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【BOATRACE女子】得意な「まくり」で勝負―女子王座決定戦に初出場の平田さやか選手にインタビュー

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【BOATRAEC女子】プロペラを武器に伸ばして「まくる」―女子王座決定戦に初出場の平田さやか選手にインタビュー

『BOATRACE』の女子王座決定戦をシリーズでご紹介する「BOATRACE女子」、その見どころをBOATRACE振興会に聞いた第1回に続き、今回は女子王座決定戦に出場する注目選手のインタビューをお届けします。平田さやか選手は2004年5月のデビュー以来、女子王座決定戦の会場となるボートレース多摩川を地元に活躍する女子ボートレーサー。女子王座決定戦には初出場となる平田選手に、決定戦への意気込み、ボートレーサーの生活などお話を伺いました。

「まくり」が勝ちパターン

ガジェ通:平田選手は、どのようなレーススタイルを得意としているのでしょうか。

平田:いちばんの勝ちパターンは「まくり」。「まくり」とは、外側のコースの艇がスピードを落とさず、内にいる艇を外から抜いていく戦法です。スタートを早くきって1マーク、1周目で決着をつけてしまいたいんですけど、なかなかそこまで思い通りになることはないので得意な戦法ばかりというわけにはいかないですね。

ガジェ通:外側のコースからの「伸び」を重視して、ボートのプロペラ(スクリュー)やエンジンを仕上げていくのが平田選手の理想のレースということになるんですね。今回の女子王座決定戦ではどのように戦っていきたいと考えていらっしゃいますか。

平田:自分のスタイルにまずは仕上げて、それでも当たって砕けるようだったら、まだ私の実力不足だと思うので。“エースモーター”と言われる成績のよいエンジンが引けたらいいですけど……。どんなエンジンを引いても、ちゃんと自分のレースができるように整備して戦いたいですね。

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ここで「仕上げる」と言っているように、ボートレーサーは、レース開催日の前日に抽選で割り当てられたエンジンと持参したプロペラを整備してレースに臨みます。プロペラはひとり3枚までレース場に持ち込むことが可能。ボートレーサーは体力やボートを操縦する技術だけでなく、プロペラの調整、エンジン整備など知識や技術も必要で、ある意味、職人的な技能も重要な素養になっているのです。

プロペラ調整が重要

ガジェ通:ボートレーサーはアスリートとしての側面もありますが、モーターやプロペラを自分で整備する職人的な技能も求められると思うんですよね。そういうものはどうやって勉強したのでしょうか。

平田:操縦や整備は、ボートレーサーの養成所“やまと学校”で1年間かけて習得するんですが、デビューしてから実戦で覚えなければいけないことも多くて。一緒に走っている先輩や整備士の方に、自分からなるべく積極的に聞くようにしましたね。

ガジェ通:平田選手が得意な整備の項目は。

平田:私はプロペラ調整を中心に考えています。それでダメなときには、エンジンを整備するというパターンです。

ガジェ通:プロペラの調整は、経験で身につくものなのでしょうか。

平田:だいたいの「こうしたらこうなる」というパターンは経験を積むしかないです。あとは一緒にプロペラを作る仲間や、同じようなプロペラを使っている人たちと情報交換したりします。しばらく走ってないレース場の情報も教えてもらったりします。

レース場に行ってみないと、どんなエンジンを引くかも分からないんですよ。すごくいいエンジンだと、どんなプロペラをつけてもよくなっちゃったり、逆によくないエンジンだとプロペラ自体がよくても今イチということがあるので、やっぱりレース場での調整というのが大事ですね。

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整備が重要と語るように、ボートレーサーは体力だけでなく、エンジニアとしての知識も必要なことがお分かりいただけると思います。

また、コース取りやコースを決める判断力など、レース中にも頭をフル回転させて選手はレースを展開します。レース前やレース中に選手は何を考えているのか聞いてみました。

シミュレーションと判断力で勝負

ガジェ通:女子王座決定戦で平田選手がいちばん意識して、マークしている選手はどんな選手ですか。

平田:特に1人だけ「この人」ということはないです。やっぱり上手な人が集まっていて、全体的にレベルが高いので、どうやって挑めばいいか模索中です。

ガジェ通:「何レース」に「何号艇」で「誰」と走るのかは前日に決まるんですよね。「この選手が一緒だったら自分はこう走る」とかいろいろ頭の中で事前にシミュレーションされて、発表になったところで「この選手とだったら……」と考えるのでしょうか。

