第三の目が開きそう! 衝撃的なうまさに震える「ティラガ」のスペシャルミールスと南北インド料理【京都】
こんにちは。メシ通レポーターの泡です。
以前にこちらでご紹介した絶品カレーのあるバー「カオス」の店主・福岡さんから、「あそこのカレーは食べなあかんで!」と猛烈にプッシュされたのが、四条大宮にあるインド料理店「ティラガ」。
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あの技ありカレーを作る方のオススメとあっては間違いないに決まってる!
さっそくお邪魔してきました。
阪急大宮駅からセブンイレブンとりそな銀行の並ぶ後院通を北西へ進みます。
ちなみに阪急大宮駅の向かいには、路面電車の京福電鉄(通称・嵐電)の始発駅である四条大宮駅もあります。ここから嵐山などへ行くことができるので、観光の方は覚えておくと便利。
1つめの信号がある錦小路通の北側。インド国旗が目印です。
店内はほどよい間隔でテーブルが並んでいます。
中2階にもスペースがあり、半個室として使うことができます。特にお子さん連れに好評だそう。
お客さんからオーナーへ!?
店主の伊勢 司さん。
一般的に、というか私が想像する“インド料理店のオーナー”の風情じゃない、爽やかなイケメンさんです。なぜこのポーズなのかは後ほど。
──伊勢さんがこのお店を始めたのですか?
「『ティラガ』は2006年に京都でこの店がオープンし、次いで大阪の都島にも出店しました。当時のオーナーは南インドの方で、その頃僕は大学生でこの(京都店の)近所に住んでいたので普通にお客さんとして通っていたんです。そのうちオーナーとも仲良くなって、気づいたら中に入ってバイトまでしてましたね」
実はもともとインドには縁があったという伊勢さん。
「母がアーユルヴェーダを学んでいる関係で、10歳の時に初渡印を果たしました。見るものすべてにびっくりしっぱなしでしたよ(笑)。カレーは大丈夫でしたが、お菓子の強烈な甘さにはマジで驚きました」
その後、中・高時代にもインドへ渡り、徐々に彼の地に惹かれていったのだそうです。
「大学を卒業するとき、実は別の進路が決まっていたのですがそれをやめてインドの大学院に行くことにしました。第一に面白そうだというのと、いつかビジネスをするならこれからは中国じゃなくてインドを相手にすることになるだろうと思って。エネルギッシュでぐんぐん成長を遂げているインドと自分も関わりたかったんですね」
バラナシにある「バラナシ ヒンドゥー大学」大学院の観光経営学科でインド人に混じって学んだ伊勢さんは、自炊の日本食に飽きてインド料理が食べたくなると友人宅を訪ねては家庭料理をふるまってもらっていたのだそう。
「どのお宅でいただいたものもおいしかったです。現地では、チャパティが上手に焼けたら一人前と言われていて、お母さんたちはいかに生地を薄く延ばして(その方がよく膨らむから)焼くかを誇っていましたね。この専用のフライパンで焼くんです(上の写真参照)」
帰国後は日本とインドをつなぐ旅行会社を立ち上げ、両国を往復しながら忙しくも充実した日々を過ごしていたところ、2016年の3月に「ティラガ」のオーナーから突然「この店を継いでほしい」との連絡が!
「迷いましたが、やってみることにしました。ちょうど1年前ですね。幸い、シェフたちはそのまま残ってくれたのでメニューを大きく変えることもなくリスタートできたんです」
サミーシェフさん(左)は南インドの五つ星ホテルで15年も務めてきたすご腕。京都に来たインド人客も感激するほどハイレベルな料理を繰り出します。二番手のアーナンドさん(右)も同じくインド人。
自身が魅了されたインド料理の魅力を一人でも多くの人に知ってほしい。その思いで、お店の雰囲気を明るくして入りやすくし、メニューは北インド料理、南インド料理と分けてわかりやすいようにしました。
「インドという国はヨーロッパ全土と同じくらいの広さ。北と南では料理もイタリアとフランスほど異なるので、そのどちらをも気軽に楽しんでもらえたらいいなと思います。特に南インドは日本と同じ米食文化(北は粉食)なので親しみやすいですし、野菜や豆を中心にした健康的なメニューが多い。毎日でも食べられる家庭的な南インド料理をぜひ味わってみてください」
ノンミート(肉なし)でも驚くほど味わい豊かなミールス
「カオス」の福岡さんから絶対に食べるべしとお達しのあったのは、スペシャルミールス。
ミールスとは、南インドの定食のこと。全12品がワンプレートで供されます。
▲スペシャルミールス 2,570円(夜メニュー。ランチは品数が少ないランチミールスを用意)
──これは圧巻! 見たことのないものがいっぱい! どうやって食べればいいの?
