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Acid Black Cherryの10年を音楽ライター・武市尚子が振り返る“2009年編”

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Acid Black Cherryの10年を音楽ライター・武市尚子が振り返る“2009年編”

2017年7月18日よりソロデビュー10周年に突入するAcid Black Cherry。そんな彼らの10年を見てきた音楽ライターの武市尚子氏が、ABCの10年の歴史を1年づつ振り返る連載がスタートした。3回目となる今回は、2ndアルバム「Q.E.D.」を発売し、それを引っさげた全国ツアーを行った2009年に迫る。

【2009年】「Acid Black Cherry 2009 tour Q.E.D.」

2008年のtour“BLACK LIST”終了後、Acid Black Cherryは、2ndのアルバム制作に向けて動き始めた。

11月には、6thシングル「ジグソー」を発表。この「ジグソー」の歌詞ができたことで、のちのアルバムのストーリーが明確になっていったのだという。

そして、2009年2月には「眠り姫」をリリース。購入者特典として、恵比寿LIQUIDROOMでライヴを行うなど、精力的に活動を行なっていった。

7月には、シングル「優しい嘘」を、そして、8月26日にはついに、2ndアルバム「Q.E.D.」を発表した。

このアルバムに描かれたのは、真実が明かされることのないまま、犯人に見なされ、事件が迷宮入りし、Q.E.D.(=証明終了)とされてしまった男の物語である。

【人は人を裁けるのか】をテーマにしたこの物語は、人間の業や、内面に潜む深層心理を深く抉っていたところも特徴的であった。

Acid Black Cherryはこの年、このアルバム「Q.E.D.」を引っさげ、9月16日から11月2日まで全国15ヶ所15公演でライヴをすることを発表したのだが、やはり、このツアーで印象深いのは、初日の数日前に声帯のう胞が発症したことだ。初日であった公開ゲネプロの突然の中止報告には驚きを隠せなかったが、ツアーの中止も懸念された中、予定どおりツアーは決行された。

「俺の喉の調子が悪いことは、お客さんには関係ないから。ベストな状態で唄えないことを、しかたないとは思えなかったし、それを言い訳にしたくない。ほんまはベストな状態のときを見てほしいから、本当のことを言えばツアーを中止にして改めてスケジュールを切りなおしたいって思ったけど、そういう訳にもいかない状態やったから、もう選択すべき道は1つだったというか」

そんなyasuに対して事務所も、ツアーが始まる段階から、“あまりにも辛かったら中止を考えてもいい”と伝えていたのだが、yasuはその言葉をバネに、不安を抱えながらも1本1本のライヴに“どうか、今日も最後まで無事に唄えますように”と祈りを込め、とにかく必死で向き合ったのだ。

「毎回、マネージャーがライヴ終わる度に、“いつ辞めても大丈夫ですよ”って言ってくれて。それがほんまに救いやった。ここがね、規則を設けられると破りたくなる俺の性分というか(笑)。“大丈夫。やれる”ってね(笑)。今やから笑って話せるけどね、でも、本当にそうやったと思う」

このときのツアーは、最後の曲を唄う前のMCまでくると、yasuは内心、“良かった。今日もここまでちゃんと唄えた……”と胸を撫で下ろしていたのだと言う。

「お客さんに対して申し訳なくてね。そんな状態が嫌で嫌で。いつもと変わらないライヴせな、みんなに失礼だって思ってた。俺が逆の立場やったら、完璧じゃない状態ならステージ立つなよ!って思うから。そう思わせないようなライヴをせなアカンっていう思いはあった。出来ないならやんなきゃいい。でも、人間って、出来ないことに対して、何か理由を付けようとするでしょ。それが嫌で」

この時の映像からは、そんなyasuの葛藤が滲み出ている気がしてならない。

このファイナル公演の最後では、自分たちのために必死で声を張り、唄を届け、ツアーを最後までやりきってくれたyasuに、“yasuありがとう!”と、涙ながらに叫んでいたファンたちの声が飛び交っていた。ツアー中の楽屋には、各地のファンたちから届けられた千羽鶴が飾られていたことも、はっきりと記憶に残っている。

どんな状況でも、真っ向から物事に立ち向かうyasuは、このツアーでもAcid Black Cherryというエンターテイメントを存分に魅せ、さらにyasu自身の生き様を魅せてくれた様に思う。

yasuはこのツアー「2009 tour “Q.E.D.”」終了後、治療(手術)に専念するためAcid Black Cherryとしての活動を一時休止することになる。

Writer 武市尚子

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Acid Black Cherry オフィシャルサイト:http://acidblackcherry.net

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