平田:宿舎で翌日の“出走表“が見られるので、競走初日は、相手のレーススタイルとか近況を中心に考えます。3日目4日目ぐらいになると、だれのエンジンが調子いい、とか分かってくるんで考えることが増えますね。「この人はよさそうだ」とか、実力とエンジンの調子、その人がそのレース場が得意か不得意、というのもあるので……。ただ、いろいろ考えて展開を予測しても全然その通りにならないことも当然あります。

ガジェ通:体力や整備力だけでなく、レース中のコース取りを考える判断力も重視されるスポーツなのかなと思うのですが。

平田:そうですね、判断力は大事ですね。

ガジェ通:ピットインしてからスタートするまでに、どんなことを考えて操縦しているのでしょうか。

平田:一緒に走る選手それぞれが、この人はすごく勢いがあっていいレースをする、この人はスタートが遅れそうとか、ある程度想像してはいますけど。一番大事なのは一瞬の判断力だと思います。あとは、たとえば「空いたな」と思うところに行けるような状態に整備して仕上げられることですね。

絶対に出たかった“多摩川”

ガジェ通:平田選手はボートレース多摩川が地元ということですが、多摩川の特徴はどんなところなのでしょうか。

平田:「日本一の静水面」と言われるのですが、私もそう思います。わりと水面が荒れないイメージですね。

ガジェ通:やはり地元が一番走りやすいですか?

平田:走らせてもらう機会も多いのと、いつもここで練習しているので、特徴はほかのレース場よりつかんでいます。慣れですかね、得意というわけではないですけど。慣れている分、ほかのレース場よりは成績を残せているかなという感じですね。

ガジェ通:そういう意味では今回、女子王座決定戦が多摩川で開催されるのは、平田選手にとってはラッキーだった。

平田:うれしいですね。絶対出たいと思っていたので。

女子ボートレーサーってどんな人?

ここで、平田選手のボートレーサーになろうと思った動機、レーサーの生活について聞いていきます。女子ボートレーサーって、どんな人なのでしょうか。

ガジェ通:ボートレーサーになろうと思ったきっかけは?

平田:たまたまなんですけど、テレビで女子レーサーの特集をやっていて。全然知らない世界だったんですけど、テレビに出ていた女子レーサーがかっこいいと思って、私もなりたいなと思いました。

ガジェ通:スポーツの経験はあったのでしょうか。

平田:中学高校でソフトボールをやっていたんですけど、そんなに強い学校でもなかったので、ただやってるというだけでしたね。

ガジェ通:ファンレターとかもらったりしますか?

平田:いただきますね。すごく見てくれてるな、という人だったら「この前のレースよかったです」と書いてあったり、純粋に「応援してます、頑張ってください」とか。結構、いいことしか書いてくれていないですね。「前のレース何だったんだよ」とかはあまりないので、ありがたいですけど。

ガジェ通:ファンは男女問わずいらっしゃるんですよね。

平田:女の人もいますし、若い人もいたりしますね。

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『BOATRACE』は、ある意味だれでもレーサーになれるチャンスがあるのが特徴です。15歳以上30歳未満の男女は、条件をクリアしていれば試験を受けることができ、合格者は福岡の“やまと学校”で1年間の訓練を受けてデビューします。平田選手のように、もともとスポーツエリートではなくても努力でスターレーサーになっていく過程を応援できるのが、『BOATRACE』の魅力のひとつと言えるかもしれません。

情報を遮断される宿舎生活

ガジェ通:ボートレーサーの生活についてお伺いしたいのですが、レースがあるときには開催前日にレース場の宿舎に入るんですよね。

平田:開催前日にレース場に集合し、そこでボートとモーターを抽選します。その日はレースがなくて、割り当てられたボートとモーターを自分のレーススタイルに合うように仕上げて、初日のレースに臨むという感じですね。

ガジェ通:宿舎に泊まっている間は、レーサーしか知らない情報が外に漏れないように、外と情報交換ができないんですよね。携帯電話とかも没収されたりとか。

平田:開催前日にレース場に入ったときは、身体検査や持ち物検査なども行われ、通信機器類は預けなければいけなくて、外部と連絡できるものは全部没収というか。開催中は使えないですね。

ガジェ通:テレビは見られるんですか?