「まずは1品ずつ少量を味見してみてください。器に入ったカレーやスープは左側が辛味や酸味の強いもの、右側がまろやかなものとなっているので、好きな順にどうぞ。その次はライスにのせて同じように1種類ずつ味わってみると、また違った表情がみえてくるはずです。だいたいどの料理がどんな味かわかれば、あとは好みであらゆる組み合わせや全部ミックスして楽しんでいただけますよ」
器入りの左から順に。
① サンバル。南インドの代表的な豆と野菜のカレー。日本でいうところの味噌汁のようなものだそう。ほのかな酸味と野菜の甘みをスパイスが引き締めています。
② ラッサム。スキッとした清涼感と酸味が特徴的なスープ。独特の風味はタマリンドを使っているため。黒胡椒も鮮烈に効いています。二日酔いのときに飲んだら一発で回復しそう。
③ コロンブ。甘みと酸味がくっきりと際立った汁気の多いカレー。15種類ものスパイスを使っているので、香りと味わいが重層的。
器入りの手前から順に。
④ パチャディ。ヨーグルトとココナッツのサラダ。大根やオクラなど日替わりの野菜入り。
⑤ ポリヤル。旬の野菜とココナッツの炒め物。この日はビーツを使用。
⑥ 日替わりのかぼちゃカレー。南インドでよく使われるマスタードシードがぷちぷちとアクセントに。
⑦ クートゥ。ココナッツのマイルドさを生かした一品。この日はほうれん草。
⑧ チャトニー。野菜のピュレを使った薬味のようなもので、味に変化をつける時に少量ずつ混ぜるのに使う。
⑨ アチャール。野菜をスパイスとオイルで漬けたコクのあるピクルス。食感もはっきりしている。
⑩ ポリヤル。ココナッツとにんじん、いんげんを炒めている。
⑪ メドゥワダ。ウラド豆を使ったほっくりとした口当たりのドーナツ。カレーやスープにひたして食べるのがおすすめだそう。
⑫ パパド。豆の揚げ煎餅。そのまま食べたり、カレーに浸したり、細かく砕いてライスに混ぜたりと好きなように味わうとよい。パリッと軽やかな食感です。
ご飯は、カルダモンやメイスといったスパイスを炊き込んだバスマティライス。粘り気が少なくあっさりとした米なので、粘度の低い南インドのカレーによく合います。高級米なのに惜しみなく盛ってくれているのがうれしい!
どうですか、この多様性。
食感や香りがそれぞれに異なるので、結構な量があれども次々と気持ちよく食べ進めることができます。
伊勢さんのお母様が実践されているインド古来の医学・アーユルヴェーダでは、「甘味」「酸味」「塩味」「辛味」「苦味」「渋味」と6つの味を一度の食事で取るのが望ましいとされているそうですが、まさにこのワンプレートにはそれがすべて含まれています。いろんな味を組み合わせて食べることで胃袋も脳も快く刺激されている感じ。スパイスの効果なのか、食べながらどんどん食欲がわいてくるのです。
──そして、これだけ食べてもお腹がしんどくないのにびっくり! カレーを食べた後ってけっこうもたれませんか?
