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マンションの外断熱改修【前編】 どんな工法? 内断熱との違いとそのメリットとは

マンションの外断熱改修【前編】 どんな工法? 内断熱との違いとそのメリットとは

建物の外側を断熱材ですっぽりとくるむ「外断熱工法」。既存のマンションのほとんどは躯体コンクリートと内装下地の間に断熱材を入れる内断熱工法で施工されているが、大規模修繕のタイミングで外断熱工法を採用することで、省エネ性能や建物の耐久性能のアップが期待できる。【前編】では、外断熱工法とはどんな工法なのか、【後編】では大規模修繕の際に外断熱改修を行ったマンションの事例を紹介しよう。

断熱材でくるむから、外の寒さ・暑さの影響を受けにくい

日本のマンションは、屋上と1階の床下のほかは、各住戸の内側で断熱施工されているのが一般的。この内断熱工法では、バルコニーと住戸の床下をつなぐコンクリートを通して外の寒さや暑さが室内に伝わってくる。【画像1】内断熱工法の施工の様子(写真/PIXTA)

【画像1】内断熱工法の施工の様子(写真/PIXTA)

それに対して、建物を断熱材で外側からくるむ外断熱工法は、バルコニーがコンクリートむき出しであっても断熱材によって熱が遮断されるため、室内は外の気温の影響を受けにくい。冬に室内の温度を上げるとその熱が躯体に蓄熱されるため暖房のエネルギー消費が抑えられ、省エネにつながるのだ。【画像2】内断熱工法と外断熱工法(筆者作成)

【画像2】内断熱工法と外断熱工法(筆者作成)

大規模修繕で外断熱工法を選ぶ5つのメリット

外断熱工法は内断熱工法に比べて施工費が割高なため、施工面積の大きな新築マンションは内断熱工法で建てられているのが一般的だ。そこで、築年数の古いマンションで断熱性能が十分ではない場合や、それほど古くなくても断熱性能の維持・向上をさせたいと考える場合、大規模修繕のタイミングで外断熱改修を行うという選択肢があり、さまざまなメリットが期待できる。主なメリットを5つ挙げてみよう。

1)断熱性能がアップすることで省エネになる

建物ごとすっぽりと断熱材に覆われる外断熱工法は、外気温の影響を受けにくく、少ないエネルギーで冷暖房の効果を確保しやすい。

2)住戸内の温度差が小さくなる

外壁が外気温の影響を受けにくくなるので、「外に接している面が多い角住戸は寒い」「北向きの部屋が寒い」など、住戸や部屋による温度差がなくなったり、小さくなったりする。

3)建物の耐久性がアップする

躯体が断熱材で雨や風から守られ、外気温変化によるコンクリートの膨張・収縮も小さくなるため、コンクリートの強度が維持され、建物の耐久性がアップする。また、外壁で発生する結露を防ぐ効果も期待できる。

4)大規模修繕の回数を減らせる

コンクリートやモルタルそのままの外壁に比べ、外側に耐久性の高い断熱材や外装材を張る外断熱改修は外壁を補修する大規模修繕の周期を長くすることが可能。通常10数年に1度の大規模修繕を20〜30年に1度に減らせれば、長期的には修繕コストを抑えることができる。

5)住みながらの工事ができる

断熱性能を上げるため内断熱工法を選ぶと、各住戸の内壁を撤去して断熱材を入れなければならず、工事の際は一時的に退去が必要となる。その点、外断熱改修は住戸内はそのまま。住んでいる状態での工事ができる。

これほどメリットがあるのに普及しない、その理由は?

マンションの外断熱改修には、これだけメリットが多い。それなのに、全国的に見るとあまり普及していないのが実情。なぜだろう。何か重大なデメリットがあるのではないかと疑ってしまう。

「デメリットというか一番大きな問題は従来の大規模改修に比べてコストがかかり、修繕積立金では足りない。その資金調達をどうするか。そして、数千万円もかかる大がかりな工事に加え、なじみの薄い工法なので、居住者の合意を得ることも大変でした」と北海道大学大学院工学研究院・建築環境学研究室で、建築環境・設備と健康の関係について研究している羽山広文教授。羽山さんは自宅マンションの管理組合の理事を務め、大規模改修にかかわった経験をもつ。

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