平田:テレビは見られますね。

ガジェ通:ネットをやるのはダメですよね。

平田:ダメですね(笑)。DVDはいいんですけど、カメラとかもダメなんですよ。外部と連絡取れるわけじゃないんですけど。あとはゲーム機。DSとかPSPもダメで。『iPod』などのプレーヤーは大丈夫です。

ガジェ通:レース期間が6日間なら、ずっとそういう状態で過ごすんですよね。

平田:そうですね。レース場と宿舎の往復だけです。ほかへは一切行かないですね。

ガジェ通:レースが終わった夜とかって、ヒマになったりしないのでしょうか。

平田:宿舎はわりと自由な時間はたくさんあるので、昼間忙しい分、夜はゆっくりできます。お風呂の時間とかも決まっているんですけど、それまでに入ればいいので、わりとゆっくり過ごせますね。

移動は時間厳守

ガジェ通:全国を遠征する機会が多くて、ほぼ移動しているような日常だと思うのですが、移動には何を使うんですか。

平田:移動は、飛行機を除く公的交通機関ということで決められているんです。

昼間のレースであれば、開催前日の12時までにレース場に入らなければいけなくて、それまでに入らないとレースに出られないんです。そういう罰則が与えられるんです。

決められた公的交通機関の遅延でレース場入りが遅れた場合は認められるんですけど、飛行機で「遅れました」というのは認められないです。でも九州のレース場にも行かなければいけないので、その場合は前の日に飛行機で移動しているんです。飛行機が飛ばなかったとしても、間に合うようにレース場入りできるように移動手段を考えています。

ガジェ通:レーサーは各自移動するんですね。地元のレーサーも一緒に?

平田:地元のレーサーは一緒に行動することが多いですね。みんなで連絡取り合っていれば遅れる心配が少なくなるとか、メリットがあるので。

ガジェ通:皆さんで飲みに行ったりすることはあるんですか?

平田:だいたい最終日は行きますね。地方に行った帰りは飲みっぱなしになっちゃうんですけど(笑)。空港で飛行機を待っている間とか、新幹線でも。レース期間中の1週間はアルコール禁止なので、出たら真っ先に買いに行くみたいな人が多いですね。減量があるレーサーもいるので、あんまり飲んでばかりもいられないですが。

ガジェ通:体調管理も大変だったりしないですか。

平田:大変……ですね。1週間ずっと減量しっぱなしだと集中力もなくなってきちゃうんで、自分がいちばんコンディションがいいように考えてやってます。

ガジェ通:では最後に、これから初めて『BOATRACE』をご覧になる方にメッセージをお願いします。

平田:1回でいいのでレース場で生で見てもらいたいです。私、初めて見たときにすっごい迫力だなと思って。テレビの映像で観るのとは全然違うんですよ。迫力だったりスピード感だったり、そういうところを一度でいいから見ていただくとハマってもらえるんじゃないかと思います。

平田さやか選手

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写真を見ていただくと分かるとおり、体格はきゃしゃで、街で会ったら普通の女性と変わらない平田選手。レース場では一転、80km/時の高速でボートを駈り、6艇で激しいバトルを繰り広げているんですよね。そのギャップも魅力ですが、地元が東京、そして初出場ということもあり、女子王座決定戦での活躍を期待してしまいます。『BOATRACE』の女子王座決定戦は2月28日にボートレース多摩川で開幕。3月4日に52名の選手の中から女王が決定します。

『BOAT RACE official web』
http://www.boatrace.jp/

参考記事:
【BOATRACE女子】女子王座決定戦まもなく開幕 『BOATRACE』初心者が楽しむポイントは?
http://getnews.jp/archives/168231[リンク]

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記者:

宮原俊介(編集長) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

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