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「意欲はあるのに働く場がない」 求職者たちの歯がゆさに道筋を示したい

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「正社員として仕事がしたい。でも就職先が見つからない」

バブル崩壊からの急激な景気後退の中で、多くの企業が新卒採用を絞り、自らの生き残りをかけた企業による内定取消も多発しました。こうした構造的な就職難が「就職氷河期」と呼ばれ、社会問題化したのが1990年代から2000年代前半のことです。その流れを受け、フリーター人口の急増が社会問題化した2004年から、西山はキャリア支援事業に携わり、求職者たちの切実な声を聞いてきました。彼らの声に応えるべく起ち上げたのが、「書類選考なし、人物本位選考」の正社員求人を紹介するカウンター形式の就職支援サービス「就職Shop」です。「採用市場の変化や企業の経営状況など、求職者本人に責任のない外的要因によって多くの意欲ある人材が埋もれている」。そんな想いから、一人ひとりのキャリアに向き合い続けてきた西山さんに、「就職Shop」が実現したい就職支援のあり方を聞きました。 

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壁には就職shopを通じて就業を叶えた若者の”Happy Shot”が!

西山 和広(にしやま かずひろ)

1989年リクルート(当時)新卒入社。自分とわずかしか年齢の違わない社員たちがいきいきと仕事の話をし、会社で実現したい夢を語る。そんな先輩たちの姿に惹かれ、入社を決意。人事採用グループ、北海道支社での人材系営業などを経て、2006年に『就職Shop』の立ち上げに関わり、現在に至る。

 

 

高校生の就業支援が

「就職Shop」起ち上げのきっかけになった

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入社以来、人事・採用担当を8年半、北海道支社でのHR(人材)営業を6年半と、“人材畑”を歩んできました。そこから、キャリア支援の領域へ足を踏み入れたきっかけは、北海道庁と行った高校生の就業支援事業でした。1998年当時、北海道拓殖銀行の経営破たんにより、北海道経済は壊滅的な影響を受けていました。就職できない若者が一気に増えたことから、道庁主導で、急きょ就業支援プロジェクトが起ち上がり、私がそのプログラム開発を手伝うことになったのです。

就職相談や面接サポートを通して多くの高校生と話し、知ったのは、「自分の意志だけではどうにもしようがない外部要因に影響され、意欲はあるが働く場がない」という彼らの実態でした。その出会いが、「就職Shop」の起ち上げに続く、大きなターニングポイントとなります。就職や転職のあらゆるケースを知っている私には、「この人ならこんな就職の道もある」「こんな方向に進んでもよいのでは」と思えることがたくさんありました。でも、本人たちは、「自分なんて取り柄がない」「私が就職できる企業なんてない」と自信を失っているのです。私自身、人事や採用に長く携わってきたからこそ、「こうした人のために、もっと役に立てる仕事をしたい」と思い、キャリア支援事業への異動を希望しました。

異動後は、公共の就業支援サービス「ジョブカフェ」の受託運営を経験。経済産業省や厚生労働省など4省庁による、地域経済の活性化を目指して若者の就業支援を進める事業でした。全国で「ジョブカフェ」運営モデル地区になった10の地域のうち、リクルートは3地域を受託。私は千葉県を担当しました。1日250人近くの職を求める若者に出会い、感じたことは「こんなに活躍の可能性を秘めた若者たちが、就きたい仕事に就けない世の中はやっぱりおかしい」ということ。

2003年にはフリーター人口が217万人と過去最大となり、「ジョブカフェ」事業が始まった2004年でも214万人と、大きく社会問題化した頃でした。背景には、90年代後半の就職氷河期に(正社員として)就職できなかった若者が、20代後半になっても非正規雇用から脱することができない、という現実がありました。頑張って正社員を目指せばよかったじゃないか、と思うかもしれませんが、当時は第二新卒という概念も確立されておらず、新卒で正社員就職を逃した若者が、もう一度チャレンジできるフィールドはほとんどなかったのです。「生活のためにアルバイトをしていればそれなりに稼げるけれど、30代もこんな生活が続くのだろうか」、そんな切迫した思いでやってくる若者が多くいました。既存の求人メディアやサービスでは彼らにリーチできておらず、十分な助けになっていないと感じていました。より細やかに、柔軟に求職者のニーズに対応したサービスを実現したい。そんな想いから、リクルートの新規事業として「就職Shop」を起ち上げに参加しました。

 

 

「書類選考なし、人物重視」の信念は

ゆるがなかった

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「就職Shop」が起ち上がった2006年当時、こうした若者を対象とした就業支援サービスは、公共性が高く事業として成立させるのは難しいため、企業は参入しておらず、私たちの取り組みも試行錯誤の連続でした。

