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幻覚・傾眠の症状を和らげた自立サポートシステムとは?

ご高齢者や 認知症が進んだかたにも楽しんでいただける音楽会、「音楽の花束」を主催しておりますGOTOです。

一介の音楽家でしかないGOTOですが、介護士や理学療法士とともにデイサービスで「リハビリテーション」に貢献しています。先日、これまで手掛けてきた「自立サポートシステム」の成果がわかるできごとがありましたので、ご紹介します。

リハビリテーションとは?

ある日、デイサービス「空の花 高井戸」を訪ねて来られたかたが、ひとりの高齢女性の様子をご覧になり、「あのかたは然るべき家庭で大切にされたお嬢様ですね。美しくて物腰が柔らかく、素敵な女性に見えます」とおっしゃいました。この言葉こそ「空の花」の自立支援の成果を現しています。

この女性、利用開始当初は髪を振り乱し、険しい表情で、絶えずじっとしていられないような方でした。送迎でお目に掛かるご家族の表情も険しく、介護にご苦労されている様子が伝わってきました。不穏になることが多いため、なかなか気持ちが通じず会話もかみ合わないので、この方が「本来どんな人であるか」ということはスタッフには全くわかりませんでした。

それから約1年間、認知機能の衰えや高次脳機能障害をお持ちのこの方に対し介護士や理学療法士、看護師がそれぞれの専門性を活かして働きかける「空の花」の自立サポートシステムで、ご自身が望む形で周囲の方との関係が再構築されるよう支援してきました。

その結果、初対面のかたに本来の姿だと思われる「美しく物腰柔らかな素敵な女性」という印象を持たれたというわけです。これは非常に大きな変化で、現在この女性は日々穏やかに生活され、何といってもご家族の表情が格段に明るくなっています。

このように、「こうありたい」と願うご自身やご家族の想いを汲み取り、支えることが「リハビリテーション=その人をふさわしい状態に戻すこと」であり、「音楽の花束」の自立サポートシステムの目指すところです。

もうひとつ、ある男性の例を挙げてみます。

傾眠の理由が判明!

仕事を定年退職されてのち、レビー小体型認知症やパーキンソン病を発症された男性がいらっしゃいました。出会った時は傾眠がちで、ぼんやりとして幻覚を見ることの多かったこの方に当時のスタッフは、「元気な時間に好きなカラオケをかけて、冗談を言って楽しく会話していればよい」という対応をしていました。

状態の良いときだけ相手をするということは、自立支援にあたらないため、症状への働きかけはできないのだろうかと早速アセスメントを取ってみました。GOTOは介護系の勉強会で、レビー小体型認知症は薬剤への感度が高く薬の調整が難しいということや、睡眠時間の管理の難しさに伴う幻覚幻視に苦しむ方も多いと知っていました。

案の定アセスメントの結果、服薬状況にも原因はあるようで、ご自身も「夜、自分でも気づかないうちに暴れてしまうため薬を飲んでいるが、逆に眠れない」「家族に迷惑をかけている」と仰います。ご自身の症状を自覚し、ご家族に対して辛い思いをしておられるのがわかりました。また、「仕事で海外在住経験が豊富で、そのときはその国の言語をマスターしたが、今は忘れてしまった」と寂しそうに仰っていたのも気になりました。

まず、マズローの5段階欲求の1番底辺にあたる、「生理的欲求」が満たされるようサポートすることから始めました。介護職ができる第一歩として、服薬について医師に相談してもらうようケアマネジャーに声をかけました。何度か服薬内容が変わり状態がやや落ち着いてくれば、デイサービスを利用している時間にしっかり活動することで睡眠時間をある程度調整できるようになります。

しかし、薬の影響で容赦なく眠気は襲ってきます。眠気に勝る興味を引き出し、自発的に活動への意欲を持っていただくことが大切です。以前は、「自発を引き出す」ことができず、「ベッドで静養」という名の昼寝をしていたのです。レビー、パーキンソンともに不安や不眠など、うつ傾向を伴うことの多い病気、これは大きな課題です。そしてここが音楽の出番でした。

自発を引き出した瞬間

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