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クトゥルフ風ゴシック・ホラーADV『Amnesia: The Dark Descent』 朽ちた城の暗闇で、あなたの“正気度”が試される。

今回紹介するのは『Amnesia: The Dark Descent』。PCゲームプラットフォームSteamでも高評価を得ている作品なので、ホラーゲームファンならご存知のプレイヤーも多いだろう。『Penumbra』の開発会社としても知られるFrictional Gamesが手がけた、一人称視点のホラーアドベンチャーである。
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本作のゲームジャンルとしては、ゴシック・ホラーとなる。異形うごめく廃城が舞台であり、クトゥルフ神話へのオマージュを寄せた演出も見られる。そういった世界観が好きなプレイヤーにはたまらないゲームだろう。

2010年にリリースされた作品だが、今プレイしてもその魅力は色褪せない。ホラーゲームファンで未プレイの方がいたら、ぜひプレイを検討して欲しい。極上のホラー体験を味わうチャンスだ。

武器はない。逃げ隠れろ

荒廃した城の中で目覚めた主人公・ダニエルは、自分が何者なのか、なぜここにいるのか思い出せない。覚えているのは、何かに追われていたという感覚のみ。点々と続く血痕に導かれるようにして城の奥へ進むダニエル。しかし薄暗い城の中では、忌まわしき異形がうごめいていた。次々に起こる衝撃の体験と、底知れぬ深い暗闇が、ダニエルの正気を蝕んでいく……。

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まず先に断っておくと、このゲームはクリーチャーの頭部めがけてショットガンをぶっ放したり、チェーンソーで切り刻んだりするタイプのホラーゲームではない。主人公は一切武器を持たず、現れたクリーチャーに対してできることは逃げることと隠れることだけである。クリーチャーをぶっ殺したぜ、ヒャッハー!という爽快感は得られないが、その代わりに得られるものがある。暗闇で息を潜めて化け物の目を欺き、無事にやり過ごして明かりを灯したときのひとときの安堵感だ。

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このゲームで重要なのが、明かりを確保すること。暗闇の中に長時間留まると、それだけで狂気に蝕まれ、正気度が下がっていく。正気度が下がると、視界は歪み、歩行はフラフラ、さらに幻聴まで聞こえ始め、進行が困難になる。

たいまつやランプの明かりの元に留まると、徐々に正気度は回復していく。しかし明るい場所では、敵からも主人公の姿が気づかれやすくなってしまう。

狂気に蝕まれながら暗闇に潜むか、リスクを覚悟で明かりを灯すか、悩まされるポイントだ。
また、ランプの燃料(オイル)は時間とともに減少していくため、道中でアイテムとしてオイルを確保していかなければならない。明かりという頼るものがなければ、この廃城ではひとたまりもなく狂気に陥る。どこでランプを使うかというオイル管理が何よりも重要になるのだ。
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恐怖が狂気を増幅させる

主人公の狂気を増幅させるのは、暗闇だけではない。人間のようで人間でない、異形のシルエットが不意に現れる。それは薄暗い廊下の先を一瞬横切ったり、ドアを開けた瞬間にまっすぐ向かってきたりする。プレイヤーの心臓を揺さぶるそういったタイミングと同時に、主人公の正気度はガンガン減少していく。ゲームシステム的にも、プレイヤーのメンタル的にも、操作がおぼつかなくなる仕組みになっている。

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また、ゲーム中のオブジェクトには物理的な相互作用があり、それが謎解きの鍵になっている。暗闇の中、崩れた瓦礫を手探りで一つずつ取り除いて、先に進む場面がある。ワンクリックで一気に瓦礫が取り払われるよりも、「自分は崩れかけた廃墟を探索しているのだ」という実感が得られるギミックだ。

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