 「就職Shop」の信念として大事にしているのは、「書類選考なし、人物重視」の選考を企業に理解してもらい、進めていくこと。これを軸にしたのは、「ジョブカフェ」で出会った多くの若者が、「職歴で(選考対象外に)はじかれる」ことを経験していたからです。会って話せば皆に持ち味があり、職場で輝くイメージがあるのに、「アルバイト経験しかない」「キャリアの中断時期(無職の期間)がある」という点によって、会ってすらもらえない。就職氷河期という外的要因によってたまたま外れてしまった「正社員」として働く機会に、再チャレンジする道筋すらないのです。職歴ではじかれる経験を何度か繰り返すと「自分は社会から必要とされていない」とどんどん自信を失っていきます。こうした若者に、本来の自分の可能性に対する自信を少しでも取り戻してもらえるような支援を実現することが、「就職Shop」の存在意義であり、社会の現状を何とかしたい、という想いは強くありました。

「就職Shop」に来訪し、面談をした人は、これまでのべ9.3万人。「書類選考なし、人物重視」という信念に賛同していただいている企業は、現在7,560社(2017年3月末時点)にまで至っています。そうして自分たちが預かる求人から「これ」と思われるものをご相談に来られる人へご紹介し、応募~選考~就業までサポートさせていただくことで、就業の機会を紡ぐことに全力で向き合っています。ただ、私たちが究極的に目指しているのは「就職Shop」が紹介する求人に対して就職してくれる人の数を最大化すること自体ではありません。「就職Shop」で就職先が決まらなかった人も、ここに来たことで、次のステップに進む足がかりを見つけて帰ってくれたらいい。1人につき、複数回の面談、時間にして2~3時間、多い人は10時間ほどかけて、就業サポートをしているのは、「人と比べて自分はどうか」ではなく、「その人にしかない“らしさ”」が、どこかで必ず光る持ち味になると知ってもらいたいからです。

 例えば、ある20代の女性は、人に自分をアピールするのが苦手で、私と話すときも消え入りそうな声で話す方でした。でも彼女の話にじっくり耳を傾けていると、仕事にコツコツと真面目に取り組む姿勢に非常に好感が持てる。「彼女の真面目さが生きる場所はどこだろう」と考え提案したのが、ある大手系列の清掃会社でした。都心のビル群の清掃を任されるその仕事は、掃除対象の素材によって異なる洗剤を使い分け、材質に合わせた磨き方を覚え、時間内に正確にこなす力が必要で正確な知識を積み上げて習得し、それを計画的に活かす必要がある高度なものでした。彼女の持ち味はぴったりと合い、採用に。入社後はさまざまな資格をとって、今も重要な戦力として働いています。

 

 

「現状を変えよう」と行動を起こした人の

背中を押していく 

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「意欲はあるのに働く場がない」。その思いを抱えてもがいている人を見ると、何とか道筋を見つけようと一緒にもがきたくなるのは、幼少時代に感じた私なりの歯がゆさが原体験となっています。

病気がちだった私は、入退院を繰り返しているような子どもでした。小学校に入っても、運動会は競技に参加できず、夏のプールはいつも見学。水のなかではしゃぐ友達をプールサイドでじっと見ているのが、嫌でたまりませんでした。「退院して病気も治ったのに、みんなが自然にできていることを自分はできない」という歯がゆさは鮮明に覚えています。今でも、「嫌なことを我慢してやる」のは耐えられるけれど、「やりたいのにできない」のだけは耐えられません。

意欲ある求職者が仕事に就くためには、どのような話を引き出せばよいのか、どのような情報を提供すればよいのか。何時間もかけて考え尽くすのは、少しでも早く歯がゆい現状から抜け出してもらいたいという想いからだと思います。

現在は、売り手市場が続き「就職Shop」起ち上げ時期とはかなり市況が変わっています。しかし、企業都合による退社勧告や内定取消などの不運な要因によって、途方にくれ、相談にくる若者も少なくありません。「思い描いていたキャリアがすべて崩れた」と絶望している方も多く、視野が狭まってしまっていると感じることもあります。でも、「就職Shop」でこれまで見てきた事例を話すと、「自分だけが大変じゃなかった」「心が軽くなりました」と言って帰っていくのです。一歩踏み出して「就職Shop」に来てくれる求職者に共通していることは、「今のままではいけない」「今のままは嫌だ」という思いです。求職者が今置かれている状況から脱するために何ができるか、そのスタンスでコミュニケーションをとるのが「就職Shop」。何かを変えたいと行動を起こして来た人の“変わる”お手伝いを、これからも手がけていきたいですね。

 

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