「このミールスはダシにも肉は一切使っていません。だからさらりと食べられるんです。野菜を炒める加減やスパイスの合わせ方が肝要で、うちのシェフならではのテクニックがいきているんですよ。」
味付けは、日本なら醤油に当たるというガラムマサラを3種類使い分け。使うスパイスは3カ月に1度、ケララで最高級のものを仕入れてくるのだそう。市販のものとは香りが格段に違い、なによりいい素材を使うことでシェフのテンションがだだ上がりするとのこと。
続いても南ならではの一品、ドーサです。
プンニ米とウラド豆という聞き慣れぬ品種の米と豆を粉砕し、水で溶いて発酵させた生地を薄く焼く、現地の屋台おやつ。
十分に熱した鉄板に生地を落とし……
広げます。
焼けたら返し、裏も焼きます。全面にきれいに焼き目をつけるのがポイントだそう。
中にポテトのスパイス炒めを入れてくるくるっと(シェフの動きが速すぎてぶれました……)。
完成! ドヤァ、ならぬドサァ顔のシェフであります。
▲マサラ・ドーサ 1,058円
でっか!
適当にちぎって付け合わせのサンバルや、チャトニー(つけダレのようなもの)と一緒に。
パリッと香ばしい部分とむっちりした部分があって楽しい。発酵した生地独特の酸味もほどよい感じです。しかしでかいなー。中にはサモサの具のようなポテトも入っているのですが、現地では1人でぺろりだそうですよ。
もう1品、南の代表的な米料理のビリヤニ。
▲ビリヤニ(マトン)1,598円
いわばインド風の炊き込みご飯のようなものですが、レシピは複数あり。
「ティラガ」では、スパイス入りのバスマティライスと、クローブやカルダモンなどのスパイスと野菜などを合わせたグレイビーソース、肉を合わせて炒めるスタイルです。
マトンの野趣をうまく効かせた力強い味わいで、ひと口めから「うんんまっ!」と声が漏れます。なにこのご飯しゅごい……。現地風に添えた生の赤玉ねぎやライタ(ヨーグルトのサラダ)と一緒に口にするとまた趣が変わってナイス。こりゃごちそうですわ。
そして、北インド料理からはまずタンドリーチキン。
厨房でものすごい熱気を発しているタンドール窯。
大きな炭を熾し続けているので、窯の中はなんと400度以上!
よく笑顔でいられるなぁ~。
▲タンドリーチキン 626円
スパイスやヨーグルトを使ったタンドリーソースに漬け込んで高温で焼いたチキンはふっくらジューシー! 生玉ねぎの辛さとシャキシャキ感が絶妙に合います。
そして、これも北インドでおなじみのカレー。
▲パラクパニール 1,166円
水牛の乳で作るインドのチーズ・パニールを具にしたほうれん草のカレー。これも肉ナシとは思えぬコク深さ! 「野菜食べてる!」感も満たされます。
4月15日までは、桜の花を練りこんだナンとカレーなどの「さくらセット」1,274円も登場。
まさに日本とインドの融合ですな~。
インド料理といえばナンとバターチキンカレー、という私の単純なイメージは大いに覆されました。どちらかというと「ランチで1品完結」と思っていたのも間違いでした。
これは、飲める!
スパイスがしっかり効いているし野菜たっぷりだし、熱々でもさめてもおいしい。
ビールだけじゃなくて、インドのワインもあれば、なんと「カオス」仕込みのジントニックまであるではないの! 前言撤回、「飲める」ではなく「飲まなきゃ!」ですわ。
まずは手始めに、ちょいのみセット1,000円からはじめますかな。
どんな内容かは、お店へ来てのお楽しみってことで。
ちなみに、ランチは日替わりカレーやワンプレート定食など約10種、夜はアラカルトが約80品そろうので、夜に訪問するなら数人であれこれシェアすることを強くオススメします。人数がそろわない時はぜひ私を呼んでください! すきあらば食べたいよ飲みたいよここで。
お手洗いもインド!
お店情報
ティラガ
住所:京都府京都市中京区壬生坊城町56-1
電話番号:075-821-1250
営業時間:11:00~14:30(LO)、17:00~22:30(LO)
定休日:不定休
※本記事は2017年3月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。
書いた人:泡☆盛子
ライター。沖縄出身、京都在住。京都の水というか食がカラダに合い、40kg肥えたのが自慢。立ち呑みと、おかずケース食堂での昼酒が好き。
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