のスタート。今年も全国で約100万人の小学1年生が誕生しました。親としては嬉しい反面、新たに尽きない心配を抱えることにも・・・・・・。登下校は大丈夫? 遊んでいるときに迷子になったら? 怪しい人に声をかけられたら? そんな親の心配を和らげてくれる仕組みが、東京都品川区では2005年から導入されています。

品川区が取り組む「近隣セキュリティシステム」とは

品川区が実施している「近隣セキュリティシステム」は、品川区の公立小学校および在住の児童にGPS搭載装置「まもるっち」を配布し、GPS探索と近隣の協力者によるネットワークで、子どもをトラブルから守る取り組みです。

今回は、平成28年度まで品川区地域振興部で生活安全担当課長を務めていた濱田勝行さんに、「近隣セキュリティシステム」がどのように活用されているか、お聞きしてみました。

品川区地域振興部で生活安全担当課長の濱田勝行さん(2017年3月時点)

「近隣セキュリティシステム」では、「まもるっち」を持っている小学生になにかしらのトラブルが発生した場合、以下のようなフローでシステムが動きます。

1.子どもが危険を察知して、「まもるっち」の防犯ブザーを鳴らす。
2.品川区役所に設置された「まもるっちセンター」につながる。
3.センターの担当者が「まもるっち」を通じて子どもと通話する。
4.通報内容に応じて、保護者や学校、警察、生活安全パトロール、協力者に連絡し、子どもの保護を行う。

このとき、「なによりも重視されるのは子どもの保護です」と濱田さん。不審者などの場合、犯人を探すのも重要ですが、まずは子どもの安全確保を最優先し、もっとも迅速に駆けつけられるシステムを構築したそう。

「実際に、協力者の方がかけつけるという事態になったことは現在までありませんが、こうした二重三重のセキュリティ対策を行うことは決して無駄ではありません」

ちなみに、近隣セキュリティシステム協力者は区民から募集し、協力者研修会などを開催しているそう。主に、「まもるっち」を使っている小学生の保護者などによって構成されており、区と区民によって、幅広く品川区全体をカバーしているというわけです。

「近隣セキュリティシステム」の仕組み

品川区の子どもを守る「まもるっち」

「近隣セキュリティシステムが始まったのは、2003年前後に子どもを狙った凶悪犯罪が多発したことがきっかけでした」と濱田さん。

「品川区で産業支援を行っているNPO団体が、子どもを守るセキュリティシステムをつくりたいということで、品川区が開発支援を行い、2005年に初代の『まもるっち』が開発され、『近隣セキュリティシステム』がスタートしました。」。

小学生に配布されている「まもるっち」は、現在のもので三代目。三代目からは、既存のキッズケータイを品川区用にカスタマイズされたものが使われています。そのベースモデルになっているのは、auのキッズケータイ「マモリーノ」です。「まもるっち」は機能を限定し、GPS機能、防犯ブザー、「まもるっちセンター」への通話だけができるようになっています。

auのキッズケータイ「mamorino3」をカスタマイズした、三代目「まもるっち」。誤報や落下防止にカバーも配布されています

これまでのオリジナル機種から大手通信会社の既存機種にかえたことで、いくつかのメリットがあったと濱田さんは話してくれました。

「まず、既存の機種を使うことで、導入コストがかなり抑えられます。また、すでに市販されている完成度の高い製品であることも大きいですね」

さらに追加の機能として、保護者がauと契約すれば、通話やメールもできるようになります。そのぶんの契約や通信料金は、各家庭の負担となりますが、「まもるっち」1台で防犯から電話までカバーできる心強いアイテムになるわけです。

予算2億円をかけて品川区が取り組むこだわり

こうしたシステムを取り入れているのは、意外にも全国でも品川区だけ。濱田さんによると、「色々な自治体からの関心も高く、『近隣セキュリティシステム』の見学にいらっしゃいますが、やはり予算がかなりかかるということで、なかなか導入までには至らないようです」とのこと。

筆者の住んでいる区は品川区ではないので、残念ながらこの取り組みは行われていません。区をあげて「近隣セキュリティシステム」のような知り組みを行ってくれれば、堂々と「まもるっち」のような通信機器をもたせられるし、緊急の際にも役立ちそうです。

上の写真は、品川区役所内に設置された「まもるっちセンター」。稼働時間は、月曜から土曜まで、朝7時半から20時までと、登校時からお稽古の帰り時間ぐらいまでを幅広くカバーしてくれます。

2015年度における「まもるっち」の発報件数は、6万6,000件以上。そのうち8割は子どもの操作ミスなどによる誤報でしたが、緊急案件は14件ありました。いずれもこのシステムのおかげで迅速に現場に駆けつけることができ、大きな事件・事故はありませんでした。不審者などの事件だけではなく、まだ通学に慣れない子どもが迷子になってしまった場合にも活躍しています。

品川区の「近隣セキュリティシステム」は、GPSや通信などのデジタルネットワークと、区と近隣住民によるアナログのネットワーク、双方から子どもを守る画期的なシステムと言えます。IoTがますます活用されるこれからの時代にこそ、必要になってくる取り組みといえるでしょう。
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